Stack Exchange

質疑応答形式で議論できるウェブサイト群
Stack Exchange Networkから転送)

Stack Exchange(スタック・エクスチェンジ)は、様々な分野のトピックについて質疑応答 (Q&A) 形式で議論できるウェブサイト群である。各ウェブサイトごとに定められた分野において、質問・回答・ユーザーが評価システムの対象となる。評価システムは議論を円滑に進める役割を持つ。このウェブサイトの原型はプログラミング関連のQ&AサイトStack Overflowにある[6]。2017年4月地点で、人気サイトトップ3はStack Overflow、Super User、Ask Ubuntu英語版である[7]。ユーザーの投稿はクリエイティブコモンズ表示・継承3.0でライセンスされる[5]

Stack Exchange
Stack Exchange logo and wordmark.svg
タイプ Q&Aサイト
運営者 Stack Exchange Inc.[1]
設立者 ジェフ・アトウッド英語版ジョエル・スポルスキ
アレクサ
ランキング
ネガティブな増加 144 2017年4月1日 (2017-04-01)現在[2]
営利性 あり
登録 必要
設立日 2009年9月(8年前) (2009-09[3]
(2011年1月に再設立)[4]
ライセンス
ユーザーの投稿はクリエイティブコモンズ表示・継承3.0[5]

目次

歴史編集

2008年、ジェフ・アトウッド英語版ジョエル・スポルスキは、プログラマフォーラムExperts-Exchangeに置き換わるものとして、プログラミング関係のQ&A専門サイトStack Overflowを立ち上げた[8]。2009年に、Stack Overflowをベースに新たにサイトが追加された。システム管理者のためのServer Faultと「パワーユーザー」のためのSuper Userである[9]

2009年9月、スポルスキの会社Fog Creek SoftwareはStack Exchange 1.0のベータ版[3]を公開し、第三者がStack Overflow形式のコミュニケーションサイトを独自に立ち上げる方法を有償で提供した[10]。この経営戦略は成功せず、顧客数もサイト数も伸び悩んだ[11]

2010年5月、Stack Overflowは合計600万USドルの投資をUnion Square Venturesなどのベンチャーキャピタルから受け取り、方針を変えて新たに特定の分野[11]に特化したQ&AサイトをStack Exchange 2.0として増設することになった。ユーザーは「Area 51」と題されたサイトで新サイト案の投票を行い、影響力があり増設されすべきトピックをアルゴリズムで判断する[8]。2010年11月、Stack Exchangeは「ベータテスト」として数学、物理学、文芸を新トピックとして追加した[12]。2011年1月にStack Exchangeが公に公開され、この地点で33のサイト群、27人の従業員[13]、150万人のユーザーを抱えていた。広告もすでに入っていた[4]。2009年に立ち上げられたQuora[4]、WikiAnswers、Yahoo! Answers(日本でいうYahoo!知恵袋)がこの当時比較対象にされていた[14]

2011年2月、Stack OverflowはCareer 2.0という職業専門ボードを公開し、アクセスするために志願者は料金を支払う必要があった。後にStack Overflow Careersとして再公開された[15]。2011年5月、Stack Overflowは1200万USドルの追加支援金を集め、会社名をStack Exchangeに変更し[16]ニューヨークマンハッタンに拠点を置くことになった[17]。2012年2月アトウッドは会社を離れた[18]

2013年4月18日、CipherCloudはデジタルミレニアム著作権法(DMCA)による削除要求を、暗号アルゴリズムの脆弱性に関する議論をブロックするために発行した[19][20]。Stack Exchange Cryptoグループによるアルゴリズムの議論は検閲されたが、後に画像を除いて復活した[21]

2015年9月には、Stack Exchangeは会社名というよりは質疑応答ネットワークとして見なされるようになった。代わりにStack Overflowが会社名を表すようになった[22]

2016年の間にも、Stack Exchangeは分野の幅を広げるため、新たなQ&Aサイトを追加している[23]。例えば、投稿者がパズルの答えを求めて質問する他にも、すでに投稿者は答えを知っていて、ユーザーに挑戦する形で投稿する場も用意された[23]

