グリフォン

伝承上の生物

グリフォンフランス語: griffon, gryphon)、グリフィン英語: griffin)、グライフドイツ語: Greif)、グリュプス(グリュープス、ラテン語: gryps,grȳpus, ギリシア語: γρύψ)は、(あるいは)の翼と上半身、ライオンの下半身をもつ伝説上の生物

グリフォン
ヒッポグリフ

概要 編集

語源は古代ギリシア語のグリュプス(γρυψ)で、「曲がった嘴」の意味。古くから多くの物語に登場しており、伝説の生物としての歴史は古い。

古くはヘーロドトスの『歴史』やアイスキュロスの悲劇(前5世紀中葉)が、アリステアース英語版(前7世紀)による中央アジア北部の地誌を残しており、これによれば黄金を集めるグリュプスと言う禽獣と、その黄金を略奪する単眼族のアリマスポイ人英語版との抗争があるとされる。

ただこれら古い文献ではグリュプスは嘴を持つが「犬」だとも形容されていて、あるいは翼を持たなかった動物ではなかったか、との推察がある。しかし後、大プリニウス(1世紀)において、グリフォンは有翼で長耳だと初めて明記された。ただし同時代のテュアナのアポロニオスによれば、グリフォンは真正の鳥翼は持たず、足指間の膜によって、ごく近距離の跳躍が可能なのだとする。

またグリュプスは旧インドの北部にいるとクテシアスはしており、また、ヘーロドトスも知るインドの巨大蟻が黄金を集める伝承も、グリフォンの伝説に混合していると考察されている。

アイリアノス(3世紀没)の記述における脚色以降は、概して新たな材料の追加はなく、その後の西洋のグリフォン伝説は主に古典の取捨選択に過ぎないとされるが、グリフォンがその巣にメノウや石を置くという伝説は後発的なものである。

イラン神話では、鷲獅子を意味する Shirdal という名で登場し、紀元前3千年紀初期頃のスーサ製シリンダーの封印にも見られる[1]。その後も、古代イラン芸術、古代ギリシア芸術や、その後の中世の紋章など、多くの芸術でモチーフとされている。

形態 編集

鷲の部分は金色で、ライオンの部分はキリストの人性を表した白であるともいう。コーカサス山中に住み、鋭い鈎爪で牛や馬をまとめて数頭掴んで飛べたという。紋章学では、グリフォンは黄金を発見し守るという言い伝えから、「知識」を象徴する図像として用いられ、また、鳥の王・獣の王が合体しているため、「王家」の象徴としてももてはやされた。

グリフォンと雌馬の間に生まれた、鷹の上半身にの下半身をもつ生物は、ヒッポグリフ(hippogriff)と呼ばれる。

多くの描写では足は鳥のような鉤爪であるが、古い絵ではライオンの前肢の物もある。紋章学では、これにラクダのような長い首と尻尾を持つものを Opinicus と呼ぶ。

役目 編集

グリフォンには重要な役目が幾つかある。

まずは、ゼウスアポローン等の天上の神々の車を引くことであるが、ギリシア神話の女神ネメシスの車を引くグリフォンは、ほかのグリフォンと違い身体も翼も漆黒である。馬を目の敵にしており、馬を喰うと言われるが、これは同じ戦車を引く役目を持つ馬をライバル視しているためである[2]。そこから不可能なことを表すのに「グリフォンと馬を交配させるようなもの」という言葉が生まれたが、それをヒントに生み出されたのが前述のヒッポグリフである(このため、グリフォンが殺すのは牡馬だけであり、牝馬は殺さず犯して仔を産ませるとする伝承もある)[3]。また、神話ではオーケアノスの乗り物とされる[4]

さらに、黄金を守る、あるいは、ディオニューソスクラテール(酒)を守る役目もあるとされる[5]。自身が守る黄金を求める人間を引き裂くといわれている[6]。その地は北方のヒュペルボレイオイ人の国とアリマスポイ人英語版の地の国にあるリーパイオス山脈英語版とされるが、エチオピアインドの砂漠(現在ではパキスタン近辺か)などの異説もある。

