openSUSE

SUSE等が支援する「openSUSEプロジェクト」によって開発されるオープンソースのLinuxディストリビューション
SUSE Linuxから転送)

openSUSE(オープン・スーゼ、国際音声記号 /ˌoʊpənˈsuːzə/)は、SUSE及びその他企業等が支援するコミュニティー「openSUSEプロジェクト」によって開発されるオープンソースLinuxディストリビューションである[2]

openSUSE
OpenSUSE Logo.svg
OpenSUSE 15.1 KDE default.png
openSUSE Leap 15.1 と KDE Plasma 5
開発者 SUSEopenSUSEプロジェクト
OSの系統 Unix系Linux
開発状況 開発中
ソースモデル オープンソース
初版 2005年10月(15年前) (2005-10
最新安定版 Leap 15.2 - 2020年7月2日Lua エラー モジュール:TimeAgo 内、98 行目: attempt to index field '?' (a nil value) (2020-07-02[1] [±]
リポジトリ ウィキデータを編集
アップデート方式
パッケージ管理 RPM
プラットフォーム
カーネル種別 モノリシックカーネル
既定のUI KDEGNOMEXfce
ライセンス GNU GPLほか
ウェブサイト openSUSE.org
テンプレートを表示

元々はSUSEが開発するSUSE Linuxであった[3] 。2003年のノベルによるSUSE買収後、100%オープンソースを目指して開発体制をコミュニティベースに移行。SUSE Linuxから現名称に変更した。

現在の最新版は2020年7月2日リリースのopenSUSE Leap 15.2。Leapの他にもTumbleweedと呼ばれるローリングリリースモデルを採用したプロジェクトがある[4] 。これは最新のソフトを積極的に取り込み、リリース版のベースになる。

同社のSUSE Linux Enterprise(商用版)のソースコードを利用している[5]

概要編集

openSUSEは汎用のLinuxディストリビューションである。ウェブページの閲覧、デジタルコンテンツの再生・制作、オフィスソフトなどのGUIを利用したデスクトップ用途、CUIを中心としたサーバ運用などさまざまな用途で利用することができる。以前はSuSEが日本に進出していなかったため日本ではあまり普及していなかったが、Version 9.1から日本語版もリリースされ、現在は標準で日本語での表示や入力が可能である。

同プロジェクトはディストリビューションやツールの提供に加えて、ポータルサイトコミュニティのために用意している。コミュニティはドキュメント・アートワークなどの作成について公開メーリングリストやIRCを通じて議論する。openSUSE Build Serviceを通じて提供されるコードを元にopenSUSEの開発を行っている。

Geeko(ギーコ)と呼ばれるカメレオンマスコットである。geekとgecko(ヤモリ)をかけた名称で、一般公募で決定した。

特徴編集

大きな特徴はYaSTと呼ばれる(またはその後継であるYaST2)設定ツールである。ネットワークやユーザー、セキュリティなどに関するシステム設定をGUI上にて行うことができる。

 
GNOME 3.26 under openSUSE 15.1. openSUSE Leap's GNOME implementation has used Wayland by default since version 15.0.

デスクトップ環境はかつてはKDEが標準であったが、現在ではKDE、GNOMEXfceから選択できる。MATEEnlightenmentCinnamonも後からインストールできる。IceWMWindow MakerBlackboxTwmなどのウィンドウマネージャも利用できる。

ウェブブラウザとしてFirefox、マルチメディア用ソフトとしてGNOMEではBanshee、KDEではAmarokKaffeineが標準で用意されている。コーデックはインストーラーには含まれていないがOSインストール後に追加でインストール可能である。オフィス用途にはLibreOfficeが用意されており、OpenDocument形式Word/Excel/PowerPoint形式などの一般的なドキュメントファイルの編集に対応している。グラフィックス用途にはビットマップエディタとしてGIMP、ベクターエディタにはInkscapeが用意されており、さまざまな形式の画像ファイルを編集することができる。インスタントメッセンジャークライアント、メールなどの個人情報の管理を行うPIM、画像管理用ソフトも標準で含んでいる。Sambaを利用してWindowsネットワークに参加することもできる。RPM形式でのソフトウェア管理も可能であり、追加でさらに多くのソフトウェアを利用することができる。

仮想機械、例えばXenKVMとの相性が良く、XglAppArmor等の開発でも知られている。

ディストリビューションに同梱されていないオープンソースのパッケージは openSUSE 公式ソフトウェアページよりブラウザから1クリックでインストールできる。

その他、開発者への特徴として同コミュニティーはopenSUSE Build Service (OBS) と呼ばれるソフトウェアパッケージのビルド環境を提供している[6] 。これはopenSUSEは勿論、他のディストリビューションやアーキテクチャを越えたクロスプラットホームでのビルドとパッケージ公開を可能にするウェブサービスである。

