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PowerShell(パワーシェル)は、マイクロソフトが開発した拡張可能なコマンドラインインターフェイス (CLI) シェルおよびスクリプト言語である。オブジェクト指向に基づいて設計されており、.NET Framework (Windows PowerShell 5系以前) あるいは.NET Core (PowerShell Core 6系以降) を基盤としている。

PowerShell
PowerShell
PowerShellのロゴ
パラダイム 命令型プログラミングオブジェクト指向プログラミング関数型言語、reflective programming、手続き型プログラミング ウィキデータを編集
登場時期 2006年11月14日(12年前) (2006-11-14
設計者 Jeffrey Snover、Bruce Payette、James Truher、他
開発者 マイクロソフト ウィキデータを編集
最新リリース 6.2.3 / 9月 12, 2019[1]
型付け 強い型付け型推論動的型付け
影響を受けた言語 Perl、AS/400 Control Language、PythonKornShellC Sharp、DIGITALコマンド言語、SQLTcl/TkTk、Chef (ソフトウェア)、Puppet ウィキデータを編集
プラットフォーム Microsoft WindowsWindows ServerUbuntuDebianCentOSRed Hat Enterprise LinuxOpenSUSEFedoraArch LinuxMacOS ウィキデータを編集
ライセンス MIT License(Windowsコンポーネントはプロプライエタリ
ウェブサイト
拡張子 .ps1
テンプレートを表示
Windows PowerShell
Microsoft Windows コンポーネント
詳細
種別 コマンドライン シェル
標準提供 Windows 7
Windows 8
Windows 8.1
Windows 10
Windows Server 2008 R2
Windows Server 2012
Windows Server 2012 R2
Hyper-V Server 2008 R2
追加提供 Windows XP
Windows Vista
Windows Server 2003
Windows Server 2008
関連コンポーネント
cmd.exe

かつてはMicrosoft Shell(MSH、コードネーム Monad[2])と呼ばれていた。

Windows 7以降のオペレーティングシステム (OS) には標準で搭載されている。

歴史編集

マイクロソフトによるOSにはMS-DOSからWindowsに至るまで、どのバージョンにもコマンドラインシェルが付属した。それは、かつてはCOMMAND.COMであり、Microsoft Windows NTベースの製品においてはcmd.exeであった。これらのツールはグラフィカルユーザインタフェース (GUI) で提供されるような管理機能の自動化や再利用に必ずしも長けているとは言えなかった[3]。これはコマンドライン内の制限によるものであり、マイクロソフトが高品質なコマンドラインツールを提供しなかったためでもあった[4]

マイクロソフトはコマンドラインツールの短所を補うものとして、1998年にWindows 98Windows Script Host (WSH) を提供した。これは様々なスクリプト言語を実装するための新しいソフトウェアであった。しかしWSHはシェルに統合されていないという欠点があり、ドキュメントも非常に使いにくいものだった。またWSHの持つセキュリティ上の欠陥をつくコンピュータウイルスがいくつか出現したため、システム上の脆弱性とみなされたこともあり、広く普及するには至らなかった。

そして2003年、マイクロソフトはWindowsや自社製品のシステム管理・自動化を行うための新世代シェルとして、またスクリプトとして実行可能なプログラミング言語としてMonad(後の PowerShell)を発表した。

2015年9月現在、Windows PowerShellの正式な最新バージョンは5.0であり、Windows 10に標準搭載されている[5]Windows 8.1に標準搭載されているバージョンは4.0、Windows 8に標準搭載されているバージョンは3.0、Windows 7に標準搭載されているバージョンは2.0となる[6]

2016年8月には、PowerShellのオープンソース化、並びにLinuxOS Xへの移植が発表された。これは同年6月にリリースされたオープンソースの.NET Coreに続くものとなった[7]

変遷編集

Windows PowerShell編集

Windows PowerShell 1.0編集

2003年9月、コードネーム Monadが公開された。2006年4月、正式名称がWindows PowerShellとなることが発表され、リリース候補 (RC) 1がリリースされた。2006年9月、RC2リリース。

2006年11月、Windows PowerShell 1.0がウェブ上でリリースされた (RTW)。動作には .NET Framework 2.0を必要とする。2007年1月、PowerShell 1.0 for Vistaがリリースされた。

マイクロソフトはこれからの主なGUIツールはPowerShell上に構築されると表明し、主な管理機能がスクリプト可能になるとした。例えば、Exchange Server 2007の管理ツールはPowerShellの上に構築されている。多くの日常的な場面でPowerShellcmd.exeやWSHを置き換えるものとして利用できる。

