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SIG SG510は、スイスで開発された軍用自動小銃(アサルトライフル)である。1959年から1960年頃にスイス軍の制式小銃として採用され、1990年にSG550(Sturmgewehr 90)へと更新されるまで使用されていた。スイス軍での制式名称は57年式突撃銃で、ドイツ語ではSturmgewehr 57(Stgw 57)、フランス語ではFusil d'Assault 57(F ass 57)、イタリア語ではFucile d' Assalto 57(F ass 57)と表記された。

SIG SG510
F ass 57.JPG
種類 突撃銃(Sturmgewehr)
原開発国 スイスの旗 スイス
運用史
配備期間 1957年 - 1990年(スイス軍)
配備先 スイス軍
チリ軍
ボリビア軍
開発史
開発者 ルドルフ・アムスラー(Rudolf Amsler)
製造業者 スイス工業社(SIG)
諸元
重量 6.1 kg(銃のみ)
全長 1,105mm
銃身 520mm(擲弾発射器および制退器込で690mm)

弾丸 7.5x55mm GP11弾英語版
7.62x51mm NATO弾(510-4, AMT)
作動方式 ローラー遅延式ブローバック
発射速度 450 - 600 発/分
装填方式 20発、24発、30発着脱式箱型弾倉
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概要編集

スイス軍は1889年にシュミット・ルビンM1889を採用し、改良を加えながら1950年代末まで使用し続けた。一方、20世紀初頭からは半自動小銃への更新が既に検討されつつあり、様々な試行錯誤を経て、第二次世界大戦後の1948年からは、いわゆる突撃銃の開発が始まっていた。1956年、連邦参事会が新型小銃の開発計画を承認した。この計画の元、ベルン造兵廠ドイツ語版とSIGが新型小銃の設計を行い、ベルギー製FAL小銃との比較試験が行われた。1957年、SIGの1955年設計案すなわちAM 55が制式名称57年式突撃銃として採用された[1]

製造元はスイス工業社(SIG)で、設計者はルドルフ・アムスラー技師(Rudolf Amsler)である。同時代の突撃銃と比較すると、SG510は重量があり、二脚、キャリングハンドル、カウンターウェイトを備えるなど複雑で、高価だった。しかし、射撃精度は非常に高く、バースト射撃時の制御も容易だった。およそ100万丁が製造され、このうちおよそ74万丁がスイス軍に配備されていた[2]

スイスではSG550(Sturmgewehr 90)によって更新された。2015年には予備装備としても退役が宣言され、軍が保管していたSG510は全て処分された[3]

特徴編集

SIG SG510は、H&K G3とよく似たローラー遅延式ブローバック作動方式を採用した自動小銃である。2点の可動式ローラーがあり、射撃時には後退するボルトがこのローラーによって遅延される。その際に薬莢が薬室の内面に密着して千切れることを防ぐため、薬室には溝が設けられており、発射ガスの一部が薬莢の膨張を抑えるように作用する。擲弾発射器と制退器は銃身の先端部と一体である。銃身は先端部を除いてバレルジャケットで覆われ、その前端または後端に二脚を装着できる。ハンドガード(先台)とストック(銃床)はゴムカバーで覆われている。機関部はセレクティブファイア機能を搭載し、セミ/フルオート射撃の切り替えが可能だった[4]。セレクタレバーはS(安全)、E(単射)、M(連射)の3点式だが、右側面の連射規制器(Serienfeuersperre)と呼ばれる部品によって、切替をSとEの2点のみに制限することができた。連射規制器は分解時に着脱可能なクリップ状の部品で、やや短い側の片面が白く塗られており、兵士からは「おはじき」(Plättchen)と通称された。白い面を内側にして取り付けた場合、セレクタレバーは3点を自在に切り替えられるが、外側にして取り付けた場合、塗られていない長い側の面が干渉し、Mへの切替が行えなくなる[3]

二脚はスライド式で、バレルジャケットの前方ないし後方にて固定される。セミオートでの精密射撃時には後方に二脚が固定された。また、フルオートでの支援射撃を行う際には、前方に二脚を固定し、バースト射撃を行うことが好ましいとされた。SG510用の小銃擲弾としては、対装甲用の成形炸薬弾とソフトターゲット用の榴弾があり、直射または曲射が可能だった。これらの擲弾には、飛距離を補助するためのブースターが取り付けられていた。擲弾発射時には空砲および専用弾倉を用いる。この専用弾倉には通常のGP11弾が装填できず、より短い空砲のみ装填できた。また、専用弾倉は自動装填機能を機械的に無効化する構造になっており、装填時には弾倉下部のボタンを押しながらコッキングを行う必要があった。直射する場合、肩からではなく腰だめに構えて、指の負傷を避けるべく、折畳式の長い冬用引き金(本来は厚い手袋を着用したまま射撃をするためのもの)を用いて射撃を行った。曲射する場合、銃床はゴム引きが施されているので、そのまま地面に置くことができた。二脚は後方に寄せて照準器として用いる。紐付きのペンナイフを着剣具から振り子にして吊るし、これを二脚に示された目盛りと合わせて銃に角度を付け、目標の距離へと照準を行うのである。ブースターを用いる場合、小銃擲弾の最大射程は直射で250m、曲射で420mだった。

