ランドルフ・M・ネッセ(Randolph M. Nesse, M.D.、1948年 - )は、アメリカ合衆国医師進化生物学者。進化心理学進化医学(ダーウィン医学)の研究で知られ、また、感情進化論的起源や、自然選択気分の形成に果たす役割についての研究でも知られている。

Randolph M. Nesse

ネッセは、ミシガン大学医学校を卒業し、ミシガン大学アナーバー校の心理学教授と大学医学校の精神医学教授を兼任した。ミシガン大学の進化と人間適応に関するプログラムの代表者も務めた。 2014年からはアリゾナ州立大学に移り、生命科学の教授を務めるかたわら進化医学センターの創設理事長に就任している。

ネッセは、ジョージ・クリストファー・ウィリアムズと『Why We Get Sick』(1995年)を共著している。

苦労の免疫理論 編集

ネッセは、人間の希望や絶望についての考察の中で、困難な状況の経験とそれに耐える力について、これを免疫の働きに喩える「苦労の免疫理論」を唱えた。山田昌弘2004年の著書『希望格差社会』の中で、ネッセの議論を「社会に出る前に『小さな苦労』に出会い、その苦労が報われるという経験をしておくと、苦労に対する免疫ができ、社会に出てからも大きな苦労に対し、希望をもって対処することができるということ」と紹介し、現代日本が若者が希望をもちにくいとする主張の根拠のひとつとした[1]

おもな業績 編集

脚注 編集

  1. ^ 渡辺弘純「希望の心理学について再考する - 研究覚書」『愛媛大学教育学部紀要』第52巻第1号、愛媛大学教育学部、2005年、47頁。  NAID 120003059338

外部リンク 編集