Sega VRは、かつてセガが開発していたヘッドマウントディスプレイを使用する仮想現実システム。

Sega VR
メーカー SEGA
種別 ヘッドマウントディスプレイ
発売日 未発売
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概要 編集

1993年にコンシューマー・エレクトロニクス・ショーコンシューマーゲーム機用のヘッドマウントディスプレイと仮想現実システムとして発表された[1][2]。当時のポピュラーサイエンス誌の表紙を飾るなど、仮想現実の実用化の到来を予期させるものだった[3]

実機試験が繰り返され、商品化されつつあったものの、健康に与える影響が懸念され、市販には至らなかった[1]

当時は技術水準(特にコンピュータの処理能力、トラッキングセンサーの性能)が現在の視点から見れば仮想現実を実現するためには不十分だったものの、バーチャルボーイのように主にゲーム機をはじめとしてアーケードゲームVirtuality等、各方面で開発が試みられた時代背景がある[2]

また1994年には並行して開発が進められていたVRアトラクション「VR-1 スペースミッション」がジョイポリス横浜)に導入された[4][5]。それらの経験はのちのZERO LATENCY VRやライド型アトラクション・ワイルドツアーシリーズの運営に活用される[4]

開発中止から15年以上が経過した2020年、ゲーム保護組織の運営者であるダスティン・ハバード(Dustin Hubbard)は、同デバイス向けのソフトを開発していたケネス・ハーリー(Kenneth Hurley)という人物から、"Nuclear Rush"というソフトのソースコードの提供を受ける。 ビデオゲーム歴史保存協会英語版のリッチ・ホワイトハウス(Rich Whitehouse)がこのソースコードをもとにサルベージを行い、現行(2020年時点)のOSならびにVRデバイスに向けた最適化を施したうえでエミュレータとROMのセットを公開した[5]。 サルベージにより、同作の画面リフレッシュレートが15Hzに固定されていたことが判明しており[注釈 1]、一部のメディアからはこれがプレイヤーの健康問題を引き起こしたのではないかと指摘している[5][6]。 また、本デバイスの自由度が3であることも判明しており、これは同デバイスがユーザーの頭の左右の回転と傾きしか検知せず、立ったり歩きながらのプレイができないことを意味する[6] [注釈 2]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ たとえば2020年に発売されたOculus Quest 2基本的なリフレッシュレートは72Hzであり、アップデートでは90Hzに対応した[6]
  2. ^ 2020年時点におけるハイエンドVRデバイスの自由度は6であり、プレイヤーの位置の変化も検知する[6]

出典 編集

  1. ^ a b 桑野雄 (2016年7月6日). “幻の「Sega VR」が発売できなかった理由、当時の関係者が明かす”. VR Watch. インプレス. 2016年12月26日閲覧。
  2. ^ a b PSVRを機に振り返るVR・立体視ゲームの歴史(その2)”. 2016年12月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年12月26日閲覧。 [要検証]
  3. ^ ポピュラーサイエンス (Bonnier Corporation) 242 (6): 82-86. (1993年6月号). ISSN 0161-7370. 
  4. ^ a b 【特集】VRで盛り上がるジョイポリス、だがセガは1994年にVRアトラクション「VR-1」を導入していた”. インサイド. イード (2016年7月6日). 2016年12月26日閲覧。
  5. ^ a b c レトロンバーガー Order 56:20年以上を経て「そもそも生まれてこられなかった」ゲーム達が再誕している。眠っている魂を呼び起こせ編”. www.4gamer.net. Aetas (2021年2月27日). 2021年2月28日閲覧。
  6. ^ a b c d 幻の「セガVR」用ゲームが発掘、現代のVRヘッドセットでプレイ可能に”. Engadget JP (2020年11月24日). 2022年2月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月28日閲覧。

関連項目 編集