Wikipedia:メインページを削除しない

「クリックできる」と「クリックするべき」はイコールでありません

英語版ウィキペディアのある管理者がIRCメインページは削除できるのかとチャットしたときのこと。メインページのような、編集回数が5,000回を超える記事を管理者が削除する機能はまだ無効化されているのかとたずねると、別の管理者が、試したことはあるけれどメインページは削除できない仕様のままだと(冗談で)チャットをいれた。質問をした管理者は自分でも試してみようと考えた。そしてそのままメインページを削除したのだった[1][注釈 1]

これだけ聞けば笑い話かもしれないが、あえてウィキペディアの私論風にまとめるなら、冗談でいったことが真面目に受け取られることはままある、ということだ。「冗談が通じないね」と後になって言わなければいけなかったのなら、そもそも冗談を言うべきではなかった。混乱をまねくようなことはたとえ冗談でもいうべきではない、ともいえるだろう。それがユーモアや皮肉で言われていると気づかない誰かが、とんでもないことを実行しかねないからだ。

ちなみに英語版ウィキペディアの「Village stocks」(「広場のさらし台」)でたたえられているように、この事件から一月もたたないうちに、別の管理者がサンドボックスを削除して30分あまりもサーバーをロック状態におき、編集回数が5,000回を超えるページについては管理者でも削除できない仕様の導入が急務となった[注釈 2]

いまの英語版ウィキペディアでは、ソフトウェアによってメインページの削除機能については特殊な保護がかけられている[2][3]

関連項目 編集

 
この事件によって、ウィキペディアの脆弱性が浮き彫りになったともいえる。いま英語版ウィキペディアで同じことを試そうとすると、画像のようなメッセージが表示される。「メインページを削除または移動することはできません」。よかった。これであなたも英語版の管理者になったときは、安心して試すことができるだろう。

脚注 編集

注釈
  1. ^ ウィキペディアの歴史は長く、したがってこれがメインページが削除された最初の事例というわけではない(以下の削除記録も参照)。削除された場合でも管理者自身による行為が原因ではないこともある。例えば2007年12月8日に削除されたときは管理者がログアウトを忘れて家族か誰かが操作したものであり、2007年5月の削除はパスワードが盗まれたのが原因である可能性が高い
  2. ^ しかもこのときはメインページが削除できないように(編集回数が5,000回を超えるように)botを使って1,200回もの無意味な編集をした利用者まで現れた
出典
  1. ^ "I deleted the Main Page". Wikipedia:Administrators' noticeboard/IncidentArchive363. Retrieved 21 February 2010.
  2. ^ Fwd: Re: Deletion of large pages Tim Starling, WikiEN-l Mailing List, February 4, 2008.
  3. ^ The code that implements the protection