クネルフランス語: quenelle)とは、フランス料理の一種。

リヨンのクネル

概要 編集

ラルース百科事典ではクネルを「肉団子」と説明している[1]。「クネル」は「すり潰す」「砕く」の意で、などをすりつぶして、ルーをつなぎにして団子状に固めた料理である[1][2]。日本のはんぺんツミレに似るが、バタークリームが入ることもあるため、かなりこってりした味となる[2]。茹でたクネルに合わせるソースも、エビザリガニを用いたナンチュア・ソースなどの濃厚なソースが多い[2]。茹でたクネルをスライスしてグリーンサラダに用いる[2]スープに入れる[3]といったように、さっぱりした料理もある。

伝統的な調理法としては、茹でたクネルを湯切りしてグラタン皿に入れ、すりおろしたチーズベシャメルソースをかけて、オーブンで焼き上げる[3]

リヨンでは、魚を用いたクネルにソースをかけてオーブンで焼いたグラタン料理が名物料理とされる[4]

また、クネルは、アイスクリームシャーベットマッシュポテトのクネルなど、同様の形状に作られた別の食品でもある[5]

語源 編集

 
クネル餃子がどのように作られたかを示す19世紀のイラスト

クネルという名前は1750年から証明されている。一般的に受け入れられている語源は、ドイツ語のクネーデルに由来するという説である[6][7][8]

別の語源は、アルザス語Knepfleフランス語版に由来する説である。これらの用語を、古英語の「叩く、挽く」を意味する動詞knyllと比較することもできる。

由来 編集

クネルはフランスリヨンが発祥だとされている[9]18世紀ブルジョアに雇われていたメール・リヨネーズ[10]と呼ばれた女性料理人たちが、退職後「ブション」と言われる郷土料理店を開き、そこでクネルの原型となる料理を生み出したとされる[9]

画像 編集

出典 編集

  1. ^ a b 石井好子「アブゼリ、クネル、お芋のお焼き」『東京の空の下オムレツのにおいは流れる』河出書房新社、2011年。ISBN 978-4309410999 
  2. ^ a b c d 稲葉由紀子「川カマスのクネル、ソース添え」『おいしいパリ暦』CCCメディアハウス、2011年、42-44頁。ISBN 978-4484112053 
  3. ^ a b レイチェル・クー 著、多田千香子 訳「鶏のクネル入りスープ」『パリの小さなキッチン』翔泳社、2014年、61頁。ISBN 978-4798138367 
  4. ^ リヨン名物クネル料理とは?おいしいレストランはどう探す?”. リヨンの観光と食の情報サイト[旅するリヨン] (2018年8月21日). 2021年1月6日閲覧。
  5. ^ How to Shape an Ice Cream Quenelle - How-To Video” (英語). FineCooking (2008年6月23日). 2021年1月6日閲覧。
  6. ^ Dictionnaire général pour la maîtrise de la langue française, la culture classique et contemporaine.. Paris: Larousse. (1993). ISBN 2-03-320300-X. OCLC 29916226. https://www.worldcat.org/oclc/29916226 
  7. ^ QUENELLE : Définition de QUENELLE”. www.cnrtl.fr. 2021年1月6日閲覧。
  8. ^ Wikiwix's cache”. archive.wikiwix.com. 2021年1月6日閲覧。
  9. ^ a b クネルとは?フランス版はんぺん?リヨンの伝統料理を解説”. ソルト. 2021年1月6日閲覧。[リンク切れ]
  10. ^ "リヨンの母たち"の意

外部リンク 編集