アプト・スポーツライン

アプト・スポーツラインAbt Sportsline GmbH)は、ドイツバイエルン州ケンプテンに拠点を置くレーシングチームおよびチューニング会社である。主にアウディフォルクスワーゲングループのブランド(フォルクスワーゲンシュコダセアト)を取り扱う。スポーツタイプのサスペンション、エンジン出力のアップグレード、軽量ホイール、空力コンポーネント変更などを行っている。

アプト・スポーツライン
種類
株式会社
業種 自動車産業
設立 1991年 (33年前) (1991)
(Abt Sportsline GmbH)
創業者 ヨハン・アプト
本社 ドイツの旗 ドイツ バイエルン州 ケンプテン
主要人物
ユルゲン・アプト(CEO
クリスチャン・アプト
製品 車体外装パーツ、エンジンチューニング
サービス モータースポーツ活動
ウェブサイト Abt-Sportsline
アウディ・A4 DTM(2009年)
ハインツ=ハラルド・フレンツェンがドライブするアウディ・A4 DTM(2006年)

歴史 編集

ヨハン・アプト(1935年12月生)は、家業の蹄鉄製造を継ぎ、1970年までアバルトファクトリーチームに所属しオートバイレースヒルクライムに参加していた。彼は後に自らのチームでレースに参加し、「トロフィー・ド・ラヴニール」やその他のシリーズで勝利を挙げた。ヨハン・アプトの父は、1896年に最初のアプト社(Auto Abt)を設立した。

1991年、アプト・スポーツライン GmbH が設立された。

ヨハンは2003年に死去し、100名以上の従業員を抱える会社は息子のハンス=ユルゲン・アプト(1962年生)とクリスチャン・アプトの兄弟によって経営が引き継がれた。2011年以来、ハンス=ユルゲン・アプトが会社を経営している。

レース活動 編集

ツーリングカー 編集

1999年、クリスチャン・アプトアウディ・A4ドイツ・スーパーツーリング選手権でタイトルを獲得した後、翌年からドイツツーリングカー選手権(DTM)へアウディセミワークスとして参戦した。2000年はアプト・アウディ・TT-Rの開発時間の不足もあったが、2002年ローレン・アイエロがドライバーズタイトルを獲得した。

2003年、前年のADAC VWルポ・カップシリーズのタイトルを獲得した19歳のペーター・テルティングにTT-Rをドライブするチャンスを与えた。アプトはこのような試みに活発である。

その後もDTMで2004年2007年2008年2009年にタイトルを獲得するなどドイツのレースシリーズで活躍した。2004年以来、アウディスポーツ・チーム・アプト・スポーツラインの名前で、アウディのワークスチームとなった[1]

フォーミュラE 編集

 
アウディスポーツ・アプト・シェフラー(2021年)

2014年から新たに始まったフォーミュラEに、アウディスポーツ・アプト・フォーミュラEチームとしてルーカス・ディ・グラッシダニエル・アプト英語版を擁して2014-15年シーズンに参戦した[2]2016-17年にディ・グラッシがドライバーズタイトルを[3]2017-18年にチームタイトルを[4]それぞれ獲得している。

また、2015-16年からはチーム名をアプト・シェフラー・アウディ・スポーツ、2017-18年以降はアウディワークスチームとしてアウディ・スポーツ・アプト・シェフラーに変更しエントリーしている。

2020年5月23日新型コロナウイルスの影響で中断されていた2019-20年シーズンの代替レースとして開催された、フォーミュラEレース・アット・ホーム・チャレンジ第5戦において重大な不正行為を行い失格となった[5]、身内のダニエル・アプト英語版に対してアウディは、契約解除という厳格な処分を下すことを発表した[6]。その後チームは、再開後の6戦並びに翌2020-21年に向けアプトの後任として、DTMなどで活躍するレネ・ラストを起用すると発表した[7]