古代ギリシア・ローマの伝承 編集

前述のようにヘーロドトスは『歴史』(前5世紀)の中で翼のある怪物としてグリフォンに触れ[7]プリニウスは『博物誌』(紀元1世紀)の中ですでに伝説の生物として語っている[9]

ヘーロドトス等 編集

ヘーロドトスは、スキタイ人より以北のアルギッパイオイウラル山脈の居住部族と同定)の東に住むイッセドネス人を情報源とするが、必ずしも信頼していない[10]。その(イッセドネス人)によれば彼らの奥地にはアリマスポイ英語版という隻眼の部族が、そしてさらに奥地(北の果て)には黄金を守る怪鳥グリフォン(グリュプス)が住むとされていた[7]。またアリマスポイという部族は、黄金を求めてグリュプスのところへ奪いに行くのだとも伝わっていた[15]

ヘーロドトス『歴史』の当該箇所(中央アジア北部一帯)の情報源となったのは、前7世紀に地域を訪れたプロコンネーソスアリステアース英語版という人物の詩(逸失)である[11][14][13][注 3]

インド産のグリュフォンと採掘蟻 編集

一方、クテシアスはグリフォンをインドに棲息するとしており[12]、嘴を持った、四足の鳥類だとする[17]

ヘーロドトスは、インドにはカシミール地方に黄金を集める蟻種がいると記しているが、これは黄金を集めるグリフォン伝説の亜流か転訛版だとする学説がみられる[23]。後のプリニウスによるグリュフォン伝もインドの採掘蟻の伝承の影響がみられ[24]、さらに後のアイリアノスもグリュフォンにインドの採掘蟻の属性を習合させたと見られている[25]

プリニウス以降 編集

プリニウス(『博物誌』、1世紀)は、グリフォンが有翼[26]かつ長耳を持つと[27]、文献史上初の明記をしている[28]。また、ペガサスはスキタイ産、グリュプスはアイティオピア英語版(アフリカ)産としている[29]

ほぼ同時代のテュアナのアポロニオスもグリフォンについて語ったとその伝記に伝えられているが[注 4]、それによればグリュフォンは獅子ほどの大きさで、鳥のようなきちんとした翼は持たず、足に"赤色の皮膜"がついていて、これが回転してごく短い飛翔を可能にするのだという[30][31][17][注 5]

ポンポニウス・メラ英語版 (紀元43年頃)も地理誌の第2巻第6章において、いわゆるリパエイ山脈英語版に接する地方の事項としてその地方に産する黄金を欲するグルフォンについて述べている[34]

アイリアノス(前出、クラウディオス・アイリアノス、紀元235没)は、幾つかの脚色を加えているが、例えばグリフォンは風評によれば"背に黒い羽根を負い、胸は赤く、翼は白い"としている[36]。このアイリアノスを最後に、真新しい情報が加わることはほぼ無く、その後の著書(中世ヨーロッパのものも)は、アイリアノスまでの古典情報を取捨選択して編んだにすぎないとされる。ただ例外的につけたされた後世の伝承は、グリフォンとその「メノウの卵」に関する事案だという(後述)[37]

中世ヨーロッパの伝承 編集

グリフォンの巣は黄金で出来ており、卵の代わりに瑪瑙(メノウ)を産むとも考えられた[39]。瑪瑙を巣に置くという記述は、アルベルトゥス・マグヌス(1280年没)の『動物について』第23巻"グリフェ"(複数形:Grifes)の項に見られ、某著者によれば "この鳥は鷲石英語版echytem)あるいはメノウ(gagatem)を卵と一緒に置き"、温度の調整をして生殖力を伸ばしているのだという[40][41]