歴史編集

 
1995年12月に発売された初期のS.u.S.E. Linux(当時の表記)。マスコットのカメレオンのデザインが現在と少し違う

openSUSEの端緒は、Linuxインターネットからダウンロードするためにおよそ50枚のフロッピーディスク(ディスケット)が必要だった1990年代頃に見ることが出来る。当時のS.u.S.E. GmbH (Gesellschaft für Software- und System-Entwicklung) はLinuxのディスケットを1つのパッケージにまとめて販売していた。また、その頃までにパトリック・フォルカーディング (Patrick Volkerding) により開発されたSlackwareディストリビューションがリリースされており、これはSuSE GmbHがドイツ語に大幅にローカライズしたインストールプロセスによってドイツ語圏において多大な人気を得ていた。それに加え、Slackware独自のインストールツールがSuSE GmbHによって開発されたYaSTによって置き換えられていた。1994年4月からSuSE Linuxパッケージのバージョン1.0はディスケットでなく(最終的には70枚を越えていた)、CDにて配布されることとなった。

1996年3月に、SuSE GmbHはSlackwareから独立した彼ら独自のディストリビューションをS.u.S.E. Linux バージョン4.2として公開するに至った。バージョン番号に関して多くの議論がなされ、バージョン1.1は受け入れられず、最終的にはダグラス・アダムズの小説銀河ヒッチハイク・ガイドに登場する「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」に対して答えられた42を採用することとなった。3枚のCDで構成された最初のディストリビューションには「Live-Filesystem」が含まれていた。

SuSE Linuxの販売数はバージョン4.2以降好調な伸びを見せた。当時既にLinux市場は成長段階に入っており、バージョン5以降、標準のSuSE Linuxディストリビューションをベースとして、ビジネス向けにより長いリリースサイクルとサポートを行うLinuxを供給するようSuSE GmbHに対しても要求が行われていた。しかし、このコンセプトが実現するまでは、長期リリース・アップデートサイクルと共にサポート、トレーニングサービスを受けることが出来るSUSE Linux Enterprise Server2000年10月31日にリリースされるまで待たなくてはならなかった。

サポートの多様化と並んで、SuSE Linuxはバージョン6.1から(それまではインテル 80386のみだったが)DECによるAlphaを、バージョン6.3からPowerPCをサポートするプラットフォームに加えた。それら2つのディストリビューションによってSuSE Linuxディストリビューションは成長を続けることとなったが、使用が一般的に広まることは無かった。その後にはAMDAthlon 64、インテルのItaniumIBM S390 (Z-Series) についても対応が行われた。

 
SuSE Linux 7.1, released January 24, 2001, with the older KDE 1.1.2 desktop

バージョン7.0から9.1まで、一般ユーザにはプログラム環境が限定された(それゆえ安価な)Personal Version とサーバ・開発ソフトウェアが付属するProfessional Versionという、2つのバージョンのSuSE Linuxが用意されていた。また、学生向けにCampus Version(中身はProfessional Versionと同じ)が割引価格で販売されていた。同様に、管理ハンドブックが含まれていないアップデートパッケージがProfessional Versionに対して用意されていた。

SuSE 9.1からノベルによって販売されることとなる。変更点には、FTPサーバを通じたインストールに加え2004年6月からは基本的なインストール環境が含まれているCDがインターネットからダウンロード出来るようになったことがある。CDに含まれているパッケージはFTPからはインストールすることは出来なかった。また、Professional Versionについて64ビット環境(AMD64IA-64)向けのソフトウェアが収録されているDVDが店頭に並べられていた(SuSE 9.0の32ビット環境とは別に販売されていた)。また、SuSE Linux 9.1ではインストール・設定ツールであるYaSTGPLにおいて公開された。Novellによって導入された改変には、バージョン9.2以降取り入れられている、KDEもしくはGNOMEデスクトップで利用可能な独自のLive CDが重要な位置を占めている。またSuSE 9.2より初めてISOイメージで構成されたディストリビューションがダウンロード可能になった。バージョン9.3において、Campus Versionとアップデートパッケージは打ち切られ、バージョン10.0以降は1つのバージョンにまとめられている。

 
SUSE Linux 10.0

バージョン10.2でSUSE Linuxの名称はopenSUSEに公式で変更になった。その後はopenSUSEとして開発が継続され、各バージョンのリリースを行っている。

2015年の暮れから、openSUSEは、主に2つの形に分けて提供されている。このうち、Leapは、より保守的な固定リリースで、SLEに基づいたディストリビューションである。一方、Tumbleweedは、ローリングリリースのディストリビューションで、アップストリームのプロジェクトから、最新の安定版のパッケージを統合することに注力している[7]

