ドリュー・ポメランツ

アメリカの野球選手 (1988 - )

トーマス・アンドリュー・ポメランツ (Thomas Andrew Pomeranz, 1988年11月22日 - ) は、アメリカ合衆国テネシー州シェルビー郡コリアービル出身のプロ野球選手 (投手) [8]。左投右打[8]フリーエージェント(FA)。愛称はビッグ・スムース[9]

ドリュー・ポメランツ[7]
Drew Pomeranz
ボストン・レッドソックス時代
(2017年9月18日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国[8]
出身地 テネシー州シェルビー郡コリアービル[8]
生年月日 (1988-11-22) 1988年11月22日(35歳)[8]
身長
体重
6' 6" =約198.1 cm
240 lb =約108.9 kg
選手情報
投球・打席 左投右打
ポジション 投手[8]
プロ入り 2010年 MLBドラフト1巡目[8]
初出場 2011年9月11日[8]
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

兄は元プロ野球選手のステュー・ポメランツ英語版で、曽祖父も元プロ野球選手でアメリカンフットボールの選手でもあったガーランド・バックアイ英語版[8]。また、父親のマイク・ポメランツは大学野球の選手だった[1]

経歴 編集

プロ入り前 編集

2007年MLBドラフト12巡目(全体380位)でテキサス・レンジャーズから指名されたが、この時は入団しなかった[8]

プロ入りとインディアンス傘下時代 編集

2010年MLBドラフト1巡目(全体5位)でクリーブランド・インディアンスから指名され[8]、8月16日に265万ドルの契約金で入団に合意[10]

2011年には、「ベースボール・アメリカ」誌の有望株ランキングにおいて、全体で61位の評価を受けた[11]。この年は、まずA+級キンストン・インディアンスでプレーし、15試合の先発登板で防御率1.87・3勝2敗・WHIP1.14という成績を記録[12]。その後、AA級アクロン・エアロズに昇格し、3試合に先発登板して防御率2.57・0勝1敗・WHIP1.14を記録した[12]

ロッキーズ時代 編集

2011年7月30日にウバルド・ヒメネスとのトレードで、ジョー・ガードナーマット・マクブライドアレックス・ホワイトと共にコロラド・ロッキーズへ移籍した (実際にポメランツが移籍したのは8月16日) [8][13]。移籍後、AA級タルサ・ドリラーズで2試合に先発登板して1勝を挙げ[12]、9月11日のシンシナティ・レッズ戦でメジャーデビューすると、同試合でメジャー初勝利を挙げた[14]。この年のメジャーとマイナーの成績は、メジャーが4試合の先発登板で防御率5.40・2勝1敗・WHIP1.31[8]、マイナー合算が20試合の先発登板で防御率1.78・4勝3敗・WHIP1.05だった[12]

2012年は、ロッキーズで22回の先発登板の機会を与えられ、防御率4.93・2勝9敗・WHIP1.48という成績を残した[8]。また、バッティング面ではペトコ・パーク本塁打を放った[6]。なお、マイナーではAAA級コロラドスプリングス・スカイソックスとAA級タルサで計10試合に先発登板し、防御率2.31・4勝4敗・WHIP1.52という成績をマークした[12]

2013年は8試合中4試合がリリーフ登板であり、メジャーで初のリリーフ登板だった[8]。この年は、防御率6.23・0勝4敗・WHIP2.03という成績だった[8]。マイナーでは、前年と同じくAAA級コロラドスプリングスとAA級タルサの2チームでプレーし、計16試合に先発登板して防御率4.65・8勝2敗・WHIP1.40という成績を残した[12]。8勝は、マイナーで自己ベストである一方、防御率はワーストだった[12]

アスレチックス時代 編集

 
オークランド・アスレチックス時代
(2015年8月17日)

2013年12月10日にブレット・アンダーソンとのトレードで、クリス・ジェンセンと共にオークランド・アスレチックスへ移籍した[15]

2014年は、開幕からリリーフで登板していたが、5月7日からは先発で投げるようになった[16]。6月10日で16試合の登板で防御率1.90・5勝3敗という成績を残していたが、6月16日のレンジャーズ戦で3.2回で8失点を喫した腹立たしさから椅子を殴って右手を骨折し、故障者リスト入りした[16][17]。この年は20試合の登板(先発10試合)で、防御率2.35・5勝4敗・WHIP1.12という成績をマークした[8]

