キッチンオトボケ

新宿区の定食屋

キッチンオトボケは、東京都新宿区馬場下町定食屋[1]

店舗外観、2023年撮影。

1973年創業で[1]カレーライスカツカレー揚げ物フライ、「ジャンジャン焼き」(豚肉を甘辛ダレで炒めた料理[2])を主軸とする。量の多さで知られ[1]、客の8割が早稲田大学の学生とされる[3]

沿革 編集

 
ジャンジャン焼き定食、2023年撮影。

店主の仁平雅男[4](1947年 – )は1967年/1968年ごろ、神田神保町にあったレストランでジャンジャン焼き(豚肉を甘辛ダレで炒めた料理[2])を考案している[1]

その後、1973年に馬場下町、穴八幡の交差点でキッチンオトボケを創業した[1]

2010年代初のリニューアルで内装が一新された[5]

料理 編集

 
単品のメンチカツ1枚を追加したメンチカツ定食、2023年撮影。

券売機で食券を購入して店員に渡す形態であり、前述のジャンジャン焼きのほか、カツカレー、チキンカツ定食、メンチカツ定食、カニコロッケ定食、肉茄子炒め定食などが提供され[1][6]、カツやコロッケといったおかずの単品追加もできる[7]。券売機に記載されていない「特盛」も存在する[6]

量の多さで知られ、ジャンジャン焼き定食大盛に肉大盛りを追加し、重さをはかった結果を肉とキャベツ331グラム、ごはん586グラムとする雑誌記事[1]、ジャンジャン焼き定食にご飯大盛りを追加した場合のごはんを700グラムとする記事が存在する[7]。値段の低さと合わさって、コストパフォーマンスが良いとも評価される[5]

全般的に甘めの味付けで「どこか懐かしさを感じさせる昭和の味」と評されている[3]。ジャンジャン焼きが長い間同店の看板メニューとなっているほか[2]、メンチカツ定食は「玉ねぎの甘みがじんわり優しい」[4]、チキンカツ定食は今柊二により「適度な脂っこさが嬉しい」と評された[5]

食材は肉を毎日朝晩2回仕入れて使い、あきたこまちコシヒカリを毎日60キログラム使用している[7]。このほか、テーブルには福神漬沢庵漬け、揚げ物用のソース、一味唐辛子、練りからしといった調味料が常備されている[6]

客層 編集

早稲田大学の学生間での名店になり、2000年代には早稲田大学の学生が食事をすることを「トボケる」と呼称するほどだった[8]。2011年時点で客の8割が早稲田大学の学生とされ[3]、卒業生が味を懐かしむために訪れることも多いという[4]。店長によれば、男子学生ばかり来店した時期があったが、2019年時点では女子学生もみられるようになった[1]。定食評論家の今柊二はこれを2016年の数年前に行われたリニューアルで内装が綺麗になったことを理由として挙げている[5]

映像ディレクターの高橋弘樹は大学時代に毎日キッチンオトボケに通っており、「極めて普通のとんかつ屋」と評したものの「なじみの店」という安心感があったという[9]BOOMERの伊勢浩二は下積み時代、西早稲田に住んだときにキッチンオトボケに通っており、のちに回想して「安くてうまくて、まさに下積み時代の思い出のメシ」と評している[2]。店長によれば、野球選手の松本匡史山倉和博も常連だったという[3]

出典 編集

  1. ^ a b c d e f g h 早大生に愛される伝説の定食屋『キッチン オトボケ』で「ジャンジャン焼き」を食べてきた”. 食楽web. 徳間書店 (2019年3月31日). 2023年10月21日閲覧。
  2. ^ a b c d 伊勢浩二、キンマサタカ「売れっ子芸人の下積みメシ 205笑目」『週刊実話』第63巻第42号、日本ジャーナル出版、2020年11月12日、202頁。 
  3. ^ a b c d 「金欠貧乏時代を支えた絶品アシスタントめし!」『週刊実話』第54巻第8号、日本ジャーナル出版、2011年3月3日、113頁。 
  4. ^ a b c 「庶民の味方 「ワンコインランチ」を食べ尽くせ!」『アサヒ芸能』第72巻第10号、徳間書店、2017年3月16日、24頁。 
  5. ^ a b c d 今柊二「ネームバリューより微妙なチェーン店に隠れた名店あり!」『SPA!』第3492号、扶桑社、2016年5月24日、41頁。 
  6. ^ a b c 鶴海大輔「衝撃コスパの裏メニュー!早大生が通う「キッチンオトボケ」のデカ盛りカツカレーを実食」『マイナビニュース』、2023年10月6日。2023年10月21日閲覧。
  7. ^ a b c 阿部真奈美、水野成美、山本久美「大食い!激ヤバ!コレが噂の爆盛り!ドトーの27皿大公開」『TOKYO★1週間』第8巻第4号、講談社、2004年2月17日、69頁。 
  8. ^ 吉村智樹「吉村智樹のへんてこりんJAPAN」『アサヒ芸能』第56巻第29号、徳間書店、2001年8月2日、223頁。 
  9. ^ 高橋弘樹ググッと人を惹きつける企画は「安心」と「好奇心」を同時に刺激する」『ダイヤモンド・オンライン』、2019年1月6日。2023年10月21日閲覧。

座標: 北緯35度42分23.9秒 東経139度43分8.7秒 / 北緯35.706639度 東経139.719083度 / 35.706639; 139.719083