Virtual Local Area Network
(VLANから転送)
Virtual Local Area Network(バーチャル・ローカル・エリア・ネットワーク、VLAN、仮想LAN)は、コンピュータネットワークにおいて、通信帯域の有効利用や情報セキュリティの向上などを目的として、物理的な接続形態とは別に仮想的にLANセグメントを構成することである。LANスイッチ(レイヤ2スイッチ)などのネットワーク機器の機能により、スイッチの接続ポートやMACアドレス、プロトコルなどに応じて、LANセグメントの分離を実現する。
概要編集
VLANを構成する目的は
- ネットワークの大規模化に対してブロードキャスト・ドメインを分割することで通信帯域を確保する
- 部署・用途に応じてLANセグメントを分離し、アクセスを制限することでネットワークセキュリティを確保する
ことである。VLAN間はレイヤ3スイッチなどを用いてルーティングすることでトラフィックを疎通させる。
VLANは、LAN内の論理的なサブグループで、デバイスを物理的に移動して分離するのではなく、ソフトウェアによって作成される[1]。
VLANは、物理的な位置に制約されず、あたかも共通のLAN上にあるかのように通信できるエンドステーションのグループからなるブロードキャストドメインである[1]。
VLANの方式編集
- ポートベースVLAN
- スイッチの接続ポートによりLANセグメントを分離する方式である。
- MACベースVLAN
- 接続される機器のMACアドレスにより所属するLANセグメントを分離する方式である。
- サブネットベースVLAN
- 接続される機器のIPアドレスのサブネットによりLANセグメントを分離する方式である。
- プロトコルベースVLAN
- IP、IPX、AppleTalkなどのネットワークプロトコルによりLANセグメントを分離する方式である。Ethernet IIまたはIEEE 802.3におけるEther Type値を参照してイーサネットから見た上位レイヤのプロトコルを識別する。
- タグVLAN
- 詳細はIEEE 802.1Qを参照のこと。
- イーサネットヘッダのSource MACとEthner Type/Sizeの間に識別タグ(VLANタグ)を挿入し、これによりLANセグメントを分離する方式である。IEEE 802.1Qで規定されている。 これにより、一つの通信ポートで複数の異なるVLANを通信させることが可能になる。主に複数のLANスイッチにわたってVLANを構成したりする為に用いられる。但し、フレームにタグが付くため、最大フレーム長が長くなり、タグ付きのフレームを通過させるだけの機器も、この通常より大きなフレームに対応していなければならない。1回線で複数のタグVLANのパケットを通信する接続を「トランク接続」と言う。
- マルチプルVLAN
- 通常のポートベースVLANに加え、マルチプルポートと呼ばれるポートを設定する事が可能な方式。マルチプルポートはポートベースで設定した全てのVLANグループがオーバーラップしており、全てのVLANグループと通信可能である。タグVLANと異なる点は、アップリンクの接続先がVLAN非対応の端末でも使用可能という点である。
リンクの種類編集
- アクセスリンク : 端末を接続するための1つのVLANにしか属していないポートを利用したリンクである。
- トランクリンク : 複数のタグVLANに属するサーバやルーターを接続するリンク(ポート)である。
出典編集
- ^ a b Stallings, William (2016). Foundations of modern networking : SDN, NFV, QoE, IoT, and Cloud. Florence Agboma, Sofiene Jelassi. Indianapolis, Indiana. ISBN 978-0-13-417547-8. OCLC 927715441
参考文献編集
- 中嶋章『図解入門 よくわかる 最新ネットワーク技術の基本と仕組み』(初版)秀和システム、2016年10月3日。ISBN 978-4-7980-4764-5。
関連項目編集
- Local Area Network
- LANスイッチ
- レイヤ2スイッチ
- レイヤ3スイッチ
- VLANホッピング
- Shortest Path Bridging (IEEE 802.1aq) 4096から16000000 VLANを拡張