オペレーション・ミンスミート -ナチを欺いた死体-
『オペレーション・ミンスミート ―ナチを欺いた死体―』(オペレーションミンスミート ナチをあざむいたしたい、Operation Mincemeat)は、2021年のイギリスの戦争ドラマ映画。監督はジョン・マッデン、出演はコリン・ファースとケリー・マクドナルドなど。第二次世界大戦中におけるイギリス軍の「ミンスミート作戦」を描いたベン・マッキンタイアーの著書を原作としている[1]。イギリスを含むヨーロッパの多くの地域ではワーナー・ブラザース・インターナショナルが配給し、北米及び中南米ではNetflixを通じて配信されている。
オペレーション・ミンスミート ―ナチを欺いた死体― | |
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Operation Mincemeat | |
監督 | ジョン・マッデン |
原作 | ベン・マッキンタイアー『ナチを欺いた死体 英国の奇策・ミンスミート作戦の真実』[1] |
製作 |
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出演者 | |
音楽 | トーマス・ニューマン |
撮影 | セバスチャン・ブレンコフ |
編集 | ヴィクトリア・ボイデル |
製作会社 |
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配給 |
ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ Netflix ギャガ |
公開 |
2021年11月(British Film Festival) 2022年2月18日 2022年4月15日[2] |
上映時間 | 128分 |
製作国 | イギリス |
言語 | 英語 |
製作費 | $6,300,000[3] |
興行収入 |
$6,936,873[2] $15,710,164[2] |
ストーリー 編集
1943年、イギリスのユダヤ系法廷弁護士ユーエン・モンタギューは戦禍を避けて妻子をアメリカに送る。二十委員会に招集されて秘書のヘスター・レゲットを伴う。ウィンストン・チャーチル首相はドイツ国防軍が堅く防衛するシチリア島侵攻を決める。イギリス海軍情報部のジョン・ヘンリー・ゴドフリー提督は、連合軍がシチリア島ではなくギリシャを侵攻するつもりであるとナチスを騙す必要があると考える。チャールズ・チャムリーは、イギリス人将校の死体にギリシャ侵攻計画書類を持たせてわざと発見させる計画を考えつく。ゴドフリーは疑念を持ちながらも、チャムリー、モンタギュー、そしてイアン・フレミング少佐に計画立案を許す。モンタギューとチャムリーは、路上生活者グリンドゥール・マイケルの死体を手に入れる。マイケルにイギリス海軍のビル・マーティン少佐の偽の身分を与え、寡婦の事務職員のジーン・レスリーは自分の写真を使い、偽のフィアンセの「パム」となる。チームは様々な偽の書類や手紙を死体のポケットに入れて偽の身分に信憑性を持たせてギリシャ侵攻計画の書類を持たせる。チャムリーはジーンに恋をするが、妻子あるモンタギューとジーンが互いに恋愛感情を持っていることに気づいて嫉妬にかられる。マイケルの姉は追い返される。ゴドフリーはモンタギューの弟がソ連のスパイではないかと疑う。チャムリーにモンタギューをスパイさせる見返りに、戦死したチャムリーの兄の死体を探して返す約束をする。偽装されたマーティン少佐の死体はイギリス海軍の潜水艦に乗せられ、スペイン沿岸で投棄されて漁師に発見される。中立国であるスペインには連合国と枢軸国の両方のスパイがいる。チームの要請で、マドリード駐在のイギリス海軍武官であるデビッド・エインズワース大佐はスペイン秘密警察の幹部に会い、死体から発見された書類がドイツ側に渡るようとりはからう。マーティン少佐の私物はロンドンに戻るも、書類が盗み見られていることが判明し、チームはドイツ側が偽情報を入手した望みを持つ。ジーンは、ドイツ国内の反ヒトラー派のスパイだと言う、チームがよく行くクラブのウェイターのテディに脅されて尋問される。ジーンはマーティン少佐が隠密行動を取っていた実在の人物であり、携行していた書類は本物だと嘘をつく。モンタギューとチャムリーは、ドイツ陸軍情報部のアレクシス・フォン・レンネ大佐が、ヒトラーに報告する前にギリシャ侵攻の情報の真偽を確かめさせたのだろうと推測する。