SMART-Sは、オランダのシグナール社(現在のタレス・ネーデルラント社)が開発した3次元レーダー。開発当初は単にSMART英語: Signaal Multibeam Acquisition Radar for Targetting)と称されていた[1]。なお、Cバンドを使用する小型化版としてMW-08Lバンドを使用する長距離捜索版としてSMART-Lが派生している。

SMART-S
SMART-S MK 2のアンテナ
種別 3次元レーダー
目的 捜索・捕捉
開発・運用史
開発国 オランダの旗 オランダ
送信機
形式 進行波管TWT
周波数 Sバンド
パルス 0.6マイクロ (パルス圧縮後)
パルス繰返数 3,800 pps
送信尖頭電力 150 kW
アンテナ
形式 プレーナアレイ
素子 ストリップライン×16段
直径・寸法 幅4.8×高さ2.05 m
アンテナ利得 23 dB (送信)
31.5 dB (受信)
ビーム幅 横2×縦9度
走査速度 27 rpm
方位角 全周無制限
仰俯角 0〜90度
探知性能
探知距離 250 km (130 nmi) ※最大
77 km (42 nmi) ※RCS 2 m2の目標
その他諸元
重量 1,200+385 kg (駆動装置)
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その名のとおり、使用する周波数はSバンドであり、この周波数選択もあいまって、MW-08よりも遠距離での対空捜索に重点を置いたレーダーとなっている。レーダー送信機としては進行波管TWT)が採用された。アンテナは、16列のストリップラインを積み上げたプレーナアレイ・アンテナを採用しており、同時に12本のビームを形成して、半球空間を走査できる[2]

また、2003年には、改良型のSMART-S Mk 2が発表された。タレス・ネーデルランド社の主張によると、これは、これまで同社が提供してきた長距離捜索用のDA-08(2次元式)と目標捕捉用のMW-08(3次元式)という組み合わせをまとめて代替できる。またこれと同時に、SMART-S Mk 2は、SEAPAR多機能レーダーを補完して、ESSMをミサイルとする個艦防空システムを構成することもできる。SEAPARはAPARの小型・簡易化版であり、SEAPARとSMART-S Mk 2は、APARとSMART-Lと同様の補完関係となる[3]

運用国と搭載艦艇 編集

  オマーン海軍

  オランダ海軍

  カナダ海軍

  大韓民国海軍

  コロンビア海軍

  チリ海軍

  • ヤコブ・ファン・ヘームスケルク級フリゲート
  • カレル・ドールマン級フリゲート

  デンマーク海軍

  ドイツ海軍

  トルコ海軍

  フランス海軍

  ベルギー海軍

  • カレル・ドールマン級フリゲート

  ポルトガル海軍

  • カレル・ドールマン級フリゲート

  モロッコ海軍

参考文献 編集

  1. ^ 長井荒人「世界の新型艦載レーダー」『世界の艦船』第433号、海人社、1991年3月、76-83頁。 
  2. ^ Norman Friedman (1997). The Naval Institute guide to world naval weapon systems 1997-1998. Naval Institute Press. ISBN 9781557502681. https://books.google.co.jp/books?id=l-DzknmTgDUC 
  3. ^ ITT Corporation (2006年12月). “SMART-S Mk2 - Long range 3D surface and air” (PDF) (英語). 2009年9月5日閲覧。

関連項目 編集