運用編集

軍用銃として編集

 
SG510を背負ったスイス軍の8.3cmロケット発射筒射手

スイス軍はSG510を汎用銃と見做していた。小銃班(Füsiliergruppe)においては、シュミット・ルビンK31小銃ドイツ語版M31短機関銃Lmg 25軽機関銃ドイツ語版を一括で更新した。

狙撃手にはKern & Coドイツ語版製4倍スコープを搭載できるように改修を施したモデルが支給された。照射器付きの赤外線暗視装置も設計されていた。各種照準器および取付用改修を行った小銃は「軍団付資材」(Korpsmaterial)の一部とされており、兵士らの個人装備には含まれていなかった。

輸出用モデルは、20発弾倉を備え、二脚がなく、木製のハンドガードおよび銃床を備えていた。いくつか設計された派生モデルのうち、7.62x51mm NATO弾仕様のSIG 510-4は、チリボリビアで採用された。輸出されたものの一部はイタリアベレッタ社にてライセンス生産されたものだった。結局、大規模な輸出は行われなかった。

1950年代末、ドイツ連邦軍(西ドイツ軍)は、50丁の7.62x51mm仕様モデルを輸入し、仮名称G2としてセトメ モデルAなどと並行して試験を行った。50丁のうち、40丁がスイス軍仕様と同じゴム引き銃床およびハンドガードを備え、残る10丁は木製だった。しかし、当時既にNATO内でも軽量な銃器への支持が集まっており、突撃銃としては重量のあるSG510の採用は見送られることとなった[5]

民生銃として編集

スイスでは兵役後に小銃を個人所有することが認められている。1991年以前、兵役満了者はSG510を返納し、K31小銃を受け取っていた。これらのSG510は整備の後に新たな入隊者へと貸与されていた[3]

1991年から2014年までに、165,702丁のSG510が兵役満了者へと引き渡された。引き渡し時、一部の部品の取り外し・交換によって、フルオート射撃機能は完全に無効化された[3]。2003年からはアイアンサイトをディオプターサイトとグローブサイトに交換する改修が可能になった。改修されたものはStgw 57/03、未改修のものはStgw 57/02として区別される。どちらのモデルも依然として連邦防衛・国民保護・スポーツ省の予備装備として位置づけられている。

アメリカ合衆国では、1969年から1989年にかけて、SG510が民生銃として輸入されていた。輸入されたのはSG510-1(PE57の名称で販売された)とSG510-4で、どちらもセミオート射撃のみ可能な仕様に改められていた。1969年の時点で、SG510-4の輸入数は極めて少なかった。FN FALのGシリーズと同様、オリジナルの機関部に改造を施しセミオート射撃のみ行えるようにしており、BATFからは「半自動小銃」と区分され、フルオート射撃機能が復元されない限りにおいて、「マシンガン」とは見なされなかった。同年末にはイギリスやイタリアなど諸外国の新しい銃規制基準を取り入れ、SG510-4をスポーツライフルらしく再設計したモデルがSIG AMTとして発表された。AMTはAmerican Match Target(アメリカ向け競技射撃用)の略で、着剣具や擲弾発射機能が廃止されていた。1989年までに3,000丁程度が輸入されたと言われている。銃の評価自体は高かったものの、競合製品のAR-15やHK91と比べて非常に高価だったため、広く普及することはなかった[6]

派生型編集

脚注編集

  1. ^ Swiss Stgw 57 Assault Rifle”. SmallArmsReview.com. 2018年11月19日閲覧。
  2. ^ Pressemitteilung des Generalstabs vom 27. Februar 1997[1]
  3. ^ a b c d Waffen Details: Sturmgewehr 57”. swisswaffen.com. 2019年11月14日閲覧。
  4. ^ Maxim Popenker, Anthony G. Williams: Assault Rifle - The Development of the Modern Military Rifle and its Ammunition. Rambsbury, Wiltshire, UK 2004. ISBN 1-86126-700-2.
  5. ^ Rolf Abresch, Ralph Wilhelm: Moderne Handwaffen der Bundeswehr, Report Verlag, Frankfurt a. M. 2001. ISBN 3-932385-10-1
  6. ^ a b William R. Bishop. “The SIG AMT Rifle in America”. 2019年11月13日閲覧。

外部リンク編集