Wings Flap

L'Arc~en~Cielの楽曲、シングル(2015年)

Wings Flap」(ウィングス フラップ)は、日本のロックバンドL'Arc〜en〜Cielの40作目のシングル。2015年12月23日発売。発売元はKi/oon Music

Wings Flap
L'Arc〜en〜Cielシングル
B面 HONEY -L'Acoustic Version-
リリース
規格 マキシシングル
デジタル・ダウンロード
ジャンル ポップス
ロック
時間
レーベル Ki/oon Music
作詞・作曲 hyde, ken
プロデュース L'Arc〜en〜Ciel
チャート最高順位
L'Arc〜en〜Ciel シングル 年表
EVERLASTING
2014年
Wings Flap
2015年
Don't be Afraid
2016年
ミュージックビデオ
L'Arc~en~Ciel「Wings Flap」-Music Clip- - YouTube
(※) 2019年12月11日から2022年5月12日まではYouTube Music Premium限定有料公開
(※) 2022年5月13日から無料公開
テンプレートを表示

解説 編集

完全受注生産限定作品「EVERLASTING」から約1年4ヶ月ぶりとなる新譜のリリース。

本作の表題曲「Wings Flap」は、ラテンのリズムを採り入れたシンセ・ポップに仕上げられている[4]。また、この曲は、本作発売前の2015年9月21日22日に開催したライヴ「L'Arc〜en〜Ciel LIVE 2015 L'ArCASINO」に向け、kenが作曲した楽曲となっている。kenはライヴ会場となった大阪夢洲をイメージして楽曲制作に取り組んだといい[5]、デモ制作は海の見えるスタジオで実施されている[5]。余談だが、2022年に発表された『1998年から2022年現在までのラルクのオススメ5曲』というレコメンド記事において、執筆者である高橋翔(ex.昆虫キッズ)はこの曲を選曲している[6]。この記事において、高橋は「自分好みなニュー・ウェイヴカリプソが入り混じった共作曲[6]」「シンセが何本も入っていて、普通ならゴチャゴチャうるさくなりそうだけど、ここもラルクマジックがしっかり発動していて、ひとつの音を追いかけながら聴くだけでも楽しめる[6]」とこの曲にコメントを寄せている。

本作のリリースプロモーションとして、新たに開設した特設サイトを経由して本作の購入申し込みを行った予約者を対象に、表題曲のスタジオ音源のフルサイズ試聴企画が実施されている[7]。また、2015年12月25日には、テレビ朝日系列で放送された音楽番組『ミュージックステーション スーパーライブ 2015』に出演し、表題曲をテレビ初披露している[注 1]

表題曲のミュージック・ビデオは、本作の完全受注生産限定盤と初回生産限定盤に付属するBlu-ray Discに初収録されている。また、2019年12月11日に、公式YouTubeアーティストチャンネルにおいてYouTube Music Premium限定で映像の有料公開が開始されている。前述のYouTubeチャンネルでの有料公開開始から約2年5ヶ月後となる2022年5月13日からは、同サイトで映像の無料公開が開始されている。ちなみに、この映像のディレクターは池田一真が務めている。

カップリングには、1998年に発表した「HONEY」を、hydeのプロデュースのもとリアレンジした「HONEY -L'Acoustic version-」が収録されている。これは、2011年10月に発表したシングル「X X X」から始まった「過去に発表したL'Arc〜en〜Cielの楽曲をアコースティック・アレンジする企画(L'Acoustic Version)」に沿ったアレンジバージョンとなっている。ちなみに、カップリングにL'Acoustic Versionが収録されたのは、「CHASE」以来2作ぶりのこととなった。余談だが、hydeが2019年にソロ名義で開催したアコースティックコンサート「HYDE ACOUSTIC CONCERT 2019 黒ミサ BIRTHDAY」では、本作に収録されたバージョンに近いボサノヴァアレンジで「HONEY」のセルフカバーが披露されている。

なお、本作の表題曲ならびにカップリング曲にはタイアップが付いていない。そのため本作は、前作「EVERLASTING」に続いて4作目となるタイアップ楽曲を含まないCDシングル作品となっている[注 2]

本作は、完全受注生産限定盤(CD+BD+PHOTOBOOK)、初回生産限定盤(CD+BD)、通常盤(CD)の3形態でリリースされた。初回盤には「Wings Flap」のミュージック・ビデオと、2015年9月に開催したライヴ「L'Arc〜en〜Ciel LIVE 2015 L'ArCASINO」のオープニングムービーを収録したBlu-ray Discが付属している。完全受注生産限定盤にはこれに加え、24ページの同ライヴのフォトブックが付属している。また、前述のライヴの演出で使用された"ラル札"を印刷したステッカーシート(6絵柄)[注 3]と、ライヴ会場に飾られたフラッグをプレゼントする特典施策(200名限定)の応募券が全形態に付属している。さらに、店頭先着購入特典として、全国のCDショップで本作の完全受注生産限定盤、初回生産限定盤、通常盤のいずれかを予約又は購入すると、先着でオリジナルグッズ「きらきら Wings Flapショッピングバッグ」がプレゼントされた[8]

