T1軽戦車(T1けいせんしゃ、T1 Light Tank)とは、1920年代後半から1930年代前半にかけてアメリカ陸軍が試作した軽戦車である。

T1E1軽戦車(M1軽戦車)
Light Tank T1E1.jpg
T1E1軽戦車
性能諸元
全長 3.87 m
車体長 上に同じ
全幅 1.79 m
全高 2.18 m
重量 7.5 t
懸架方式 イコライジングリンク、スプリング無し
速度 29 km/h
行動距離 105 km
主砲 M1918 37 mm 短戦車砲
副武装 M1919 7.62 mm 機銃(同軸)
装甲 6.4-9.5 mm
エンジン カニンガム 水冷V型8気筒ガソリン
110 hp
乗員 2 名
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1928年1月にはT1E1軽戦車が一時制式化され、M1軽戦車となった。

概要編集

1920年代前半、アメリカ陸軍は今後の戦車開発の方針として、5トン級の軽戦車と15トン級の中戦車の2種類を配備することを決定した。その内の5トン級軽戦車がT1軽戦車である。

1926年に歩兵委員会が、第1戦車群用歩兵用軽戦車(ルノー FT-17 軽戦車の後継)として、「.50口径/.30口径 機銃交換可能、戦闘重量6 t以内、最大速度32 km」といった要求を出し、これに応じて、陸軍省兵器局自動車部のラムベル少佐により、1927年1月21日から設計を開始、3月末からカニンガム社[1]で試作が始まった。

T1軽戦車シリーズは、1927年の開発以降、1932年まで改良され続け、「T1・T1E1・T1E2・ T1E3・T1E4・T1E5・T1E6」の7種類のバリエーションがある。T1軽戦車シリーズは試作のみで量産は一切なされず、戦闘にも一切用いられなかった。

上記の各型のうち、T1E4とT1E6はイギリスヴィッカース 6トン戦車の影響を受け、車体構造や懸架装置を一新した、他の型とは全くの別物であった。このT1E4が、後のM1戦闘車M2軽戦車につながる、現用アメリカ戦車の直系の先祖となった。

各型編集

T1
原型試作車。1927年に1輌製造。評価試験の後、シャーシを他の型の試験に再利用するために解体された。
車体構造はフロントエンジン・リアトランスミッション・リアファイナルドライブで、車体前部に操縦手席、車体後部の人力旋回砲塔内に車長兼砲手兼機銃手席がある。武装は主砲にフランス製のM1916 37 mm 歩兵砲(初速367 m/s)の米国産版の車載型である M1918 37 mm 短戦車砲を、副武装に主砲同軸にブローニング M1919 7.62 mm 機関銃を装備した。
  • 装甲厚:6.4 mm~9.5 mm
  • 重量:6.8 t
  • エンジン:カニンガム 水冷V型8気筒ガソリンエンジン(105 hp)
  • 最高速度32 km/h
T1E1
T1の改良型。1928年に4輌製造。1928年1月にM1軽戦車として制式化されるも、2ヵ月後の1928年3月に制式化取り消しとなった。
T1に比べ、車体が無限軌道より前方に飛び出ていない、燃料タンクを車体後部両側(無限軌道の上)に移動、などのマイナーチェンジが行われた。エンジンはわずかに出力が向上したものに変更されたが、総重量が増加したこともあり、最高速度は減少している。
  • 装甲厚:6.4 mm~9.5 mm
  • 重量:7.5 t
  • エンジン:カニンガム 水冷V型8気筒ガソリンエンジン(110 hp)
  • 最高速度:29 km/h
T1E2
T1E1の改良型。1929年に1輌製造。装甲を増厚し、主砲を長砲身のブローニング 37 mm 半自動砲(初速610 m/s)に換装。エンジンを更に出力を増したものに変更したが、やはり重量の増加により最高速度は減少している。主砲は後に旧式のM1918 37 mm 短戦車砲に再換装された。
  • 装甲厚:6.4 mm~15.9 mm
  • 重量:8.1 t
  • エンジン:カニンガム 水冷V型8気筒ガソリンエンジン(132 hp)
  • 最高速度:26 km/h
T1E3
1930年にT1E1の内1輌をアメリカ陸軍兵器局(Ordnance Department)が改修して製造。主砲を長砲身の ブローニング 37 mm 半自動砲(初速610 m/s)に換装し、コイルスプリングと油圧ショックアブソーバーの採用により懸架装置の能力を向上させている。これにより、滑らかな乗り心地を実現して乗員への負荷が減少し、走破能力の向上により最高速度が35.2 km/hに向上した。
  • 装甲厚:6.4 mm~15.9 mm
  • 重量:7.7 t
  • エンジン:カニンガム 水冷V型8気筒ガソリンエンジン(132 hp)
T1E4
1932年製造。ヴィッカース 6トン戦車を参考に車体構造を一新し、リーフスプリング・サスペンションを採用、リアエンジン・フロントトランスミッション・フロントファイナルドライブ方式となった。エンジン出力も向上され、主砲は M1924 37 mm半自動砲(初速410 m/s)に換装されている。
  • 装甲厚:6.4 mm~15.9 mm
  • 重量:7.8 t
  • エンジン:カニンガム 水冷V型8気筒ガソリンエンジン(140 hp)
  • 最高速度:32 km/h
T1E5
T1E1の改良型。1932年製造。それまでのクラッチ-ブレーキ・ステアリング・システムからコントロールド・ディファレンシャル・ステアリング・システムに換装し、結果は良好であった。エンジンは-E4と同じ カニンガム水冷V型8気筒ガソリンエンジン(140 hp)に変更している。
T1E6
T1E4の改良型。1932年製造。武装はT1E4と同様である。装甲厚を増加させ、エンジンをアメリカン・ラフランス社製のものに変更している。
  • 装甲厚:9.5 mm~15.9 mm
  • 重量:9.03 t
  • エンジン:アメリカン・ラフランス 水冷V型12気筒ガソリンエンジン(244 hp)
  • 最高速度:32 km/h

登場作品編集

World of Tanks
アメリカ軽戦車T1 CunninghamおよびT1E6として登場。

脚注・出典編集

  1. ^ ニューヨーク州ロチェスターに拠点を置くカニンガム社(正式名称:ジェームズ・カニンガム・サン・アンド・カンパニー(James Cunningham, Son and Company))は、元々は馬車(コーチ)を製造していたが、1908年以降、自動車を製造していた。

関連項目編集

外部リンク編集