キリスト教義 編集

神学者セビーリャのイシドールス(636年没)は、グリフォンについて『語源』英語版において

"グリュフェ(複数形:Gryphes)どもは、有翼の四足動物ゆえにそう呼ばれている。この種の野獣はヒュペルボレイオスの山脈に見られる。胴体の全ては獅子で、翼と頭は鷲のようであり、馬にとって獰猛な敵である。さらには人間もずたずたに引き裂く"[42][43]

と述べているが、キリスト教の寓意的解釈はしておらず、博物学的に「狩猟動物」の一種に分類しているのみである[44]

ダンテの『神曲』(1321年頃成立)ではグリフォンが凱旋車を曳く場面があるが(「煉獄篇」第29曲)、その注釈によれば、グリフォンは飛ぶ鳥と歩む獣の合成獣であるため、グリフォンは天性(神性)と人間性を併せ持つキリストの具象であると多くのダンテ解説者からみなされている[45][46]。若干の異論として、グリフォンは実は「教会」またはローマ教皇のシンボルであるとディドロン英語版は主張している[49][45]

ランツベルクのヘルラート英語版の写本(『楽しみの庭』英語版、1185年頃成立)をみれば、二色の鳥類グリフォンが「教会」の象徴なのは明らかである、とディドロンは述べており、自説の根拠としている[45]

爪、卵、羽 編集

中世ヨーロッパでは、グリフォンの爪、卵、羽と称する物が貴重品として愛でられた例が数々あるが、実際には異国の動物などより得られた贋物であった[50][51]。グリフォンの卵とされるものは、ダチョウの卵や、稀な例では恐竜の卵の化石であった[52]。羽は、ラフィアヤシの繊維でこしらえた工芸品を着色したものも使われた[53]。爪は飲むための杯に加工された[50][54](また、卵も杯として使われたと紋章学の著作に見える[50][55])。

グリフォンの爪の例は幾つかあり、極大であったともされる[56]聖カスバート英語版が爪や卵を得たという逸話があり、1383年付の、その聖遺物匣の内容一覧(インベントリー)を見るとグリフォンの爪2本、羽2本と記載される[57]。現存する、長さ2フィート (61 cm)程の「爪」は、アイベックスの角であると鑑定されている[注 6][54]

伝説では、グリフォンの爪は杯に加工されてカスバートへの献辞がなされたという[58] 。上述したように、実際の話として、グリフォンの爪は多くの場合ゴブレット(酒杯、角杯)に加工された[50][54]。その一例が、伝・シャルルマーニュ所有のグリフォンの爪で、サン=ドニ大聖堂所蔵だったが、革命後に一旦失われた後、現在はフランス国立図書館に保管されている。実際は牛の一種の角とみられる。猟禽の爪足をかたどった金箔の銅製のスタンドの上にマウントされている[59][注 7]。また、シャルル大帝の旧都エクス・ラ・シャペル(現今のドイツ・アーヘン市)に在するコルネルミュンスター修道院英語版 には、伝・コルネリウス所蔵のグリフォンの爪が存在するが、アジア水牛の角製とみられる[60]

図像学 編集

12世紀頃までにはグリフォンの外見についての認識が定まりつつあり、"体幹の部分はすべて獅子似、翼と面は鷲似"が定着した[61]

前述のアルベルトゥス(13世紀)によれば、前足には鷲状の長爪、後ろ足に獅子状の重い爪をもつ。生息地の住民は短いほうの爪を飲む杯に利用するとしている[41][40]

地誌 編集

14世紀には、架空の人物であるジョン・マンデヴィルによって書かれたとされる『旅行記』(東方旅行記、東方諸国旅行記)によって詳細な描写がなされた(第85章)。

近世 編集

 
グリフォン
—ヨンストン『鳥獣虫魚図譜』(オランダ訳、1660年)