Windows PowerShell 2.0編集

2009年10月リリース。

Windows PowerShell 3.0編集

2012年9月リリース。動作には.NET Framework 4を必要とする。

Windows PowerShell 4.0編集

2013年10月リリース。動作には.NET Framework 4.5を必要とする。

Windows PowerShell 5.0編集

2015年12月リリース[注釈 1][8][9][10]。動作には.NET Framework 4.5を必要とする。

Windows PowerShell 5.1編集

2016年8月リリース。Windows 10 Anniversary Update及びWindows Server 2016の標準バージョン。

Windows PowerShell 5.1はDesktopCoreの2つのエディションを提供する[注釈 2]Desktop Editionは従来どおりのWindows PowerShellで、Core EditionはNano Serverで実行するために、.NET Core上に構築され、いくつかの機能が削減されている[12]

Windows PowerShellのバージョンと対応OS
項目 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0
Windows Server 2003 ○SP1 ○SP2 × × ×
Windows Server 2003 R2 ○SP1 ○SP2 × × ×
Windows Server 2008 ○SP1 ○SP1 ○SP2 × ×
Windows Server 2008 R2 ○SP1 ○SP1 ○SP1
Windows Server 2012
Windows Server 2012 R2
Windows XP x64 × × × ×
Windows XP ○SP2 ○SP3 × × ×
Windows Vista ○SP1 × × ×
Windows 7 ○SP1 ○SP1 ○SP1
Windows 8 × ×
Windows 8.1
Windows 10

「◎」標準搭載、「○」インストールして利用可能、「→」上位バージョン標準搭載、「×」利用不可

PowerShell Core編集

PowerShell Core 6.0編集

2016年8月、オープンソース化、Linux/OS Xへの移植を発表[7]

2018年1月、PowerShell Core 6.0リリース[13][11]。ランタイムとして.NET Frameworkに代わり.NET Core 2.0を使用する。これによりPowerShell Core6はWindowsmacOSLinuxで動作が可能になった[14]

PowerShell Core 6.1編集

2018年9月、PowerShell Core 6.1リリース[15]。 Windows 10およびWindows Server 2019との互換性強化、サポートプラットフォームの強化[16]が図られている。.NET Core 2.1を使用する。

PowerShell Core 6.2編集

2019年3月、PowerShell Core 6.2リリース[17]

PowerShell 7編集

PowerShell 7は2019年中にリリース予定[18]。PowerShell Core 6.xの後継であり、Windows PowerShell 5.1の代替となる予定。

基本的な概念編集

PowerShellはオブジェクト指向言語であり[19]、基本的な機能をもつ様々なコンポーネントを組み合わせたタスクによって構成される。[注釈 3]コンポーネントは、コマンドレット (cmdlet) と呼ばれるプログラムであり、その実体は.NETのクラスである[20]

コマンドレット間でのデータの受け渡しは、古典的なUNIX型アプローチ(テキスト入出力をパイプする)とは異なり、オブジェクト(構造化されたデータ)で行なわれる。コマンドラインから個別にアクセスされた場合、コマンドレットの出力は自動的にテキストに変換されるが、出力が他のコマンドレットに渡されるのであれば、そのコマンドレットの入力として最も適切な形式に変換され、渡される[21]。これにより、UNIX型システムで一般的なテキスト処理ユーティリティ(grepawkなど)が不要となり、インタラクティブに、またはスクリプト環境(より複雑なプログラミング言語が必要)の中で、様々なコマンドレットを結合することができる。例えば、プロセスの一覧を出力する場合、それらは単なるテキストの一覧ではなく、プロセスの情報を表すオブジェクトの一覧である。従ってそれらのオブジェクトに対して、明示的に外部の構造やライブラリを使用することなく、直接的にメソッドを適用することができる。

