ディラック方程式からの導出
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ディラック方程式は以下の形式を取る。
四成分スピノル の形式を導出するために、まずは行列 及び の値を示す必要がある:
これら2種類の 4 × 4 行列は、ディラック基底のガンマ行列(Gamma matrices)と関係する。ここで、 と は 2 × 2 行列を示す。
次のステップは、この形式に対する解の計算である。
,
同時に、 を2つの2成分スピノルに分割する:
.
上記の関係全てをディラック方程式に代入すると、以下のようになる:
.
この行列方程式は、実は2つの対となる方程式である:
-
-
2つ目の方程式を について解くと、以下のように書ける:
1つめの方程式を について解くと、次式が求まる:
この解は、反粒子と粒子との関係を見るのに都合がよい。
2成分スピノル
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2成分スピノルのもっとも便利な定義は次の通りである。
及び
パウリ行列
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パウリ行列は以下のものである[2]。
粒子のエネルギー及び静止質量を初めに分けているので、上記を用いて運動量の項について次のように計算できる。
粒子の4成分スピノル
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粒子は「正」のエネルギーを持つ物として定義される。4成分スピノル は、 となるように正規化される。これらのスピノルは、 と表記される。
ここで または (「上」と「下」のスピン)
明らかに、次の様になる:
反粒子の4成分スピノル
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「正」のエネルギー を持つ反粒子は、「負」のエネルギーを持ち、時間を遡る向きに伝わる、粒子として定義される。
そこから、粒子の4成分スピノルにおいて、 と の符号を変えることによって、反粒子の4成分スピノルが得られる:
ここで、 による解を選ぶと、次の式は自明に導かれる:
及び
完備性の関係式
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4成分スピノル 及び に対する完備性の関係式は次の通りである:
ここで、
ディラック・スピノルとディラック代数
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ディラック表記のガンマ行列は4×4行列の組で、スピンや電荷、演算子として用いられる。
取り決め
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計量表示と群表現については、物理学の文献においても、慣用されるいくつかの取り方がある。ディラック表記のガンマ行列は、普通、 を0から3の値として、 と書かれる。この表記において、0は時間に、1から3は空間のx、y、zに相当する。
(+ - - -) の計量表示は時々西海岸計量と呼ばれる。一方 (- + + +) は東海岸計量と呼ばれる。今日では、(+ - - -) の計量表示が一般的であり、以下で例を示す際もこちらを用いる。計量表示を切り替える場合は、全ての に を乗じる。
計量表示を定めても、4×4行列による群表現を構築する方法は沢山あり、多くの方法が広く使われている。ここでの例を極力一般化した形で見せるために、最後の段階まで群表現を固定せずに、話を進める。最後に、著名な大学院向け教科書[3]で行われているように、「カイラル (chiral) 表現」もしくは「ワイル (Weyl) 表現」と呼ばれる群表現を代入する。
まず電子と陽電子についてのスピンの向きを選択する。上で議論したパウリ代数の例[4]と同様、スピンの向きを3次元単位ベクトル で定義する。ペスキンとシュレーダーの教科書での取り決めと同様に、方向 のスピンに対応するスピン演算子は、 と との内積として定義する:
注目すべきは、上のが1の累乗根で有ることで、すなわち、二乗すると1になる。続けて、この演算子から、ディラック代数の、 の方向に合わせたスピンを持つ部分代数を、映し出す射影作用素を、導くことができる:
この段階で、電荷を +1 (陽電子) に取るか -1 (電子) に取るか選択する必要がある。ペスキンとシュレーダーの教科書での取り決めに従うと、電荷の演算子は となる。即ち、電子の状態は、この演算子についての固有値 -1 を取り、一方陽電子の状態は固有値 +1 を取ることになる。
注目すべきは、 もまた1の累乗根となることである。その上、 は と交換関係がある。
これらはディラック代数に対する交換するオブザーバブルの完全集合を形成する。この例で続けて、 の方向のスピンを持つ電子の表現を求める。
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参考文献
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