2015年は、開幕から先発ローテーションに入っていたが、6月からはリリーフに転向した[1]。リリーフ転向後は、防御率2.61と好投した[1]。シーズンでは自己最多となる53試合に登板・うち9試合が先発登板で、防御率3.66・5勝6敗3セーブ (セーブはメジャー初) ・WHIP1.19という成績を記録した[8]

パドレス時代 編集

2015年12月2日にヨンダー・アロンソマーク・ゼプチンスキーとのトレードで、ホゼ・トーレスジャバリ・ブラッシュ(12月10日に移籍)と共にサンディエゴ・パドレスへ移籍した[8][18]

2016年は、前半戦終了時点で17試合に先発登板し、防御率2.47・8勝7敗という成績を記録[19]。この時点の防御率2.47はメジャー3位、被打率.184はナショナルリーグトップの数値だった[20]。同年、ペトコ・パークで開催されたオールスターに初選出された[20]

レッドソックス時代 編集

2016年7月14日にアンダーソン・エスピノーザとのトレードで、ボストン・レッドソックスへ移籍した[21][8]。レッドソックス加入後は、14試合に登板(先発13試合)し、防御率4.59・3勝5敗・WHIP1.37という成績で、パドレス時代より防御率やWHIPは悪化した[8]。通年では、31試合中30試合に先発登板して、防御率3.32・自身初の二桁勝利となる11勝(12敗)を記録した[8]。また、リーグを跨いだが、規定投球回以上に投げた初のシーズンとなった[8]

2017年は、32試合に先発登板して防御率3.32・17勝6敗・WHIP1.35を記録[8]。防御率はアメリカンリーグ7位、勝利数は同4位タイだった[22]。自身2度目となるポストシーズンでは、ヒューストン・アストロズとのALDS第2戦に先発登板したが、カルロス・コレアジョージ・スプリンガーにホームランを浴びて、2.0イニングで4失点とノックアウトされた[23][24]

2018年は屈筋の張りで故障者リストに入っていたため、4月20日まで登板がなかった[25]。5月の終わりまでの成績は1勝・3敗・防御率6.81だった。6月5日に左二頭筋腱障害のため、故障者リストに入った。7月24日にリリーフとして復帰した[26]。そのためシーズンの残りをブルペンで過ごし、26登板(11先発)で2勝・6敗・防御率6.08を残した。ポストシーズンのロースターには当初入る予定がなかったが、ブランドン・ワークマンの代わりにワールドシリーズの際に登録された[27]。しかしながら、ワールドシリーズでの登板はなかった。その後、レッドソックスは5試合目でワールドシリーズ優勝を決め、自身のキャリア初めてのワールドシリーズ優勝となった[28]。10月29日にFAとなった。

ジャイアンツ時代 編集

2019年1月23日にサンフランシスコ・ジャイアンツと1年150万ドル(出来高付き)で契約を結んだ[29]先発投手として起用されていたが6月中旬までの17先発で2勝9敗、防御率6.10と苦しみ、6月20日にはリリーフに配置転換された[30]

ブルワーズ時代 編集

2019年7月31日にマウリシオ・デュボーンとのトレードでレイ・ブラックと共にミルウォーキー・ブルワーズへ移籍した。移籍後もリリーフとして起用され、25登板で防御率2.39を記録。シーズン全体では2勝10敗、防御率4.85で、先発時は防御率5.97だったのに対し、リリーフ時は防御率1.88に抑えた。オフの10月31日にFAとなった。

パドレス復帰 編集

2019年11月27日にパドレスと4年総額3400万ドルの契約を結んだ[31]

2023年オフの11月3日にFAとなった[32]

パドレス退団後 編集

2024年ロサンゼルス・エンゼルスとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待選手として参加していた[33]が、アピール出来ず3月24日に自由契約となった[34]

投球スタイル 編集

持ち球は、140km/h台後半の速球 (フォーシームツーシーム) 、ナックルカーブチェンジアップカットボール[4][1]。決め球はナックルカーブで、投げ方は元大学野球選手の父親・マイクに教わった[1][2]

2016年にパドレスでブレイクした時は、コーチの教えに従い、右打者にはフォーシーム、左打者にはカットボールを高めに投じる投球スタイルを取った[4]

グラブは日本のメーカーが宮崎牛の革で作ったものを使用している[35][36]