特長・機能編集

Windows PowerShell/PowerShell Coreには次の機能が含まれる。

  • オブジェクト指向言語である[22]
  • パイプを使える
  • オープンソースである(PowerShell core 6系)[23]
  • 既定の文字コードは、Windows PowerShellはShift-JIS、PowerShell core 6系はUTF-8である[24]
  • スクリプト言語ハッシュテーブル正規表現によるswitch配列スライシング、匿名メソッドなどの機能。ループ構文 (forforeachwhile)、条件文 (ifswitch)、変数のスコープ (globalscriptlocal)、関数の定義などがサポートされる[25]
  • ユーザがエラー処理方法などといった共通の設定を指定するため、コマンドレットは一定のオプションを継承する。副作用のあるコマンドレットは-WhatIf-Confirmオプションをサポートする。-WhatIfは何が起こるかをユーザに通知するが、実際には何も行わない[26]-Confirmは何が起こるのかユーザに通知し、実行するかどうか確認を求める[27]
  • エラー処理を制御するオプションに「一時停止」機能がある。これは、ユーザが新しいコマンドシェルに入ることで問題を分析し、もとのコマンドに復帰できるようにするというものである。こうした状況で表示されるプロンプトをユーザが定義することもできる[28]
  • 拡張可能な「プロバイダ」モデルにより、ファイルシステムなどの階層的データ構造の処理をすることができる。例えば、PowerShellにはシステムのレジストリにアクセスするレジストリプロバイダが存在する。これを用いれば、例えばシェルプロンプトで次のようなコマンドを打つことによってレジストリの内容を表示することができる[29]

dir HKLM:SOFTWARE\Microsoft

PowerShell には認証ストア、環境変数、シェル機能とエイリアスなどのプロバイダが存在する[30]。プロバイダモデルはコマンドレットと同様に拡張可能であり、第三者が独自のプロバイダを作成してPowerShellに組み込むことができる。
  • 「実行ポリシー (execution policies)」という概念により、PowerShellによるスクリプトの実行に対して大まかなセキュリティ上の制約を課すことができる。実行ポリシーはPowerShellが設定ファイルを読み込み、スクリプトを実行するための制約を定義する。RestrictedAllSignedRemoteSignedUnrestrictedという四つの実行ポリシーが存在する[31]
  • スクリプト作成者の識別や、スクリプトの安全性の保証のため、デジタル署名によってスクリプトに署名することができる[32]
  • 通常、コマンドラインオプションは省略せずに完全な英単語を用いるが、曖昧でない範囲で文字数を小さくすることができる[33]。例えば、-show-detailed-informationオプションは他に「s」で始まるオプションがなければ-sと指定することができる。
  • ユーザ定義のタブ補完機能が利用できる[34]Windowscmd.exeはファイル名やディレクトリ名しか補完できなかった。
  • コマンドの出力を変数に代入することができる。この変数はオブジェクトやオブジェクトの配列であり、後に任意の方法で処理することができる[35]

使用例編集

  • 「p」で始まるプロセスを全て停止する[36]
PS> Get-Process p* | Stop-Process
  • 1000MB以上のメモリを占有するプロセスを検索し、停止する[37]
PS> Get-Process | Where { $_.WS -gt 1000MB } | Stop-Process
  • ディレクトリ中に含まれる全ファイルの合計サイズを計算して出力する[38]
PS> Get-Childitem | Measure-Object -property length -sum
  • 文字列に含まれる小文字を大文字に変換した文字列を作る[39]
PS> "hello, world!".ToUpper()
  • "internal"という文字列の5文字目の直後に"natio"という文字列を挿入し、結果として"international"を得る[40]
PS> "internal".Insert(5, "natio")
  • 指定したRSSフィードをダウンロードし、最新の8エントリーのタイトルを表示する[41]
PS> $rssUrl = "http://blogs.msdn.com/powershell/rss.aspx"
PS> $blog = [xml](New-Object System.Net.WebClient).DownloadString($rssUrl)
PS> $blog.rss.channel.item | Select title -first 8
  • 変数 $UserProfile環境変数 UserProfile の値を代入する。
PS> $UserProfile = $env:UserProfile

脚注編集

注釈編集

  1. ^ Windows PowerShell 5.0はWindows Management Framework (WMF) 5.0に含まれる。2015年7月にリリースされたWindows 10に標準で含まれていたPowerShell 5.0/WMF 5.0に存在していた不具合が修正され、さらに以前のバージョンのOSにも対応したRTM版となっている。なおWMF 5.0のインストーラーには不具合があったため、2015年12月23日にいったん同社のダウンロードセンターから取り除かれ、2016年1月12日に再公開されている。
  2. ^ Core EditionはPowershell Core 5.1とも呼ばれるが、後のPowershell Coreのようにクロスプラットフォームではない[11]
  3. ^ これは、PowerShellのコードネームであるMonadが、ゴットフリート・ライプニッツ単子論: monadology)、すなわち宇宙は予定調和によって調和されたモナドと呼ばれる基本的な元素から構成される、という哲学に由来することにも現れている[2]