収録曲 編集

CD
#タイトル作詞作曲編曲時間
1.「Wings Flap」hydeken, hydeL'Arc〜en〜Ciel
2.HONEY -L'Acoustic version-」hydehydeProduced by hyde, Yasuaki Maejima
3.「Wings Flap (hydeless version)」 ken, hydeL'Arc〜en〜Ciel
4.「HONEY -L'Acoustic version- (hydeless version)」 hydeProduced by hyde, Yasuaki Maejima
合計時間:

楽曲解説 編集

  1. Wings Flap
    • 作詞: hyde / 作曲: ken, hyde / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel
    ラテンテイストのリズムが印象的なダンサブルなシンセ・ポップ。この曲は、2015年9月21日22日夢洲野外特設会場にて開催したライヴ「L'Arc〜en〜Ciel LIVE 2015 L'ArCASINO」で新曲として披露するために制作された楽曲となっている。この曲の制作を振り返り、作曲を担当したkenは「海沿いのスタジオに行って、そこで気分転換しながら作ってみようと思った[5]」「"L'ArCASINO"を演る予定の夢洲(ゆめしま)のことを考えて、"どんな場所なんだろう、どんなライヴになるんだろう"なんてことも思いながら。スタッフに夢洲の写真とかを見せてもらったりしてね。まさに今、目の前にある景色、目の前にある写真とかにも影響を受けながら作っていった[5]」と本作発売当時に語っている。
    ちなみにkenは、今回のデモ音源制作において、普段のデモ制作で使用するソフトウェア・シンセサイザーを敢えて採り入れていない[5]。そのため、この曲のデモ音源は、オールインワン・シンセサイザーを使用し制作が行われている[5]。この試みについて、kenは「ここしばらくは、コンピュータを起ち上げた状態から曲を作っていくことが多かったから、そうじゃない状態で作っていくっていうことが1つのテーマにはなったかな[5]」「それが結果的にどうなるかっていうことよりも、単にそうしてみたかっただけ[5]」と述懐している。
    前述のようなかたちで制作したデモ音源を基に、バンドとして本格的なレコーディングを行っている。レコーディングでは、新たにチェンバロや、16分で鳴るシンセサイザーのサウンドを入れ、さらにメンバーのアイディアも楽曲に採り入れている[5]。サビの後半部のメロディは、hydeの提案したメロが採用されており、これにより前々作「CHASE」以来となるkenとhydeの共作クレジットになっている。メロディをデモから変えた経緯について、kenは「出来上がったデモをメンバーみんなに渡してから、サビの後半のメロディーを変えようってことで、hydeとやりとりした。そのときにhydeが出してきた3つのアイディアのうちの1つが、僕が思いつかなかった方向のアイディアで。それがすごくいいなって思ったから、そこのメロディーは変えたね[5]」と述べている。また、リバーブのかかったベースフレーズはtetsuyaのアイディア[5]、リフのシンセサイザーの音色選びではyukihiroの意見が反映されている[5][9]。なお、今回の楽曲制作でメンバーの意見を多く採り入れることにしたのは、ken曰く、前作「EVERLASTING」を制作した際に、作曲者である自分以外のメンバーからのインプットが少なかったこともあり、「今回はバンドとして作り上げる音楽を楽しみたい」という思いがあったことが影響しているという[5]
    また、この曲のリズム以外の音はシンセサイザーが主体となっており、ギターはリフやフレーズが前面に出るパターンではなく、空気感をつくる装飾的なアプローチでプレイされている[9]。kenはこの曲のギターアプローチについて「イントロで鳴ってるシンセなんかは、そのとき(原型を作ったとき)すでに入れたいなと思ってたね。アコギでコード感とかは作ってるけど、曲のタッチはこっちの方に持っていきたいなって、頭ではイメージできてたと思う[5]」「今回は、空間を楽しむギターにしたくて。あの音を録るときは、エフェクトも掛けた上でアンプを2台鳴らして、部屋の鳴りまで含めて録ったりしてる。フレーズ1つひとつは鮮明に聴こえないけど、空気感としては中学生のとき、部屋の電気を消してひたすらギターを弾いてたときのようなイメージで、そういう空気感が出るのが一番楽しいと思いながら弾いてるパートだね。最近はアコギも大好きなんだけど、こういう音はやっぱりエレキギターでしか出せない空気だと思ってて、俺はこういう空気感も大好きなんだ[9]」と述べている。また、インプロヴィゼージョン的なギターソロのプレイについて、kenは「より、ドレミファソラシドとかの音階に縛られないで、その間の半音や、それこそチョーキングなんかも入れたら無限に存在する音程を使いつつ、それでいてこの曲をちゃんと表現する、みたいなイメージで弾いたかな[9]」と述懐している。
    さらに、この曲のドラム録りでは、作曲者であるkenのリクエストもあり、ゴーストノートを絡めたリズムパターンを軸に展開していくアプローチが採られている[10]。そしてこの曲では、加速していくような特徴的な6連のフレーズが随所で登場している[4]。この6連符のフレーズについて、yukihiroは「この曲はもともとkenの中ではラテンっぽいイメージがあったみたいで、デモの中に"タラララ~"いう感じのリズムが入っていたんです。そういうところがあったら良いのかなと思って、考えて出てきたものです[4]」と語っている。また、ギターソロの場面でライドシンバルの刻みが登場するが[4]、これもkenからのアイディアだったといい、yukihiroは「他のパートのところでもライドとハットの刻みに関してはkenの中に明確なイメージがあったみたいです[4]」と述べている。
  2. HONEY -L'Acoustic version-
    • 作詞・作曲: hyde / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel & Yasuaki Maejima / プロデュース: hyde & Yasuaki Maejima
    10thシングル「HONEY」の表題曲のアコースティックバージョン。
    アコースティックアレンジをするにあたり、プロデュースを担当したhydeは制作当初、ラテン調のアレンジにする予定だったという[9]。ただ、kenから「サビとかこんなコードがハマるんじゃないかな[9]」という提案があり、アレンジャーの前嶋康明と制作のやり取りをするうちに、アレンジの方向性がボサノヴァ調に変更されたという[9]
    ボサノヴァ調にアレンジするうえで、yukihiroロッドを導入しており、握り方もレギュラーグリップに変え、ドラム録りを行っている[4]。この曲のドラム録りを振り返り、yukihiroは「最初は普通のスティックで録ったんですけど、ボサノヴァだったらロッドを使うのもいいんじゃないかと思って、ロッドを使って、レギュラーグリップでやりました[4]」「音量は雰囲気に合わせてコントロールしました。キット自体もミュートしてます。タムはいつもはクリアヘッドなんですけど、この曲はコーテッド系のヘッドの方が合うんじゃないかっていうことで、コーテッドアンバサダーを使いました[4]」と本作発売当時に語っている。
  3. Wings Flap (hydeless version)
  4. HONEY -L'Acoustic version- (hydeless version)

