フリードリヒ・コンラート・アウグスト・フィック(Friedrich Conrad August Fick、1833年5月5日 - 1916年3月24日)は、ドイツ文献学者インド・ヨーロッパ語族語源学研究で知られる。

アウグスト・フィック

生涯 編集

フィックはペータースハーゲンに生まれ、ゲッティンゲン大学テーオドール・ベンファイらに学んだ。1858年からゲッティンゲンギムナジウムで教えた[1]

1876年にゲッティンゲン大学の員外教授に就任した。1888年にはブレスラウ大学の正教授に移ったが、健康上の理由で1891年に退官した[1]

1916年、ヒルデスハイムで没した。

主な業績 編集

1868年に『印欧祖語辞典』を出版した。これは最初のインド・ヨーロッパ祖語の辞典だった[1][2]

1870年の第2版以降では『印欧語比較辞典』と改題し、大きく拡張された(ヴァルデとポコルニーによる同名の書がある)。

  • Vergleichendes Wörterbuch der Indogermanischen Sprachen. Göttingen: Vandenhoeck und Ruprecht. (1890-1909) (第4版)巻1 巻2 巻3

1873年には『ヨーロッパの印欧人の古い言語一体性』を出版した[2]

1879年の論文で、インド・ヨーロッパ祖語の弱い母音をはじめて想定し、シュワーと名付けた[2]

ほかに古代ギリシアの人名や地名の研究、ホメーロスヘーシオドスの言語の研究などがある。

脚注 編集

  1. ^ a b c NDB
  2. ^ a b c 神山(2006) pp.94-95

参考文献 編集

  • Wissmann, Wilhelm: Fick, Friedrich Conrad August. In: Neue Deutsche Biographie (NDB). Band 5, Duncker & Humblot, Berlin 1961, ISBN 3-428-00186-9, S. 130 f. (電子テキスト版).
  • 神山孝夫『印欧祖語の母音組織―研究史要説と試論―』大学教育出版、2006年。ISBN 9784887307186