ヨハネス・ヨンストンの『鳥獣虫魚図譜』(原書ラテン語、1650年。オランダ訳、1660年)にグリフォンの図(gryps, gryphus)が掲載される[62][63]。オランダ訳本では、第一部の「四足動物自然誌」[64]と第三部の「鳥類自然誌」[65]に、つごう2回、グリフォンの銅版画が掲載されており[66]、「鳥」の部のほうにオランダ語で"Griffoen[en]"についての説明文が載る[67]

同書によればグリフォンは"四足で、鷲(オランダ語: Arent>arend)のような頭部、翼、くちばし、足をもち、後部はライオンのよう"とあり[67]、すなわち前足は猛禽類のようだとしている(右図参照)[注 8]。また、グリフォンは"その掘り出した黄金でつくった巣に二個の卵を産むが、鷲の卵より硬く、厚く、乾いている"、とする[67][68]

この蘭訳本は、8代将軍吉宗に献上されており[69]、内容を野呂元丈が抄訳しているが[注 9][70]、グリフォンについても述べられている[71][72]。すなわちオランダ人の説明に拠れば[注 10]、グリフォンは「ゲレイヒプホウゴル」(Grijp-Vogel)とも称し、これは「つかむ」と「鳥」の意味の複合語であるとする[66][72]

後世の民間伝承 編集

民間伝承によれば、爪は医療効果を持ち、羽も盲目を治すと信じられていた、と紋章学の某書籍にみえる[76][より良い情報源が必要]

グリフォンの羽が盲目を治癒する旨の原典は、イタリアの民話に見られるが[77]、これは「歌う骨」の話群(AT 780型)に分類される話例である[78]。スコットランドのバラッド「二人の姉妹」英語版チャイルド・バラッドの10番)の類話としても研究されている[79]。ただし、このイタリア民話には異本が複数あり、盲目を治癒するのは必ずしもグリフォンの羽根ではない(例:クジャクの羽根[80])。

紋章学 編集

グリフォンは、様々な紋章や意匠に利用されている。

現代 編集

現代ではエンターテインメントやフィクション作品の中に見られるようになり、『ナルニア国物語』ではナルニアの兵士として登場し、『ハリー・ポッターシリーズ』では、主人公の所属する寮であるグリフィンドールなどの名前及び紋章に使用されている[81]

注釈 編集

  1. ^ ハルピュイア(鳥人のハーピー)のことを「ゼウスの犬」とも呼ぶので(ロドスのアポローニオス、II.289)それと区別したのだろうという考察がある[19]
  2. ^ 理屈としては、アイスキュロスが同作品の別箇所で鷲のことを「有翼のゼウスの犬」(1022–1025行)と称しているので、これと対照してグリフォンは無翼であろう、と説く(Mayor)。しかしながらロドスのアポローニオスの場合は、有翼のハーピーだろうと単に「ゼウスの犬」と呼んでいるようである(前註で既述)。
  3. ^ ヘーロドトスは、上述したように、伝えられた北方の地理(北の果ての海等[12])にしてもすべてを鵜呑みにした訳ではなく、アリマスポイが全て単眼族だとは信じていなかった[16]。 劇作家アイスキュロスもグリフォンについて作中に記しているが(『縛られたプロメテウス』、 前460年頃。ヘーロドトスより若干以前)、やはりアリステアースを情報源としたと考えられている[17][18]。アイスキュロスもやはりアリマスポイという部族がグリフィンの集めた黄金を略奪するとしているが、アリマスポイの住む地域に「黄金ころがる」プルートンの川が流れるとしており、黄金の少なくとも一部は、そもそもその川の産出なのであろうと考察される。騎馬民族であるアリマスポイは黄金を掠めて馬で逃げ、それをグリフォンが追う展開となる[20]。 アイスキュロスは、グリフォンを鋭い嘴(くちばし)を持つが、「吠えないゼウスの犬」のようだと形容する [21][注 1]。また「犬」に譬えられる限りは、翼で飛べずに走る禽獣の位置づけであろうという推察もされている[22][注 2]
  4. ^ ピロストラトス著『テュアナのアポロニオス伝
  5. ^ テュアナのアポロニオスは、グリフォンを黄金採掘の蟻と比較するが、蟻をインド産ではなくアイティオピア産とする[32]
  6. ^ 元は角に浮いた節のような凹凸があるはずだが、平らかに削り磨かれている。
  7. ^ ハールーン・アッ=ラシードはシャルルマーニュにアブル=アッバースという名の生きた像や、"彫刻された象牙の角"を送ったとされているので、グリフォンの爪(の「角杯」)ではないかとメイヤーは示唆しているが[59] 、おそらくこれは角笛の象牙の角笛英語版であり、伝・シャルルマーニュのものはアーヘン市に展示されている。
  8. ^ ただし、これと矛盾するピロストラトスの説明(指の間に被膜があって、ごく限られた飛翔力がある)も掲載する。
  9. ^ 1000種以上の動物のなかから81種にしぼり、和名とラテン名・蘭名を併記、略説をのべている[70]
  10. ^ 野呂元丈は、訳出といってもオランダの医師(ムスクルス、 Philip Pieter Musculus)に質問し、通詞を通して情報をまとめている[73][74][75]