参加ミュージシャン 編集

初回生産限定盤・完全受注生産限定盤付属Blu-ray Disc 編集

  • 初回生産限定盤付属BD
  1. Wings Flap -Music Clip-
    ディレクター:池田一真
  2. LIVE 2015 L'ArCASINO –Opening Animation-
  • 完全受注生産限定盤付属BD
  1. Wings Flap –LIVE 2015 L'ArCASINO Edition-
  2. LIVE 2015 L'ArCASINO –Opening Animation-
  3. Wings Flap -Music Clip-

関連項目 編集

参考文献 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 2015年12月25日に放送されたテレビ朝日系番組『ミュージックステーション スーパーライブ 2015』では、「Wings Flap」に加え、「Hurry Xmas」が披露されている。
  2. ^ ナンバリングシングル作品としては、本作が「X X X」以来3度目となるノンタイアップシングルになる。
  3. ^ 完全受注生産限定盤には原寸大の“ラル札”ステッカーシート、初回限定盤および通常盤(初回仕様)にはミニ“ラル札”ステッカーシートが封入されている。

出典 編集

  1. ^ "Wings Flap(完全生産限定盤)". Oricon. 2023年3月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月19日閲覧
  2. ^ "オリコン月間CDシングルランキング 2015年12月度". Oricon. 2021年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月31日閲覧
  3. ^ "【2016年上半期ランキング】音楽シーンをけん引する三大勢力に新たな潮流". Oricon. 2023年3月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月19日閲覧
  4. ^ a b c d e f g h 『リズム&ドラム・マガジン』、p.18、リットーミュージック、2016年1月号
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n 『GiGS』、p.12、シンコーミュージック・エンタテイメント、2016年2月号
  6. ^ a b c "1998年から2022年現在までのラルク。さらに深掘りしたオススメ5曲". WANI BOOKS NewsCrunch. 29 June 2022. 2023年3月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月17日閲覧
  7. ^ "L'Arc-en-Ciel、12月にニューシングル「Wings Flap」発表". ナタリー. 21 September 2015. 2023年3月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月19日閲覧
  8. ^ "L'Arc~en~Ciel、12月23日にシングル「Wings Flap」リリース". BARKS. 21 September 2015. 2023年3月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月19日閲覧
  9. ^ a b c d e f g 『GiGS』、p.13、シンコーミュージック・エンタテイメント、2016年2月号
  10. ^ リズム&ドラム・マガジン』、p.17、リットーミュージック、2016年1月号