TNT換算
TNT換算(ティーエヌティーかんさん、英: TNT equivalent)とは、爆薬の爆発などで放出されるエネルギーを等エネルギー量のトリニトロトルエン(TNT)の質量に換算する方法である。
TNT換算トン | |
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記号 | T, t |
系 | 非SI単位 |
量 | エネルギー |
SI | 4.184×109 J = 4.184 GJ |
定義 | 109 cal |
由来 | TNT火薬1トンの爆発力 |
TNT換算で得られる質量をTNT当量という。TNT当量が1トン(1メトリックトン = 1000キログラム)であるエネルギーを、1TNT換算トン、1TNTトン、あるいは誤解の余地がないときは単に1トンといい、必要に応じてキロ (1000)、メガ (100万) のSI接頭語をつけて使う。
ニュースなどでも「A国の原爆BはTNT換算で50キロトンの破壊力」などと表す使い方が一般的に見かけられる。TNT換算で評価できるのは爆発時の破壊力だけであり、核兵器の使用に伴う放射線障害や放射能汚染は考慮されない。
なお、核爆弾以外の通常爆弾で、何トン爆弾という表現が使われることがあるが、これは爆弾の実際の質量であり、TNT当量ではない。
定義
編集TNTとは高性能爆薬の名称である。TNT1グラムは、理論上は1160カロリーの化学エネルギーを有するが、TNT爆薬1グラムの爆発で放出されるエネルギーは、実際には980カロリーから1100カロリーまでの幅がある。
このため計算に便利なよう、1TNT換算グラムは1000カロリーと定義されている。したがって、
- 1TNT換算キログラム = 106カロリー
- 1TNT換算トン = 109カロリー
カロリーには複数の定義があるが、通常は、1カロリー = 4.184 J(ジュール)(熱化学カロリー(thermochemical calorie))であり、1TNT換算トン = 4.184×109 Jとなる。米国のNISTでもこの数値を採用している[1]。
由来
編集1945年7月16日にアメリカ合衆国で人類最初の原子爆弾の実験(トリニティ実験)が行われたが、これに先立つ5月17日に同所で108tのTNT火薬による予備実験が行われた。以来、核兵器の爆発力の測定の単位になった。
例
編集広島市に落とされた原子爆弾(リトルボーイ)は、TNT換算で16 kt ± 2 kt である(リトルボーイ#核出力)。これは、
- 16×103 × 4.184×109 J = 6.694×1013 J
と換算できる。
長崎市に落とされた原子爆弾(ファットマン)は、TNT換算で21 kt ± 2 ktである。
世界最大の水素爆弾とされるツァーリ・ボンバは、TNT換算で50メガトンである(諸説あり)。
比喩的に「メガトン級」や「ギガトン級」などという言葉が使われる事もある。
グラム単位 | 記号 | トン単位 | 記号 | エネルギー |
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グラム | g | マイクロトン | μT | 4.184×103 J |
キログラム | kg | ミリトン | mT | 4.184×106 J |
メガグラム | Mg | トン | t | 4.184×109 J |
ギガグラム | Gg | キロトン | kt | 4.184×1012 J |
テラグラム | Tg | メガトン | Mt | 4.184×1015 J |
ペタグラム | Pg | ギガトン | Gt | 4.184×1018 J |
出典
編集- ^ Special Publication 811(NIST Guide to the SI), Appendix B.8: Factors for Units Listed Alphabetically ton of TNT (energy equivalent)の欄、正確に「4.184E+09」としている。