サイトの特徴編集

Stack Exchangeの各サイトで、ユーザーは自由に質問を投稿し、応答することができる。ユーザーは質問回答の両方に対して投票をすることができ、ゲーミフィケーションとして評価を集めることができる[18][24]。この投票システムは公開当初、Digg と比較された。評価ポイントを集めると投票コメント機能が強化されていき、サイトの外見を変えることができるようになる[24]。Stack Exchangeのプロファイルは、キャリア掲示板での表示にも関わるので、ユーザーがプロファイルを弄る理由は十二分にある[15]。質問・回答自体に対しても、ユーザーはコメントを追加したり編集したりできる[25]。各々のStack Exchangeのサイトは「メタ」構造を持っており、MetaFilterを模した「MetaTalk」を使って、議論を展開することができる。独自に設計されたシステムによって、議論の終結を促す[26]

Stack Exchangeにある活動的なトピックには、物理学[27]コンピュータゲーム[28]特許[29]も含まれる。

Stack Exchangeネットワーク内の全ての投稿(質問や回答)の権利は投稿者に帰属し、その全コンテンツはクリエイティブコモンズ表示継承でライセンスされる[18][30]

使用されている技術編集

Stack ExchangeはIISSQL Server[31]ASP.NETフレームワーク[31]を使用して作られており、全サイトは一つのコードをベースに構築されている(ただしArea 51は独自にフォークされたもので運用されている[32])。ブログ系はWordPressを使用していたが、現在は残っていない[33]。他にも、RedisHAProxyElasticsearchも使用されている[31]

Stack Exchangeは、可能な限り最新のマイクロソフト技術を利用することを念頭に置いており、基本的にあらゆる部分で最新版のフレームワークを使う。コードは主にRazor View Engineを使ってC# ASP.NET MVCで書かれている。推奨される統合開発環境Microsoft Visual Studioで、データ管理にはDapperを使っている[34]

2016年に、Stack ExchangeはFortinet 800c FirewallsをCisco 5525-X ASAに置き換え[35]、ルーターをCISCO 3945からCISCO ASR-1001とAST-1001-xにアップグレードした[35]

Stack Exchangeは.NETライブラリをオープンソースで公開している[35]。公開されているライブラリはDapper、StackExchange.Redi、MiniProfiler、Exceptional、Jil、Sigil、NetGain、Opserver、Bosunである[35]。Stack Exchangeはオープンソース化は開発者コミュニティに有益であると考えている[35]

サイトの増設方式編集

Stack Exchange内で新たに作られるサイトは6つの検証ステップを通過しなければならない[36][37][38]

  1. 議論:新サイトは今後活発な議論がなされる可能性があるフォーラムでなければならない。
  2. 議案:議案を公にすることで、コミュニティのメンバーがそれについて議論・投票することができる。これによって、議案を改善していくことができる。議案が示さなければならないものは以下のとおりである。
    1. サイトのトピック
    2. ターゲットとなるユーザー像
    3. 40の質問例、少なくとも10の投票が必要
    4. 60人のコミュニティ・フォロワー
  3. 支持:200のユーザーが新サイトに興味を持ち、日常的に参加・貢献していること。
  4. プライベート・ベータ:支持が十分に集まれば、新サイトはプライベート・ベータとなり、支持メンバーはより活動的にサイトを使用することができるようになる。
  5. パブリック・ベータ:新サイトは長い期間公開状態となり、正式に立ち上げるまでの間、作成者はサイトの必要性を探ることができる。
  6. 出発:新サイトが、十分な量の質問・回答を日常的に集め、「持続可能」であると判断された場合、晴れて「出発」して正式に公開となる。

