T22型水雷艇1939型艦隊水雷艇Flottentorpedoboot 1939)とは、ナチス・ドイツ海軍(Kriegsmarine)が第二次世界大戦において運用した水雷艇である。1942年から1944年にかけて15隻が就役した。

1939型水雷艇

T35(アメリカ海軍が接収中)
基本情報
艦種 艦隊水雷艇 / 駆逐艦
命名基準 T(水雷艇の識別記号)+番号のみ
艦名無し
建造所 シハウ(Schichau)造船
運用者  ナチス・ドイツ海軍
 フランス海軍
 ソビエト連邦海軍
就役期間 1941年 - 1945年
同型艦 15隻
前級 1937型水雷艇
次級 無し
要目
排水量 1,295t(基準)、1,755t(満載)
全長 102.5m
最大幅 10m
吃水 3.22m
機関方式 ワーグナー式蒸気ボイラー×4基
ワーグナー式ギヤードタービン×2基
出力 32,560馬力、2軸推進
速力 32.5ノット
航続距離 2,400海里(19ノット航行時)
乗員 205名
兵装 SK C/32 105mm単装砲×4基
37mm対空機関砲×4基
20mm対空機関砲×6基
3連装533mm魚雷発射管×2基
機雷×50発
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15隻全てがシハウ造船のエルビンク(現:ポーランド領エルブロンク)造船所で建造されたことから、連合国ではエルビンク級水雷艇(Elbing class torpedo boat)とも呼ばれる。

概要 編集

1939年度建艦計画において3隻の建造が計画されていたことから、設計自体は1939年までに終わっていた模様。

100mを超える全長や1,000tを超える基準排水量など従来の1923型/1924型水雷艇1935型/1937型水雷艇よりも大型化されており、凌波性や航行性が向上したほか航続距離も延長されている。また1935型/1937型と比較するとボイラーの配置が変更されたため煙突が2本に増えるなど艇形も変化している。

武装については、105mm砲を4門搭載するなど対空・対水上火力が大幅に強化されたため汎用性が向上し、雷撃だけでなく多種多様な任務により柔軟に対応可能となった。このため、小型駆逐艦として船団護衛などの任務にも投入されている。

第二次世界大戦当時のドイツ海軍艦艇の例に漏れず損失も多く、ドイツ敗戦までに11隻が失われた。残存の4隻もアメリカ(後にフランスに譲渡)とフランス、ソ連が賠償艇として接収し、1950年代後半まで自国海軍で運用した後にスクラップとされた。

同型艦 編集

艇名 起工 進水 就役 備考
T22 1940年7月1日 1941年7月20日 1942年2月28日 1944年8月18日、バルト海にて自軍の機雷に触雷・沈没。
T23 1940年8月1日 1941年6月14日 1942年6月14日 フランス海軍が賠償艇として接収し、ラルザシアン(L´Alsacien)として再就役。1955年2月に解体。
T24 1940年9月21日 1941年9月13日 1942年10月17日 1944年8月24日、ジロンド県ル・ヴェルドン・シュル・メール沖にて英空軍の爆撃により撃沈。
T25 1940年11月30日 1941年12月1日 1942年12月12日 1943年12月28日、ビスケー湾にてイギリス艦隊と交戦し撃沈(ストーンウォール作戦)。
T26 1941年5月10日 1942年2月18日 1943年2月27日 1943年12月28日、ビスケー湾にてイギリス艦隊と交戦し撃沈(ストーンウォール作戦)。
T27 1941年6月28日 1942年8月20日 1943年4月17日 1944年5月4日、交戦の翌日に爆撃を受け撃沈。
T28 1941年9月24日 1942年6月24日 1943年6月19日 フランス海軍が賠償艇として接収し、ル・ロラン(Le Lorrain)として再就役。1959年に解体。
T29 1941年12月12日 1943年1月16日 1943年8月21日 1944年4月26日、カナダ海軍艦と交戦し撃沈。
T30 1942年3月4日 1943年3月13日 1943年10月24日 1944年8月18日、バルト海にて自軍の機雷に触雷・沈没。
T31 1942年6月29日 1943年5月22日 1944年2月5日 1944年6月20日、バルト海にてソ連海軍魚雷艇の雷撃により撃沈。
T32 1942年10月27日 1943年7月17日 1944年5月8日 1944年8月18日、バルト海にて自軍の機雷に触雷・沈没。
T33 1943年1月20日 1943年9月4日 1944年6月15日 ソ連海軍が賠償艦として接収し、プリメールヌイПри­мерный)として再就役。1957年~1958年に解体。
T34 1943年3月5日 1943年10月23日 1944年8月12日 1944年11月20日、リューゲン島アルコナ岬沖にて、触雷・沈没。
T35 1942年 1943年12月11日 1944年10月7日 アメリカ海軍が各種試験用に接収。試験終了後はフランス海軍にスペアパーツ供給源として譲渡。
T36 1943年6月10日 1944年2月5日 1944年12月9日 1945年5月5日、スヴィネミュンデ沖において、触雷により損傷後、爆撃を受け撃沈。

参考文献 編集

  • 「世界の艦船増刊 1982年12月号増刊 第12集 第2次大戦のドイツ軍艦」(海人社)

関連項目 編集

外部リンク 編集

  • Flottentorpedoboot 1939T22型水雷艇の各艦の艦形のわかる図とスペックと艦歴があるページ。(独語)