2011年4月27日、Attachmateは、Novellの取得を完了した。Attachmateは、Novellを2つの自律的なビジネスユニットに分割した。これはNovellとSUSEである。Attachmateは、SUSEとopenSUSEプロジェクトの関係性には何の変更も加えなかった。2014年のAttachmentグループのMicro Focusとの合併後は、SUSEはそのopenSUSEへのコミットメントを再確認している[8]

2018年7月2日、EQT Partnersは、SUSEを取得する意図があることを宣言した。SUSEとopenSUSEの関係性についての変化は予期されていない。この取得は、openSUSEプロジェクトの創設から3度目のSUSE Linuxの取得で、2019年3月15日にクローズされた[9]

インストール編集

x86-64のインストールメディアが公開されておりインストールするマシンのアーキテクチャにあったメディアを利用する。DVDのインストールメディアにはデスクトップ環境をはじめとした多数のパッケージが含まれる。デスクトップ環境を利用する際には、GNOME、KDE、Xfceのいずれかを選択してインストールすることができる。FTPHTTPでインストールできるイメージ(NET)も公開されている。

バージョン編集

名称 バージョン コードネーム リリース日[10] サポート期限 カーネルバージョン
通常[11] Evergreen[12]
SUSE Linux[13] 以前のバージョン、サポート終了: 10.0 Prague 2005年10月6日 2007年11月30日 N/A 2.6.13
以前のバージョン、サポート終了: 10.1 Agama Lizard 2006年5月11日 2008年5月31日 N/A 2.6.16
openSUSE 以前のバージョン、サポート終了: 10.2 Basilisk Lizard 2006年12月7日 2008年11月30日 N/A 2.6.18
以前のバージョン、サポート終了: 10.3 N/A 2007年10月4日 2009年10月31日 N/A 2.6.22
以前のバージョン、サポート終了: 11.0 N/A 2008年6月19日 2010年6月26日 N/A 2.6.25
以前のバージョン、サポート終了: 11.1 N/A 2008年12月18日 2011年1月14日 2012年4月 2.6.27
以前のバージョン、サポート終了: 11.2 Emerald 2009年11月12日 2011年5月12日 2013年11月 2.6.31
以前のバージョン、サポート終了: 11.3[14] Teal 2010年7月15日 2012年1月16日 N/A 2.6.34
以前のバージョン、サポート終了: 11.4[15] Celadon 2011年3月10日 2012年11月5日 2015年7月 2.6.37
以前のバージョン、サポート終了: 12.1[16] Asparagus 2011年11月16日 2013年5月15日 N/A 3.1.0
以前のバージョン、サポート終了: 12.2[17] Mantis 2012年9月5日 2014年1月15日 N/A 3.4.6
以前のバージョン、サポート終了: 12.3[18] Dartmouth 2013年3月13日 2015年1月1日 N/A 3.7.10
以前のバージョン、サポート終了: 13.1[19] Bottle 2013年11月19日 2016年2月3日 2016年11月[20] 3.11.6
以前のバージョン、サポート終了: 13.2[19] Harlequin 2014年11月4日 2017年1月16日 N/A 3.16.6
openSUSE Leap 以前のバージョン、サポート終了: 42.1[21] Malachite 2015年11月4日 2017年5月17日 N/A 4.1.12
以前のバージョン、サポート終了: 42.2[22] N/A 2016年11月16日 2018年1月26日[23] N/A 4.4
以前のバージョン、サポート終了: 42.3[24] N/A 2017年7月26日 2019年6月30日[25] N/A 4.4
以前のバージョン、サポート終了: 15.0[26][27][28] N/A 2018年5月25日[29] 2019年12月3日 N/A 4.12
以前のバージョン、まだサポート中: 15.1[30] N/A 2019年5月22日 2020年11月22日 ? 4.12 plus 46251
4.19から5.xの変更を含む
現在の安定版: 15.2[31] N/A 2020年7月2日 2021年11月 ? 5.3 [32]
openSUSE Tumbleweed[33] 現在の安定版: ローリングリリース N/A ローリングリリース N/A N/A 最新安定版
凡例:
旧バージョン
以前のバージョン、サポート中
最新バージョン
最新プレビュー版
将来のリリース

必要環境編集

openSUSE Leap 15.1は、64ビットのx86-64機で動作する[34][35]。 以下に、openSUSEの基本的な機能を利用する際に最低限推奨される条件を示す。

派生版編集

 
Slackware 系統樹

openSUSE派生版一覧に掲載され、パッケージ管理等が同様のもの

配布版 説明
SUSE Linux Enterprise Desktop SUSE Linux Enterprise Serverのデスクトップ版。
SUSE Linux Enterprise Server テスト済みのopenSUSEを母体にして安定させた。商用。
SUSE Studio openSUSE, SUSE Linux Enterprise Server 用に提供された、オンラインアプライアンス作成ツール、サービスである。