出典 編集

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  14. ^ a b c 三上次男護雅夫佐久間重男シルクロード文化史』講談社、1974年https://www.google.com/books/edition/シルクロード歴史と文化/uQBJAAAAMAAJ?hl=ja&gbpv=1&bsq=グリュプス ;
    長澤和俊中国文明と内陸アジア』〈角川選書 143〉1983b年12月https://www.google.com/books/edition/中国文明と內陸アジア/NzMzAQAAIAAJ?hl=ja&gbpv=1&bsq=グリュプス 
  15. ^ ヘロドトス『歴史』第3巻第116章[14]
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  20. ^ Aeschylus, Prometheus Bound vv. 805–806, Watson編註[19]
  21. ^ Phillips (1955), p. 163: "unbarking"
  22. ^ Mayor & Heaney (1993), p. 42; Mayor (2011), p. 23
  23. ^ Mayor & Heaney (1993), n9: "doublets or garbled versions". Bolton (1962), p. 81; Costello (1979), p. 75による。
  24. ^ Phillips (1955), p. 163.
  25. ^ Mayor & Heaney (1993), n9.
  26. ^ Plin. 7.2: "grypis, ferarum volucri genere(グリュプス、有翼な野獣の一種)"
  27. ^ Plin. 10.70: "gryp[h]as aurita aduncitate rostri fabulosos reor(グリュプス/グリュフス、耳持ち[長耳持ち・大耳持ち]、曲った嘴とまた伝聞される)"
  28. ^ Mayor & Heaney (1993), p. 42; Mayor (2011), pp. 31–32 (Pliny the Elder 10.70.136; 7.2.10 に拠るとする)
  29. ^ Plin. 10.70
  30. ^ Philostr. VA 3.48: "μὴ γὰρ ἐπτιλῶσθαι σφᾶς, ὡς ὄρνισι πάτριον, ἀλλ᾽ ὑμέσι τοὺς ταρσοὺς ὑφάνθαι πυρσοῖς, ὡς εἶναι κυκλώσαντας (雑役:羽所有は、まともな鳥の様であらず、炎色の皮膜がついており、これが回転して[短距離の飛翔を可能とする])"
  31. ^ The Life of Apollonius of Tyana. translated by F. C. Conybeare. W. Heinemann. (1912). volume I, book III. Chapter XLVIII, p. 333. https://www.google.com/books/edition/The_Life_of_Apollonius_of_Tyana/ci4jAQAAMAAJ?gbpv=1&bsq=griffins&pg=PA333 
    As to the gold which the griffins dig up, there are rocks which are spotted with drops of gold as with sparks, which this creature can quarry because of the strength of its beak. “For these animals do exist in India” he said, “and are held in veneration as being sacred to the Sun ; and the Indian artists, when they represent the Sun, yoke four of them abreast to draw the images ; and in size and strength they resemble lions, but having this advantage over them that they have wings, they will attack them, and they get the better of elephants and of dragons. But they have no great power of flying, not more than have birds of short flight; for they are not winged as is proper with birds, but the palms of their feet are webbed with red membranes, such that they are able to revolve them, and make a flight and fight in the air; and the tiger alone is beyond their powers of attack, because in swiftness it rivals the winds".
  32. ^ Philostratus & Conybeare tr. (1912), vol. II, book VI.I., p. 5
