パリメトロ5号線(パリメトロ5ごうせん、Ligne 5 du métro de Paris)はパリ交通公団(RATP)の運営するフランスパリメトロ地下鉄)路線の一つ。パリ南東部のプラス・ディタリー駅からパリ市の東よりを南北に縦断し、北東部郊外のボビニー=パブロ・ピカソ駅に至る。

5号線
オステルリッツ高架橋
オステルリッツ高架橋
基本情報
路線網 パリメトロ
起点 プラス・ディタリー駅
終点 ボビニー=パブロ・ピカソ駅
駅数 22
開業 1906年
運営者 パリ交通公団
路線諸元
路線距離 14.6 km
軌間 1,435 mm
線路数 複線 (右側通行)
電化方式 直流750V 第三軌条方式
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概要 編集

5号線の南端のプラス・ディタリー駅は13区のイタリー広場の地下にある。ここから北北東に進み、オステルリッツ駅を経由してオステルリッツ高架橋セーヌ川を渡り、サン・マルタン運河の西に沿うように北上してバスティーユ広場を通り、やや西寄りに向きを変えてレピュブリック広場東駅北駅などを経由する。北駅からは北東方向に向かい、ポルト・ド・パンタンで市境を越えて北東部郊外のボビニー市に至る。

5号線は1906年に開業した、パリで5番目のメトロ路線である。1907年から1942年までは現6号線のエトワール(現シャルル・ド・ゴール=エトワール駅)〜プラス・ディタリー間も5号線の一部であり、パリを南部から東部にかけてほぼ3分の2周していた。

サン・マルセル駅北方からセーヌ川を渡ってケ・ド・ラ・ラペ駅南東までの区間は高架線となっており、ケ・ド・ラ・ラペ駅の前後は掘り割り状の地上線である。またボビニー-パンタン-レイモン・キュノー駅とボビニー-パブロ・ピカソ駅の間も地上線である。

 
5号線路線図

歴史 編集

1898年のメトロ整備計画では、5号線(E線)はオステルリッツ橋(現ケ・ド・ラ・ラペ駅付近)からストラスブール大通り(現東駅付近)までとされており、プラス・ディタリー〜オステルリッツ橋間は環状路線の2号線(B線)の一部とされていた。なお2号線はプラス・ディタリー以西では現6号線のルートを通り、オステルリッツ橋以東ではリヨン駅1号線と合流してナシオン駅に向かうことになっていた。

後に2号線の環状運転計画は取りやめられ、また北端は北駅まで延長されてプラス・ディタリー〜北駅が5号線として建設されることになった。ただしケ・ド・ラ・ラペ駅〜リヨン駅間には単線の連絡線が建設され、初期にはリヨン駅が仮の終点となっていたこともある。

1906年から1907年にかけてプラス・ディタリー〜北駅間が開業し、また1907年10月には2号南線のエトワール〜プラス・ディタリー間が5号線に編入された。

1942年にはエトワール〜プラス・ディタリー間が6号線に移管され、また北駅から北東方向に郊外のエグリーズ・ド・パンタン駅まで延長された。延長にあたって北駅は東よりに移設され、ループ線状の終点となっていた旧駅は放棄された。この部分は現在乗務員の訓練施設として使われている。

1985年にはさらに北東へ延伸された。

なおプラス・ディタリーから南西方向への延伸も計画されたことがあるが、実現しなかった。

年表 編集

  • 1906年6月2日 - プラス・ディタリー〜ガール・ドルレアン(Gare d'Orléan、オルレアン駅、現オステルリッツ駅)間開業。
  • 1906年7月13日 - ガール・ドルレアン〜プラス・マザ(Place Mazas、現ケ・ド・ラ・ラペ駅)間延伸開業、オステルリッツ高架橋供用開始。
  • 1906年7月23日 - プラス・マザ〜リヨン駅間延伸開業。この区間は単線で、プラス・マザ駅で進行方向が反転していた。
  • 1906年12月17日 - プラス・マザ〜ランクリー(Lancry、現ジャック・ボンセルジャン駅)間延伸開業。プラス・マザ〜リヨン駅間の旅客営業廃止。
  • 1907年10月14日 - 2号南線のエトワール(現シャルル・ド・ゴール-エトワール駅)〜プラス・ディタリー間を5号線に編入。
  • 1907年11月15日 - ランクリー〜北駅間延伸開業。
  • 1942年10月6日 - エトワール〜プラス・ディタリー間を6号線に移管。
  • 1942年10月12日 - 北駅〜エグリーズ・ド・パンタン間延伸開業。北駅を東よりに移設。
  • 1985年4月25日 - エグリーズ・ド・パンタン〜ボビニー-パブロ・ピカソ間延伸開業

車両 編集

 
ボビニー車両基地。右は本線

1978年から1980年にかけて投入されたMF 67が使われている。

全長は約90m。各車両ごとに片側4つのドアがある。非常時を除き車両間の往来はできない。

車両基地はボビニー-パンタン-レイモン・キュノー駅とボビニー-パブロ・ピカソ駅の間の本線沿いのボビニー(Bobigny)にある。大規模な検査や改修作業は7号線のショワシー(Choisy)車両基地で行われる。

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ボビニー-パブロ・ピカソ駅付近
 
ケ・ド・ラ・ラペ駅
 
国鉄駅側から見たガール・ドーステリッツ駅。下はRER C線
 
プラス・ディタリー駅ホーム
  • プラス・ディタリー駅 (Place d'Italie)
    • 接続路線 : メトロ67号線
    • イタリー広場の南よりの地下に島式ホーム1面2線がある。6号線とは同一平面上にあり、連絡線でつながっている。広場の地下を一周する円形の線路があり、留置線として使われている。

廃駅 編集

ケ・ド・ラ・ラペ駅とバスティーユ駅の間にはアルスナル(Arsenal)駅があったが、1939年9月2日に廃止されている。

開業時の北駅は現在よりも西寄りにあり、ループ線状の終着駅だった。またループの途中から2号線4号線への連絡線があった。5号線の北への延伸にあたって北駅の構造が障害となったことから、東駅のすぐ西からトンネルが掘り直され、新たな駅が建設されて旧駅は廃止された。この跡は現在ガール・デュ・ノールUSFRT(Gare du Nord USFRT)と呼ばれ、1981年RER B線建設のために一部が取り壊されたものの、残った部分は乗務員の訓練施設として使われている。

新駅 編集

現在貨物線として使用されている環状鉄道グランド・サンチュールの北部を旅客化する構想Tangentielle Nordがあり、これに合わせてボビニー-パンタン-レイモン・キュノー〜ボビニー-パブロ・ピカソ間に新駅を建設して乗換駅とする構想がある。

参考文献 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集

  • RATP (フランス語他)