クイジナートCuisinart)は、アメリカの調理用品ブランド。

クイジナート
現地語社名
Cuisinart
種類
非公開会社
設立 1971
創業者 Carl Sontheimer
解散 1989年 ウィキデータを編集
本社
製品 フードプロセッサーをはじめとする各種調理器具
親会社 コンエアー
ウェブサイト cuisinart.com
クイジナートのフードプロセッサと刃

この会社は、1971年にカール・ソンタイマー[注釈 1]が電動式フードプロセッサーをアメリカ市場へ投入するため設立した[2]

この初の「フードプロセッサー」は1973年にシカゴのフードショーで紹介された。今や英語圏で「クイジナート」といえば「フードプロセッサー」の代名詞になっている。「クイジナート」は「クィジーン」(cuisine、料理)と「アート」(art、芸術)のかばん語である。

クイジナートは1989年にコンエアーの傘下に入った[3]

歴史 編集

クイジナートは、マサチューセッツ工科大学卒のカール・ソンタイマーが1971年に設立した。彼はフランス料理への愛着から奮起し[2]、それが会社の設立とその主要製品であるフードプロセッサーの開発につながった[4]。クイジナートは、1973年1月にシカゴでの展示会で商品のお披露目を行った。当初の評判は限定的だったものの、『グルメ』誌にレビューが掲載されたことで売り上げが伸びるようになった[2]

1970年代半ばにかけて、ソンタイマーの親友のジェームズ・ビアドといったカリスマシェフとのタイアップを行ったことで、クイジナートの売り上げは増加した[2] 。手足が不自由だったり視覚障害があるような人も含め誰でもクイジナート製品を使えるようマーク・ハリソンを起用すると、ユニバーサルデザイン界隈でクイジナートは重要な製品となった[5]

1980年代半ばから後半になると、クイジナートは財政難を招き売り上げの低下に見舞われた[6]。1987年に、投資家グループがソンタイマーから株を4200万ドルで買い上げた。1989年8月に、クイジナートは破産を申し立てた[7]。これにより、コンエアーはクイジナートを2700万ドルで買収した[3]

ロボクープとの係争 編集

1970年代後半にロボクープとクイジナートの間に係争が生じたが、それはロボクープがクイジナート製品の販売を止めて自社ブランドの製品をリリースしたためだった[8]。ロボクープは前にマーケティング責任者だったアルヴィン・ファインマンを1979年に雇い[8]、彼が関わった比較広告が訴訟につながった。その結果、クイジナートがあたかもロボクープによって製造された製品を売っているかのように仄めかすことをロボクープは止めるよう命じられた[7]

製品と開発 編集

クイジナートの製品には次のようなものがある。

クイジナートの製品で最も有名なのはフードプロセッサーである。また他にも多くの製品を製造している。1970年代に新製品のデザインと既存製品の改善を図るためインダストリアルデザイナーのマーク・ハリソンを雇って以降、クイジナート製品の多くがユニバーサルデザインとなった[5]。ハリソンは製品を、障害者により使いやすいよう改善し、目の悪い人にも良く見えるよう文字を大きくするなどした[9]

注釈 編集

  1. ^ カナ読みはカタログ表記に倣った。[1]

脚注 編集

  1. ^ コンエアージャパン 2015.
  2. ^ a b c d Jr, Robert Mcg Thomas (1998年3月26日). “C. G. Sontheimer, Cuisinart Backer, Dies at 83”. The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/1998/03/26/business/c-g-sontheimer-cuisinart-backer-dies-at-83.html 2018年12月8日閲覧。 
  3. ^ a b “Conair Buys Cuisinart Line”. The New York Times. (1989年12月28日). ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/1989/12/28/business/conair-buys-cuisinart-line.html 2018年12月8日閲覧。 
  4. ^ Lewis, Vivian (1977年7月31日). “From France, the Cuisinart”. The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/1977/07/31/archives/from-france-the-cuisinart.html 2018年12月8日閲覧。 
  5. ^ a b Williamson, Bess (December 2012). “Getting a Grip: Disability in American Industrial Design of the Late Twentieth Century”. Winterthur Portfolio 46 (4): 213–236. doi:10.1086/669668. ISSN 0084-0416. 
  6. ^ Kleinfield, N.R. (1990年4月15日). “How Cuisinart Lost Its Edge”. The New York Times. https://www.nytimes.com/1990/04/15/magazine/how-cuisinart-lost-its-edge.html 2018年12月17日閲覧。 
  7. ^ a b N.R. Kleinfield (1990年4月15日). “How Cuisinart Lost its Edge”. The New York Times. 2019年10月23日閲覧。
  8. ^ a b “Blade Battle”. Time. (1981年5月18日). ISSN 0040-781X. http://content.time.com/time/subscriber/article/0,33009,951688,00.html 2018年12月8日閲覧。 
  9. ^ Catanese, Lynn (2012). “Thomas Lamb, Marc Harrison, Richard Hollerith and the Origins of Universal Design on JSTOR”. Journal of Design History 25 (2): 206–217. doi:10.1093/jdh/eps013. JSTOR 41687795. 

関連項目 編集

  • ウィザードリィ - 1981年に米国で製作されたコンピュータRPG。オリジナルである英語版には、プレイヤー用の強力な武器として「Blade Cusinart」(クイジナートの刃、要するにフードプロセッサの刃)というジョークアイテムが登場する。このゲームにはそうしたパロディやジョークがしばしば登場するが、英語圏の文化的背景が通じない日本向けの日本語版へ移植するにあたってはシリアスな世界観に統一され、Blade Cusinart も「カシナートの剣」(伝説の刀匠カシナートが鍛えた名刀)という設定へ変えられた。

参考文献 編集

外部リンク 編集