反ヒトラー派であるとされるヴォン・レンネ大佐が意図的にシチリア侵攻を成功させる可能性に期待する。ジーンは別の仕事を見つけてロンドンを去る。ドイツ軍がギリシャに集結したとの情報が流れるが、これもまた偽情報ではないかと疑心暗鬼にかられる。チャーチルはシチリア侵攻を決断し、7月10日、連合国は最小限の犠牲でシチリア島占領に成功する。チャムリーの兄の死体が返ってくる。チャムリーは自分がモンタギューをスパイしていたことを告白する。エピローグで、モンタギューは妻と再会して暮らす。ジーンは兵士と結婚する。ヘスターは海軍省の秘書の管理職となる。チャムリーは1952年までMI5に在籍し、結婚する。マーティン少佐の偽の身分は1997年に公開され、スペインの墓に真の名前グリンドゥール・マイケルが加えられる。
キャスト 編集
キャスト 編集
※括弧内は日本語吹替。
- ユーエン・モンタギュー少佐: コリン・ファース(森田順平) - 法廷弁護士。
- ジーン・レスリー: ケリー・マクドナルド(たなか久美) - 海軍情報部の寡婦の事務職員。
- チャールズ・チャムリー空軍大尉: マシュー・マクファディン(谷内健)
- ヘスター・レゲット: ペネロープ・ウィルトン(おまたかな) - ユーエン・モンタギューの秘書。
- イアン・フレミング少佐: ジョニー・フリン(清水裕亮)- 海軍情報部員、ゴドフリー提督の秘書
- グリンドゥール・マイケル/ビル・マーティン少佐: ローン・マクファディエン - 死んだ路上生活者。
- ロジャー・ディアボーン: ローン・マクファディエン - グリンドゥールに瓜二つの米軍将校。
- ジョン・ヘンリー・ゴドフリー/M: ジェイソン・アイザックス(谷昌樹) - ユーエン、チャムリー、フレミングの上官。海軍情報部を指揮する提督。
- アイリス・モンタギュー: ハティ・モラハン - ユーエンの妻。
- ウィンストン・チャーチル: サイモン・ラッセル・ビール - イギリス首相。
- ベントレー・パーチェス: ポール・リッター - 検死官。
- アイヴァー・モンタギュー: マーク・ゲイティス - ユーエンの弟。
- カール・クーレンタール: アレクサンダー・ベイヤー - ドイツのスパイ。
- デビッド・エインズワース大佐: ニコラス・ロウ - マドリード駐在のイギリス軍駐在武官。
- サルバドール・ゴメス=ビア少佐: ウィル・キーン - エインズワース大佐の助手。
- ドリス・マイケル: ガブリエル・クリービー - グリンドゥールの姉。
製作 編集
2019年5月、本作について、ジョン・マッデン監督、コリン・ファース主演と発表された[4]。10月には、ケリー・マクドナルドが本作に参加した[5]。12月には、マシュー・マクファディン、ペネロープ・ウィルトン、ジョニー・フリン、トム・ウィルキンソン、ハティ・モラハン、サイモン・ラッセル・ビール、ポール・リッター、マーク・ゲイティスがキャストに加わった[6]。2020年3月には、ジェイソン・アイザックスがキャストの一員として発表された[7]。
2019年12月にロンドンとスペインの間で主要撮影が開始された[8]。撮影場所としては、2020年2月に戦闘シーンを撮影したノースデボンのサウントンビーチや2021年3月に撮影したマラガが挙げられる[9]。
公開 編集
2021年2月、 Netflixは北米およびラテンアメリカにおける本作の配給権を獲得した[10]。ワーナー・ブラザース・インターナショナルはこれまで、英国、アイルランド、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグでのの配給権を獲得していた[10]。
2021年11月から12月にかけてオーストラリアで開催された「British Film Festival 2021」で初上映された[11]。イギリスでの公開は2022年1月14日の予定だったが、同年4月22日に延期され[12]、最終的に同年4月15日となった[2]。
作品の評価 編集
Rotten Tomatoesによれば、113件の評論のうち高評価は83%にあたる94件で、平均点は10点満点中6.6点、批評家の一致した見解は「事実に基づいたストーリーが、ここで紹介されているよりも魅力的で奇想天外であるとわかったとしても、『オペレーション・ミンスミート ―ナチを欺いた死体―』が魅力的で演技の素晴らしい戦時ドラマであることに変わりはない。」となっている[13]。 Metacriticによれば、27件の評論のうち、高評価は14件、賛否混在は12件、低評価は1件で、平均点は100点満点中65点となっている[14]。