その他の派生版編集

脚注編集

  1. ^ Douglas DeMaio (2020年7月2日). “openSUSE Leap "15.2" Release Brings Exciting New Artificial Intelligence (AI), Machine Learning, and Container Packages”. openSUSE News. 2020年7月3日閲覧。
  2. ^ openSUSE:FAQ” (英語). opensuse.org (2018年2月22日). 2018年7月4日閲覧。
  3. ^ openSUSE 事始め”. Satoru Matsumoto (2008年10月26日). 2018年7月8日閲覧。
  4. ^ Portal:Tumbleweed”. ja.opensuse.org (2014年11月11日). 2018年7月8日閲覧。
  5. ^ Portal:Leap”. en.opensuse.org (2018年6月2日). 2018年7月8日閲覧。
  6. ^ Welcome to openSUSE Build Service”. build.opensuse.org. 2018年7月8日閲覧。
  7. ^ openSUSE Leap 42.1 Becomes First Hybrid Distribution” (英語). openSUSE News. 2019年6月4日閲覧。
  8. ^ [opensuse-announce Statement on the recent Merger announcement]”. lists.opensuse.org. 2016年5月1日閲覧。
  9. ^ Suse is once again an independent company” (英語). TechCrunch. 2019年6月4日閲覧。
  10. ^ openSUSE Roadmap”. 2019年2月28日閲覧。
  11. ^ openSUSE Lifetime”. 2019年2月28日閲覧。
  12. ^ openSUSE Evergreen”. 2019年2月28日閲覧。
  13. ^ but done by openSUSE project
  14. ^ Yunashko, Bryen (2010年7月15日). “openSUSE 11.3 is here!”. opensuse-announce mailing list. 2010年7月15日閲覧。
  15. ^ Portal 11.4: openSUSE 11.4 was released on Thursday the 10th of March 2011”. 2019年2月28日閲覧。
  16. ^ Portal 12.1: openSUSE 12.1 has been released on Wednesday, the 16th of November 2011”. 2019年2月28日閲覧。
  17. ^ Portal 12.2: openSUSE 12.2 has been released on Wednesday September 5th 2012”. 2019年2月28日閲覧。
  18. ^ Portal 12.3: openSUSE 12.3 has been released on Wednesday, March 13, 2013”. 2019年2月28日閲覧。
  19. ^ a b Supported Regular distributions”. 2019年2月28日閲覧。
  20. ^ Evergreen EOL”. 2019年2月28日閲覧。
  21. ^ Release Notes openSUSE 42.1”. 2019年2月28日閲覧。
  22. ^ Optimal Release for Linux Professionals Arrives with openSUSE Leap 42.2” (2016年11月16日). 2019年2月28日閲覧。
  23. ^ [security-announce openSUSE Leap 42.2 has reached end of SUSE support]”. 2019年2月28日閲覧。
  24. ^ OpenSUSE Roadmap” (2017年4月28日). 2019年2月28日閲覧。
  25. ^ openSUSE Leap 42.3 End of Life is Extended - openSUSE News
  26. ^ openSUSE Leap's Next Major Version Number” (2017年4月28日). 2019年2月28日閲覧。
  27. ^ Features 15.0 - openSUSE
  28. ^ Development Release: openSUSE 15.0 Beta (Build 109.3) (DistroWatch.com News)
  29. ^ openSUSE Leap 15 Release Scheduled for May 25” (2018年4月29日). 2019年2月28日閲覧。
  30. ^ openSUSE Leap 15.1 in the works” (2018年11月20日). 2019年2月28日閲覧。
  31. ^ DeMaio, Douglas (2020年7月2日). “openSUSE Leap "15.2" Release Brings Exciting New Artificial Intelligence (AI), Machine Learning, and Container Packages”. openSUSE Release Notes. openSUSE. 2020年7月2日閲覧。
  32. ^ Mailing-list OpenSUSE Factory”. 2020年2月17日閲覧。
  33. ^ Tumbleweed”. 2018年11月3日閲覧。
  34. ^ PowerPCへの対応は11.2以降公式リリースがなくなる (Re: [opensuse-ppc] OpenSuse11.2 on PPC 2009年11月12日 Marcus Meissner (opensuse-ppc ML))。有志によりビルドサービス と Factory でのパッケージ提供は続けられる模様。
  35. ^ 32ビットへの対応はLeap 42.1以降リリースバージョンとしては公開されていない。ローリングリリースモデルであるTumbleweedではサポートが継続されている。

関連項目編集

外部リンク編集