脚注編集

  1. ^ stackexchange.com Site Overview”. Alexa (2015年3月3日). 2015年7月30日閲覧。
  2. ^ a b Find the answer to anything with StackExchange”. The Web Life. ZDNet (2009年9月27日). 2012年12月16日閲覧。
  3. ^ a b c Q&A websites like Quora and Stack Exchange take off”. USA Today (2011年1月24日). 2012年12月16日閲覧。
  4. ^ a b Attribution Required «  Blog – Stack Exchange”. 2015年2月14日閲覧。
  5. ^ A Theory of Moderation”. Stack Exchange Blog (2009年5月17日). 2012年12月16日閲覧。
  6. ^ All Sites - Stack Exchange” (en). 2017年4月1日閲覧。
  7. ^ a b With Debut of Web Apps Q&A Site, Stack Exchange Perfects Automated Site Launch Process”. ReadWriteWeb (2010年7月8日). 2012年12月16日閲覧。
  8. ^ Super User - question and answer site for power users”. DownloadSquad. AOL (2009年8月20日). 2017年4月1日閲覧。
  9. ^ StackOverflow Shares its Mojo: White Label Q&A for All”. ReadWriteWeb (2009年10月12日). 2017年4月1日閲覧。
  10. ^ a b All-Star Team Backs StackOverflow to Go Beyond Programming Questions”. ReadWriteWeb (2010年5月4日). 2012年12月16日閲覧。
  11. ^ Stack Overflow's Crowdsourcing Model Guarantees Success”. The Atlantic (2010年11月18日). 2012年12月16日閲覧。
  12. ^ Forget Quora, New York’s Stack Overflow Is Killing It”. BetaBeat (2011年1月25日). 2012年12月30日閲覧。
  13. ^ Jenna Wortham (2011年2月6日). “The Answers Are Out There, and New Q. and A. Sites Dig Them Up”. New York Times. https://www.nytimes.com/2011/02/07/technology/07question.html?pagewanted=all&_r=0 2012年12月31日閲覧。 
  14. ^ a b Stack Exchange launches programmer recruiting site”. CNet (2011年2月23日). 2012年12月16日閲覧。
  15. ^ Q&A startup Stack Overflow gets new name, more funding”. VentureBeat. Reuters (2011年3月9日). 2012年12月16日閲覧。
  16. ^ Stack Overflow Rides Experts & Order to Q&A Success”. GigaOM (2011年2月16日). 2012年12月30日閲覧。
  17. ^ a b c Stack Overflow Man Remakes Net One Answer at a Time”. Enterprise. Wired (2012年7月5日). 2012年12月16日閲覧。
  18. ^ CipherCloud used DMCA Takedown on StackExchange discussion of the cryptography”. 2017年5月2日閲覧。
  19. ^ CipherCloud Invokes DMCA To Block Discussions of Its Crypto System”. 2017年5月2日閲覧。
  20. ^ How is CipherCloud doing homomorphic encryption”. 2017年5月2日閲覧。
  21. ^ Hanlon, Jay (2015年9月15日). “We're Changing Our Name (Back) to Stack Overflow”. 2017年4月1日閲覧。
  22. ^ a b Ericson, Jon (2017年1月26日). “Stack Exchange Year in Review 2016”. 2017年4月1日閲覧。
  23. ^ a b FAQ: What is Reputation?”. Stack Overflow. 2010年1月19日閲覧。
  24. ^ Stack Overflow raises $6M to take its Q&A model beyond programming”. Deals. VentureBeat (2010年5月4日). 2012年12月31日閲覧。
  25. ^ Conquering the CHAOS of Online Community at Stack Exchange”. BetaBeat (2011年12月7日). 2012年12月16日閲覧。
  26. ^ Physics Stack Exchange”. Cosmic Variance. Discover Magazine (2011年1月13日). 2012年12月31日閲覧。
  27. ^ Stack Exchange Growing 40 Percent a Month, Gaming Vertical Up 250 Percent”. BetaBeat (2011年12月9日). 2012年12月31日閲覧。
  28. ^ Open Season on Patents Starts Thursday, Thanks to Crowdsourced Platform”. Threat Level. Wired (2012年9月20日). 2012年12月31日閲覧。
  29. ^ Legal — Terms of Service”. Stack Exchange (2014年12月11日). 2014年12月21日閲覧。
  30. ^ a b c What it takes to run Stack Overflow” (2013年11月22日). 2014年10月2日閲覧。
  31. ^ Does StackExchange 2.0 Share the Same CodeBase with SO?”. 2017年4月1日閲覧。
  32. ^ Grace Note (2017年3月1日). “We will no longer be hosting Blog Overflow”. 2017年3月3日閲覧。
  33. ^ Stack Meta”. Stack Meta. 2017年5月2日閲覧。
  34. ^ a b c d e Nick Craver - Stack Overflow: The Architecture - 2016 Edition”. 2017年4月1日閲覧。
  35. ^ Sewak, M. (18 May 2010). “Finding a Growth Business Model at Stack Overflow, Inc.”. Stanford CasePublisher (Stanford University School of Engineering) Rev. July 20, 2010 (2010-204-1): 31. 204-2010-1. http://www.stanford.edu/class/ee204/Publications/Finding%20a%20Growth%20Business%20Model%20at%20Stack%20Overflow.pdf 2014年5月23日閲覧。. 
  36. ^ Changes to Stack Exchange – Stack Overflow Blog”. 2016年1月19日閲覧。
  37. ^ FAQ - Area 51 - Stack Exchange”. Stack Exchange, inc. (2014年). 2014年6月30日閲覧。

関連項目編集

外部リンク編集