出典 編集
- ^ a b “英国軍がナチスに実行した諜報作戦を描く新作にコリン・ファースが主演”. SCREEN ONLINE(スクリーンオンライン). (2019年5月11日) 2021年8月22日閲覧。
- ^ a b c d “Operation Mincemeat” (英語). Box Office Mojo. 2023年2月19日閲覧。
- ^ “Operation Mincemeat” (英語). The Numbers. 2023年2月18日閲覧。
- ^ Wiseman, Andreas (2019年5月7日). “Colin Firth To Star In John Madden WWII Story 'Operation Mincemeat'; FilmNation, Cross City & CAA Launch Sales — Cannes” (英語). Deadline.com 2020年1月10日閲覧。
- ^ N'Duka, Amanda (2019年10月22日). “‘Boardwalk Empire’s Kelly Macdonald Joins Colin Firth In WWII Drama ‘Operation Mincemeat’” (英語). Deadline.com 2020年1月10日閲覧。
- ^ Wiseman, Andreas (2019年12月6日). “‘Operation Mincemeat’: Matthew Macfadyen, Penelope Wilton, Johnny Flynn & Tom Wilkinson Join WWII Drama” (英語). Deadline.com 2020年1月10日閲覧。
- ^ Andreeva, Nellie (2020年3月2日). “Jason Isaacs To Star In CBS Drama Pilot ‘Good Sam” (英語). Deadline.com 2020年3月4日閲覧。
- ^ Abbatescianni, Davide (2019年12月10日). “John Madden ready to shoot Operation Mincemeat” (英語). Cineuropa 2019年12月19日閲覧。
- ^ “Netflix y Warner se reparten el estreno del último gran rodaje internacional de Málaga” (スペイン語). Diario Sur. (2021年3月4日) 2021年3月5日閲覧。
- ^ a b Wiseman, Andreas (2021年3月2日). “Netflix Strikes $15M North America & Lat Am Deal For Colin Firth WWII Movie ‘Operation Mincemeat’ — EFM” (英語). Deadline.com 2021年2月2日閲覧。
- ^ “Operation Mincemeat” (英語). British Film Festival 2021. 2022年3月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月19日閲覧。
- ^ Ritman, Alex (2021年12月14日). “Warner Bros. Postpones U.K. Release of Colin Firth WWII Drama ‘Operation Mincemeat’ as Omicron Soars (Exclusive)” (英語). The Hollywood Reporter 2023年2月19日閲覧。
- ^ "Operation Mincemeat". Rotten Tomatoes (英語). 2023年2月18日閲覧。
- ^ "Operation Mincemeat" (英語). Metacritic. 2023年2月18日閲覧。
関連項目 編集
- 『The Man Who Never Was』 - ミンスミート作戦に関するユウェン・モンタギューの同名書籍に基づく映画(1956年)