アクリノール(Acrinol)、化学名乳酸6,9-ジアミノ-2-エトキシアクリジン一水和物(2-Ethoxy-6,9-diaminoacridine monolactate monohydrate)は、分子式C15H15N3O・C3H6O3・H2Oで表される殺菌消毒薬の一つ[1]。別名エトジン(Ethodin)、エタクリジン、乳酸エタクリジン[2]。ヘクタリン,リマオン[2]、リバノールの名称でも市販されている[1]。分子量361.39。CAS登録番号は1837-57-6。融点235℃で無臭[2]の黄色の結晶性粉末で、エタノールには可溶[1]水溶液は緑色の蛍光を発する[2]

アクリノール
構造式 アクリノール
IUPAC命名法による物質名
識別
CAS番号
1837-57-6
PubChem CID: 15789
KEGG D01248
化学的データ
化学式C15H15N3O・C3H6O3・H2O
分子量361.39
物理的データ
融点235 °C (455 °F)
テンプレートを表示

アクリジン色素の殺菌作用の研究から1917年抗トリパノソーマ剤アクリフラビンの発見に次いで、その毒性を改良したアクリノールが1919年に発表された。

特性 編集

アクリノールは、0.05~0.2%の水溶液が殺菌消毒薬として利用される。しばしば市販の絆創膏ガーゼに黄色い消毒薬が染みこんでいるものが見かけられるが、この消毒薬がアクリノールである。 生体組織に対する刺激性は極めて低く、血清タンパク質の存在下においても殺菌力が保たれる。そのため、化膿局所に使用されることが多い。低濃度のものはうがい薬としても使用される。致死量はマウス、皮下で75 mg/kgである[1]

殺菌効果 編集

グラム陽性菌陰性菌いずれにも有効で、ウェルシュ菌ブドウ球菌淋菌連鎖球菌に対し特に活性が高い。作用機序は、生体内でイオン化し、その陽イオン部分が細胞の呼吸酵素を阻害することにより殺菌する。

出典 編集

  1. ^ a b c d 吉川、粕谷 著、化学大辞典編集委員会(編) 編『化学大辞典』 1巻(縮刷版第26版)、共立、1981年10月、40-41頁頁。 
  2. ^ a b c d 小項目事典,デジタル大辞泉プラス,デジタル大辞泉,世界大百科事典内言及, 日本大百科全書(ニッポニカ),化学辞典 第2版,百科事典マイペディア,精選版 日本国語大辞典,ブリタニカ国際大百科事典. “アクリノールとは”. コトバンク. 2021年9月6日閲覧。