2021年限りでアウディがフォーミュラEから撤退した為、2021‐22年の参戦は無かったが、2022‐23年シーズンから復帰した。セアトのブランド名であるクプラ英語版と提携し、チーム名を当初の「チーム・アプト」から「アプト・クプラ・フォーミュラEチーム」へ変更して参戦する[8]。パワートレインはマヒンドラを使用する。2024年-25年からはローラヤマハからパワートレインの供給を受ける。

アフターマーケット 編集

アプトはレースで培った技術を一般車にうまくフィードバックさせ、フォルクスワーゲングループの車種(アウディ、セアトを含む)のチューナーとして成功を収めている。標準モデルよりも空力性能を高めたボディキットの、フロントリップスポイラー、サイドスカート、テールゲートに取り付けられたスポイラー、アプトブランドのフロアマット、アルミホイール、ミラーキャップ、スポーツスプリング、スポーツエキゾーストシステムなどがある。

代表車種 編集

 
アプト・アウディ・RS5-R
  • RS4-R - アウディ・A4 B7 アバントを高度にチューニングした車種。RS4-Rはツインターボを装着した2.7リッターV6エンジンを搭載し、6800rpmで480 hp (358 kW)、3300rpmでトルク417 lb⋅ft (565 N⋅m)を発生する。「Modified Luxury & Exotics」誌はAS4-Rを「重要な変更が届けられた」「ハンドリングはおもちゃのようだ...」と評している[9]
  • TT-R - アウディ・TT2代目をスーパチャージャー化したもの。
  • R8-R - R8の4.2リッターV8エンジンをスーパーチャージャー化し530 hp (395 kW)を発生する。
  • R8 GT R - 高度にチューニングされたR8で、アプトの言う「公道のモータースポーツチャンピオン」であるV10エンジンを搭載する。搭載エンジンは5.2リッターV10エンジンで、出力は525 hp (391 kW)から620 hp (462 kW)に引き上げられる。多くの外装パーツがカーボンファイバーで作られ、車重は220 lb (100 kg)軽量化された。内装もレーシングカーの様に変更され、シート、消火器、4点式シートベルト、ロールバー、レース用ステアリングを特徴とする。その他の様々な変更によって、R8を高性能で公道走行可能なレーシングカーにする[10]

参照 編集

  1. ^ ABT Sportsline”. ITR e.V.. 2013年11月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年11月2日閲覧。
  2. ^ Formula E”. audi-press.jp. 2020年2月4日閲覧。
  3. ^ フォーミュラE:カナダでブエミ失速。ディ・グラッシが3代目王者に輝く”. as-web.jp. 2020年2月4日閲覧。
  4. ^ フォーミュラE:アウディが2点差で新チーム王者に。シリーズ最終戦は新王者ベルニュが制す”. as-web.jp. 2020年2月4日閲覧。
  5. ^ フォーミュラE:eスポーツ第5戦で“替え玉”が発覚。アプトが失格と罰金1万ユーロを科される”. as-web.jp/. 2020年5月31日閲覧。
  6. ^ フォーミュラE:バーチャルで“替え玉”を使ったダニエル・アプトがアウディのシートを失う”. as-web.jp/. 2020年5月31日閲覧。
  7. ^ フォーミュラE:DTM王者レネ・ラストがアウディのマシンを初ドライブ「ベルリンでのレースが楽しみ」”. as-web.jp. 2020年2月4日閲覧。
  8. ^ Long-Time Audi Partner Team ABT Returns to Formula E Grid”. The Race (2022年5月5日). 2022年5月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月5日閲覧。
  9. ^ Modified Luxury & Exotics RS4 Renaissance, PP. 88 to 94, By Colum Wood. Photos by Joost Demuynck. May 2007
  10. ^ ABT R8 GT R – A Racecar for the Road”. AudiSite.com. 2010年4月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年4月6日閲覧。

外部リンク 編集