詳細情報 編集

年度別投手成績 編集





















































W
H
I
P
2011 COL 4 4 0 0 0 2 1 0 0 .667 77 18.1 19 0 5 0 1 13 1 0 11 11 5.40 1.31
2012 22 22 0 0 0 2 9 0 0 .182 434 96.2 97 14 46 2 4 83 8 1 57 53 4.93 1.48
2013 8 4 0 0 0 0 4 0 0 .000 105 21.2 25 4 19 1 1 19 0 0 15 15 6.23 2.03
2014 OAK 20 10 0 0 0 5 4 0 0 .556 278 69.0 51 7 26 0 1 64 0 0 22 18 2.35 1.12
2015 53 9 0 0 0 5 6 3 12 .455 357 86.0 71 8 31 1 3 82 2 0 44 35 3.66 1.19
2016 SD 17 17 0 0 0 8 7 0 0 .533 411 102.0 67 8 41 2 1 115 7 0 30 28 2.47 1.06
BOS 14 13 0 0 0 3 5 0 0 .375 292 68.2 70 14 24 1 0 71 3 0 35 35 4.59 1.37
'16計 31 30 0 0 0 11 12 0 0 .478 703 170.2 137 22 65 3 1 186 10 0 65 63 3.32 1.18
2017 32 32 0 0 0 17 6 0 0 .739 740 173.2 166 19 69 0 4 174 6 0 69 64 3.32 1.35
2018 26 11 0 0 0 2 6 0 2 .250 344 74.0 87 12 44 1 4 66 4 1 53 50 6.08 1.77
2019 SF 21 17 0 0 0 2 9 0 0 .182 355 77.2 89 17 36 0 4 92 1 1 51 49 5.68 1.61
MIL 25 1 0 0 0 0 1 2 12 .000 292 26.1 16 4 8 0 0 45 0 0 7 7 2.39 0.91
'19計 46 18 0 0 0 2 10 2 12 .167 455 104.0 105 21 44 0 4 137 1 1 58 56 4.85 1.43
2020 SD 20 0 0 0 0 1 0 4 9 1.000 73 18.2 9 1 10 0 0 29 0 0 3 3 1.45 1.02
2021 27 0 0 0 0 1 0 0 13 1.000 102 25.2 19 2 10 1 0 30 1 0 6 5 1.75 1.13
MLB:11年 289 140 0 0 0 48 58 9 48 .453 3668 858.1 786 110 369 9 23 883 33 3 403 373 3.91 1.35
  • 2023年度シーズン終了時[8]

年度別守備成績 編集



投手(P)












2011 COL 4 0 1 0 0 1.000
2012 22 6 14 1 0 .952
2013 8 0 2 0 0 1.000
2014 OAK 20 1 8 0 0 1.000
2015 53 2 13 1 2 .935
2016 SD 17 2 10 1 0 .923
BOS 14 0 7 1 0 .875
'16計 31 2 17 2 0 .905
2017 32 2 15 3 4 .850
2018 26 2 3 0 0 1.000
2019 SF 21 2 7 1 0 .900
MIL 25 0 1 0 0 1.000
'19計 46 2 8 1 0 .909
2020 SD 20 0 1 0 0 1.000
2021 27 0 3 0 0 1.000
MLB 289 17 85 8 6 .927
  • 2023年度シーズン終了時

記録 編集

背番号[8] 編集

  • 47(2011年)
  • 13(2012年 - 2016年途中)
  • 31(2016年途中 - 2018年)
  • 37(2019年 - 同年7月30日)
  • 15(2019年8月2日 - 同年終了)

