イタリアンパセリ

セリ科オランダゼリ属の植物

イタリアンパセリ英語: Italian Parsley, イタリア語: Prezzemolo, 学名: Petroselinum neapolitanum)は、セリ科オランダゼリ属二年草[2][3]。葉が大きく縮れないパセリ(オランダゼリ)の一品種で、プレーンリーブド種ともよぶ。ハーブの一種に数えられ、香りと風味がよく、スープサラダなどに使われる[1]

イタリアンパセリ
イタリアンパセリ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : キキョウ類 campanulids
: セリ目 Apiales
: セリ科 Apiaceae
: オランダゼリ属 Petroselinum
: イタリアンパセリ P. neapolitanum
学名
Petroselinum neapolitanum
シノニム

Petroselinum crispum neapolitanum

和名
イタリアンパセリ
英名
Italian parsley[1]
flat leaf parsley

特徴 編集

地中海沿岸の原産[3][4]。葉が縮れない平葉のパセリで[5]、西暦2 - 3世紀頃からヨーロッパで食用にされてきた品種[4]日本で普及しているモスカール種に比べると葉が平たく[3][4]、クセがなくて風味や香りが柔らかいのが特徴[6]。ヨーロッパでは、葉が縮れたタイプのパセリよりもポピュラーである[7][5]

草丈は30 - 100センチメートル (cm) [2]。開花期は5 - 7月で、白色に近い黄緑色の小を傘状に咲かせる[2]

モスカール種と同じく、アピオールピネンが香りの主成分となっている。また同様に、β-カロテンビタミンCカルシウムなどの栄養素を有する[4]

栽培 編集

日当たりが良く、肥沃な土壌を好み、乾燥には弱い性質を持つ[2]。栽培は容易で、「春まき」で間引きながら育てるか、苗を定植して育てる[7]。「春まき」(4 - 5月)のほうが育てやすく、初夏から冬に枯れるまで長期間収穫できる[1]。「秋まき」(9 - 10月)でも栽培できるが、春になると花茎が伸びてくる薹立ち(トウ立ち)が起こる[7]。鉢植えで手軽に育てることもできる[7]。栽培適温は15 - 20度とされ[7]、室内に入れれば冬越しもできる[1]連作も可能である[7]

春に種をまく場合、日本では4月ごろが適期で、全体に薄くばらまき、種が隠れる程度に薄く覆土する[7]発芽したら間引きしながら育てていき、最終株間が7 - 10センチメートル (cm) ほどになるようにする[7]育苗ポットでポットまきにして苗を育て、本葉4 - 5枚で定植する方法もある[1]。市販の苗などを定植するときは、5月ごろに行う[7]。間引きした後は、苗が倒れないように都度土を足していき(土寄せ)、2週間後からは追肥を行う[7][1]。水やりは、春から夏にかけて水切れを起こさないように朝夕に行う[7]。6月ごろから収穫ができるようになり、翌年の2月ごろまで長期にわたって収穫できる[7]。葉の収穫は、12枚以上揃ってから、株の下の葉から順にとっていく[2][1]

病虫害は、アブラムシキアゲハハダニなどの食害が多い[2]。キアゲハの幼虫がついたら取り除くようにする[1]

食用 編集

主にイタリア料理香味野菜として使われる。通年流通しており、葉先まで張りがあり濃い緑色をしているものが良品とされる[7]。料理の香りづけや青味として使い、やわらかい葉と繊維質の茎を分けて使うのが一般的である[7]。すり潰した葉や細かく刻んだ葉を料理のソースドレッシングなどに利用したり、そのままちぎってパスタなどの料理に添えられたりする[2][5]。比較的苦味は少なく香りが穏やかで、サラダにしても使われる[7][5]。肉や魚の臭い消しの効果からブーケガルニの一つにも使われたり[7]ビネガーの香りづけに利用される[2]

茎は煮込み料理などに加熱する時から使われるが、葉は加熱によって香りが飛んでしまい、色も悪くなることから料理の仕上げに使う[7]ミートソースクリームソースなどどんなソースにも合い、みじん切りにしたものを散らすと香りが広がる[6]ビタミンミネラルを多く含む[2]。香りの元になる精油成分はアピオールで、胃腸を整えて食欲増進、疲労回復、解毒や食中毒予防、口臭予防の効果が期待されている[7][5]

脚注 編集

  1. ^ a b c d e f g h 金子美登 2012, p. 156.
  2. ^ a b c d e f g h i 神蔵嘉高 1997, p. 68.
  3. ^ a b c "イタリアンパセリ". 平凡社『百科事典マイペディア. コトバンクより2021年4月20日閲覧
  4. ^ a b c d 後藤昌弘(農学博士、神戸女子大学家政学部教授). “イタリアンパセリ - e食材辞典 - eヘルシーレシピ”. 第一三共. 2021年4月20日閲覧。
  5. ^ a b c d e 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 178.
  6. ^ a b 神蔵嘉高 1997, p. 35.
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 主婦の友社編 2011, p. 260.

参考文献 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集

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