出典編集

  1. ^ 出典URL: https://github.com/PowerShell/PowerShell/releases/tag/v6.2.3, 閲覧日: 9月 13, 2019, 題名: Release 6.2.3, 出版日: 9月 12, 2019
  2. ^ a b Payette 2007, p. 4.
  3. ^ Payette 2007, pp. 4,6.
  4. ^ Payette 2007, p. 6.
  5. ^ Cool Stuff about PowerShell 5.0 in Windows 10”. Microsoft (2015年8月3日). 2018年9月28日閲覧。
  6. ^ Windows PowerShell のシステム要件”. Microsoft Docs (2017年6月5日). 2018年9月28日閲覧。
  7. ^ a b Microsoft、「PowerShell」をオープンソース化。LinuxやOS Xにも対応”. OSDN (2016年8月19日). 2016年8月20日閲覧。
  8. ^ PowerShell Team (2015年12月16日). “Windows Management Framework (WMF) 5.0 RTM is now available”. 2018年9月28日閲覧。
  9. ^ PowerShell Team (2015年12月23日). “Windows Management Framework (WMF) 5.0 currently removed from Download Center”. 2018年9月28日閲覧。
  10. ^ Windows Management Framework 5.0 (Superceeded by WMF 5.1 RTM version: http://aka.ms/wmf5download)”. Microsoft. 2018年9月28日閲覧。
  11. ^ a b PowerShell Core 6.0: Generally Available (GA) and Supported!” (英語). 2019年8月31日閲覧。
  12. ^ Nano Server の PowerShell” (日本語). 2019年8月31日閲覧。
  13. ^ MS、「PowerShell Core 6.0」を一般提供--「Linux」「macOS」もサポート”. ZDNet Japan (2018年1月12日). 2018年10月26日閲覧。
  14. ^ PowerShell Core 6.0 の新機能”. Microsoft (2018年8月6日). 2019年10月15日閲覧。
  15. ^ Announcing PowerShell Core 6.1” (2019年9月14日). 2019年9月7日閲覧。
  16. ^ Announcing PowerShell Core 6.1” (2019年9月14日). 2019年9月7日閲覧。
  17. ^ Microsoft、「PowerShell Core 6.2」を公開、次期リリースは「PowerShell 7」に”. 2019年9月7日閲覧。
  18. ^ Microsoft、2019年中にPowerShell 7をリリース、長期サポートバージョンへ”. 2019年9月7日閲覧。
  19. ^ PowerShell”. Microsoft (2018年8月6日). 2019年10月15日閲覧。
  20. ^ Payette 2007, p. 33.
  21. ^ Payette 2007, pp. 49-60.
  22. ^ PowerShell”. Microsoft (2019年2月28日). 2019年10月15日閲覧。
  23. ^ PowerShell”. Microsoft (2019年2月28日). 2019年10月15日閲覧。
  24. ^ VSCode と PowerShell でのファイルのエンコードの概要”. Microsoft (2019年2月28日). 2019年10月15日閲覧。
  25. ^ Payette 2007.
  26. ^ Holmes 2008, pp. 8,9,416.
  27. ^ Holmes 2008, pp. 8,9.
  28. ^ Payette 2007, pp. 321-328.
  29. ^ Holmes 2008, pp. 14-16.
  30. ^ Holmes 2008, pp. 14-16,67,68.
  31. ^ Payette 2007, pp. 510-514.
  32. ^ Payette 2007, pp. 514-527.
  33. ^ Holmes 2008, p. 6.
  34. ^ Payette 2007, pp. 17-19.
  35. ^ Payette 2007, p. 160-166.
  36. ^ Payette 2007, p. 556.
  37. ^ Payette 2007, pp. 556, 557.
  38. ^ Payette 2007, pp. 557,558.
  39. ^ Payette 2007, p. 560.
  40. ^ Payette 2007, pp. 560,561.
  41. ^ Payette 2007, p. 415.

参考文献編集

  • Payette, Bruce『Windows PowerShell イン アクション』株式会社クイープ訳、ソフトバンククリエイティブ、2007年。ISBN 978-4-7973-3736-5
  • Holmes, Lee『Windows PowerShell クックブック』監訳:マイクロソフト株式会社 ITプロ エバンジェリストチーム, 訳:菅野良二、オライリー・ジャパン、2008年、初版。ISBN 978-4-87311-382-1

外部リンク編集