脚注 編集

  1. ^ a b c d e f 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2016』廣済堂出版、2016年、455頁頁。ISBN 978-4-331-52002-4 
  2. ^ a b 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2015』廣済堂出版、2015年、200頁頁。ISBN 978-4-331-51921-9 
  3. ^ 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2012』廣済堂出版、2012年、456頁頁。ISBN 978-4-331-51612-6 
  4. ^ a b c 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2017』廣済堂出版、2017年、34頁頁。ISBN 978-4-331-52084-0 
  5. ^ 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2014』廣済堂出版、2014年、185頁頁。ISBN 978-4-331-51809-0 
  6. ^ a b 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2013』廣済堂出版、2013年、468頁頁。ISBN 978-4-331-51711-6 
  7. ^ ドリュー ポメランツ #31 のニュース、統計、写真”. MSN スポーツ. 2017年10月15日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab Drew Pomeranz Stats - Baseball-Reference.com (英語) . 2017年10月15日閲覧。
  9. ^ Ian Browne. “Red Sox Players Weekend nicknames explained” (英語). MLB.com. 2017年9月6日閲覧。
  10. ^ Paul Hoynes (2010年8月29日). “Q&A with Indians' top draft pick Drew Pomeranz: 'I know I'm in a good situation'” (英語). cleveland.com. 2015年12月3日閲覧。
  11. ^ 2011 Top 100 Prospects” (英語). Baseball America (2011年2月23日). 2015年12月2日閲覧。
  12. ^ a b c d e f g Drew Pomeranz Minor Stats - Baseball-Reference.com (英語) . 2017年10月15日閲覧。
  13. ^ Paul Hoynes. “Cleveland Indians trade No.1 picks White and Pomeranz to Rockies for Ubaldo Jimenez” (英語=2011-7-31). cleveland.com. 2015年12月3日閲覧。
  14. ^ Drew Pomeranz 2011 Pitching Gamelogs - Baseball-Reference.com (英語) . 2017年10月15日閲覧。
  15. ^ A's acquire Colorado's Drew Pomeranz for Brett Anderson” (英語). MLB.com Athletics Press Release (2013年12月10日). 2015年12月3日閲覧。
  16. ^ a b Pomeranz 2014 Pitching Gamelogs - Baseball-Reference.com (英語) . 2017年10月15日閲覧。
  17. ^ ア軍左腕 椅子殴って骨折「ばかなことをしてしまった」”. スポニチ Sponichi Annex (2014年6月19日). 2015年12月3日閲覧。
  18. ^ Corey Brock (2015年12月2日). “Padres acquire Pomeranz, prospect from A's” (英語). MLB.com. 2015年12月3日閲覧。
  19. ^ Drew Pomeranz 2016 Pitching Gamelogs - Baseball-Reference.com (英語) . 2017年10月15日閲覧。
  20. ^ a b AJ Cassavell (2016年7月13日). “Pomeranz appreciates path to hometown All-Star” (英語). MLB.com. 2017年10月15日閲覧。
  21. ^ Ian Browne (2016年7月14日). “Drew or false: Deal a big boost in Boston” (英語). MLB.com. 2016年10月4日閲覧。
  22. ^ 2017 American League Pitching Leaders - Baseball-Reference.com (英語) . 2017年10月15日閲覧。
  23. ^ 【MLB】アストロズ、リーグ優勝決定戦進出に王手 コレアが先制弾含む4打点”. goo ニュース (2017年10月7日). 2017年10月15日閲覧。
  24. ^ 2017 ALDS Game 2, BOS vs. HOU, October 6, 2017 - Boston Red Sox Pitching - Baseball-Reference.com (英語) . 2017年10月15日閲覧。
  25. ^ Smith, Christoper (2018年4月17日). “Drew Pomeranz injury: Boston Red Sox to activate lefty from DL for Friday's game against Athletics”. http://www.masslive.com/redsox/index.ssf/2018/04/drew_pomeranz_injury_boston_re_3.html 2018年11月27日閲覧。 
  26. ^ Red Sox Roster & Staff – Transactions”. MLB.com (2018年7月). 2018年11月29日閲覧。
  27. ^ Cole, Mike (2018年10月23日). “Red Sox World Series Roster: Drew Pomeranz Added As Sox Take On Dodgers”. https://nesn.com/2018/10/red-sox-world-series-roster-drew-pomeranz-added-as-sox-take-on-dodgers/ 2018年11月29日閲覧。 
  28. ^ Boston Red Sox win 2018 World Series.”. MLB. 2018年11月29日閲覧。
  29. ^ Haft, Chris (2019年1月23日). “Giants sign left-hander Pomeranz to 1-year deal”. https://www.mlb.com/news/drew-pomeranz-signs-with-giants/c-303046908 2019年3月5日閲覧。 
  30. ^ Giants tweak starting staff, move Drew Pomeranz to bullpen”. The Mercury News. 2019年7月20日閲覧。
  31. ^ AJ Cassavell (2019年11月27日). “Pomeranz, Padres finalize 4-year contract” (英語). MLB.com. 2019年11月28日閲覧。
  32. ^ 130 Players Become XX(B) Free Agents” (英語). Home (2023年11月3日). 2023年11月10日閲覧。
  33. ^ Darragh McDonald (2024年2月14日). “Angels Sign Drew Pomeranz To Minor League Deal” (英語). MLB Trade Rumors. 2024年3月25日閲覧。
  34. ^ Mark Polishuk (2024年3月24日). “Angels Release Drew Pomeranz” (英語). MLB Trade Rumors. 2024年3月25日閲覧。
  35. ^ 和牛JBグラブがメジャーリーグデビュー”. ボールパークドットコム. 2023年4月23日閲覧。
  36. ^ 日本放送協会. “思いのままに進めばいい。~大リーグに挑む小さな会社の話~ | NHK | WEB特集”. NHKニュース. 2023年4月23日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集