オオバナノミミナグサ

ナデシコ科の種

オオバナノミミナグサ(大花耳菜草、学名:Cerastium fischerianum)は、ナデシコ科ミミナグサ属多年草[5][7][8]。別名、オオバナミミナグサ、リシリミミナグサ、タカネミミナグサ[1][5]

オオバナノミミナグサ
青森県下北半島 2019年6月下旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
: ナデシコ目 Caryophyllales
: ナデシコ科 Caryophyllaceae
: ミミナグサ属 Cerastium
: オオバナノミミナグサ
C. fischerianum
学名
Cerastium fischerianum Ser.[1]
シノニム
和名
オオバナノミミナグサ(大花耳菜草)[7]

特徴 編集

植物体全体に軟毛がある。は円柱形で、長毛と腺毛が混生し、斜上して高さは15-60cmになる。は対生し、葉身は円形から長楕円状披針形で、長さ1-5cm、幅3-10mmになり、先端は鈍形で、基部は互いに合生して葉柄がない。葉の両面に毛が生える[5][7][8]

花期は6-8月。は径約15mmとやや大型で、集散花序となり、花柄は長さ1-3cmになり、腺毛が密生する。片は5個で、長楕円形になり、長さは6-8mm、先端が鈍形になり、腺毛が多く、縁は膜質になる。花弁は白色で5個あり、倒卵形になり、長さは萼片の2倍の約12mmで、先端は浅く2裂する。雄蕊は10個あり、花糸に毛が生える。花柱は5個ある。果実は円柱形の蒴果で、下を向き、長さ12-15mmになり、先端に10歯がある。種子は径1-1.2mmの円形で、円錐状の鋭い突起がある[5][7][8][9]

分布と生育環境 編集

日本では、南千島、北海道、本州の東北地方北部に分布し、海岸の岩礫地、岩地に生育する[5][8]。国外では朝鮮半島北部、サハリン千島列島カムチャツカ半島アリューシャン列島、北アメリカ西部に分布する。北太平洋要素の植物である[5]

名前の由来 編集

和名オオバナノミミナグサは、「大花」の「耳菜草」の意味[7]。ミミナグサ属の植物で、属の中では花がやや大型であることによる。

種小名(種形容語)fischerianum は、ロシアの植物学者、フリードリヒ・エルンスト・ルートヴィヒ・フィッシャーへの献名[10]

ギャラリー 編集

ゲンカイミミナグサ 編集

  • ゲンカイミミナグサ(Cerastium fischerianum Ser. var. mole Ohwi[11])- オオバナノミミナグサを基本種とする変種。茎は他物に寄りかかって斜上するか、地面を這う。葉は長楕円形。花期は4-6月。萼片の長さは基本種と変わらないが、花弁の長さは5-7mmと短い。九州の福岡県佐賀県長崎県朝鮮半島済州島に分布する[5][9]。準絶滅危惧(NT)(2017年、環境省)[5]。1942年に大井次三郎によって新変種として記載発表された[1][9]

脚注 編集

  1. ^ a b c オオバナノミミナグサ「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
  2. ^ オオバナノミミナグサ(シノニム)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
  3. ^ オオバナノミミナグサ(シノニム)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
  4. ^ synonym of Cerastium fischerianum, The Plant List.
  5. ^ a b c d e f g h i j 『改訂新版 日本の野生植物4』p.111
  6. ^ synonym of Cerastium fischerianum, The Plant List.
  7. ^ a b c d e 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.871
  8. ^ a b c d 『山渓カラー名鑑 日本の野草』p.516
  9. ^ a b c 三木栄二「ゲンカイミミナグサについて」『植物分類,地理』第33巻、日本植物分類学会、1982年、260-263頁、doi:10.18942/bunruichiri.KJ00001079169 
  10. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1493
  11. ^ ゲンカイミミナグサ「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)

参考文献 編集