    And the griffins of the Indians and the ants of the Ethiopians, though they are dissimilar in form, yet, from what we hear, play similar parts; for in each country they are, according to the tales of poets, the guardians of gold, and devoted to the gold reefs of the two countries.
  33. ^ Pomponius Mela (1998). Romer, Frank E.. ed. Pomponius Mela's Description of the World. University of Michigan Press. Book 2.1, p. 68. https://books.google.com/books?id=6AplSod8IDcC&q=griffins&pg=PA68 
  34. ^
    In Europe, constantly falling snow makes those places contiguous with the Riphaean Mountains.. so impassable that, in addition, they prevent those who deliberately travel here from seeing anything. After that comes a region of very rich soil but quite uninhabitable because griffins, a savage and tenacious breed of wild beasts, love.. the gold that is mined from deep within the earth there, and because they guard it with an amazing hostility to those who set foot there.[33]
  35. ^ Claudius Aelianus (1832), Aeliani de natura animalium libri xvii, 1, Impensis Friderici Frommanni, pp. 53–54, https://www.google.com/books/edition/Aeliani_de_natura_animalium/8vwOAQAAIAAJ?&gbpv=1&bsq=Gryphem&pg=RA1-PA53 
  36. ^ Aelian De natura animaliumIV , 27:"Gryphem, Indicum animal, audio similiter quadrupedem, ut leonem,.."[35]。英訳の引用はMayor (2011), p. 33にあり、訳出の表現は多少異なるがMayor & Heaney (1993), pp. 44–45にも抜粋的に英訳されている。
  37. ^ Mayor & Heaney (1993), n14: "Aelian is the last literary text dealing with the griffin considered here; after his account,.. no new information about the gryps was added, except for 'agate eggs'"
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  63. ^ a b c d 第一部の「四足動物自然誌」:Jonston, Johannes (1660). “Beschyvingh van de Natuur der Viervoetigen Dieren/ Boeck II.: Van der Vier-voetige Dieren, met Gekloofde Voeten/ I. Op-Schrift: Van de Kloof-voetige Land-dieren /IV. Hooft-st.: Van de Nietherkauwende vier voetige /II. Lid: Van't wilde Zwijn oft Aper”. Beschryvingh van de Natuur der Vier-Voetige Diren, Vissen en Bloedlooze Water-Dieren, Vogelen, Kronkel-Dieren, Slangen en Draken. Amsterdam: I. I. Schipper. p. 86f, Tab. XLIX. https://books.google.com/books?id=gWjq9i6nlbAC&pg=PA89-IA10 
    第三部の「鳥類自然誌」:Beschrijving vande Natuur der Vogelen / Anhangsel Vande verdighte Voghels/I. Hooft-stuk. Van de Griffoenen en Harpijen", pp. 171–172, Tab. 62
  64. ^ ラテン名 Grÿphus ギリシア名 Grÿps のキャプション入り。第一部「四足動物自然誌」の図表XLIX[63]
  65. ^ ラテン名 Grÿphus ドイツ名? Greiff のキャプション入り。第三部「鳥類自然誌」の図表62[63]
  66. ^ a b 磯崎 (1995), p. 68: "「ケレイヒ」(フレイペン・ grijpen )を「捕える、つかむ」、また「ホウゴル」(Vogel)を鳥と解釈している。原本には、ライオンと鷲ということで、四足動物と鳥類の二か所にグリフィン銅版画が記載されている。元丈は、本文でなく銅版画挿絵から順次、動物を選択していったから、最初に目にした四足動物自然誌からグリフィンをとり上げたと推定されよう。"
  67. ^ a b c 第三部「鳥類自然誌」のpp. 171–172[63]
  68. ^ Seager, Herbert West (1896). Natural History in Shakespeare's Time: Being Extracts Illustrative of the Subject as He Knew it. London: Elliot Stock. pp. 136–138. https://www.google.com/books/edition/Natural_History_in_Shakespeare_s_Time/EzZaAAAAMAAJ?gbpv=1&pg=PA137 
  69. ^ 磯崎 (1995), pp. 56–57.
  70. ^ a b 磯崎 (1995), pp. 61.
  71. ^ 磯崎康彦 (1995), p. 81.
  72. ^ a b 野呂元丈阿蘭陀禽獣虫魚図和解 (ヨンストン『動物図説』)」『阿蘭陀本草和解 (ドドネウス『草木誌』)』1912年(原著1742–1750)https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2555966/18。"一鳥頭獣身一種 ゲレイヒプホウゴル"。 書誌詳細 現本・上巻 (国立公文書館蔵 画像19/67)。
  73. ^ 磯崎 (1995), pp. 56, 58.
  74. ^ 本書の奥付に「ムスクルス」より得たと記載(書誌詳細の画像参照)。
  75. ^ Goodman, Grant Kohn (2013). Japan: The Dutch Experience. Bloomsbury Publishing. pp. 72–73. ISBN 9781780934921. https://www.google.com/books/edition/Japan_The_Dutch_Experience/AVIQAgAAQBAJ?gbpv=1&bsq=Noro+Musculus&pg=PA72 
  76. ^ Friar, Stephen (1987). A New Dictionary of Heraldry. London: Alphabooks/A & C Black. p. 173. ISBN 978-0-906670-44-6 
  77. ^ Hand, Wayland D. (2021). Magical Medicine: The Folkloric Component of Medicine in the Folk Belief, Custom, and Ritual of the Peoples of Europe and America. University of California Press. p. 298. ISBN 9780520306783. https://www.google.com/books/edition/Magical_Medicine/CODrDwAAQBAJ?gbpv=1&dq=griffin+feather&pg=PA298 
  78. ^ Lewis, Thomas P. (2021). “Singing Bone”. The Pro/Am Book of Music and Mythology. Pro/Am Music Resources. p. 721–723. ISBN 9780912483511. https://www.google.com/books/edition/The_Pro_Am_Book_of_Music_and_Mythology/LAM8AQAAIAAJ?gbpv=1&bsq=griffin 
  79. ^ Brewster, Paul G. (1953). The Two Sisters. FF Communications, 147. Helsinki: Academia Scientiarum Fennica. p. 55. https://www.google.com/books/edition/FF_Communications/ATRLAAAAYAAJ?gbpv=1&bsq=griffins 
  80. ^ Endnotes, volume 2, p. 869, to : Zipes, Jack; Russo, Joseph, eds. (2009), “79. The King of Naples―Lu Re di Napuli”, The Collected Sicilian Folk and Fairy Tales of Giuseppe Pitrè, 1&2 , Routledge, pp. 348-349, http://books.google.com/books?id=tRgjAQAAQBAJ&pg=PA348 
  81. ^ J・K・ローリング『幻の動物とその生息地』静山社、2001年、他

参照文献 編集

  • Phillips, E. D. (1955). “The Legend of Aristeas: Fact and Fancy in Early Greek Notions of East Russia, Siberia, and Inner Asia”. Artibus Asiae 18 (2): 161–177. JSTOR 3248792. 

関連項目 編集