フォーメーションZ』(フォーメーションゼット、FORMATION Z)は、ジャレコ[注 1]により1984年に稼動したアーケードゲーム。日本国外版タイトルは『Aeroboto』(エアロボット)。

フォーメーションZ
ジャンル 横スクロールシューティング
対応機種 アーケード (AC)
開発元 ヘクト
ジャレコ
発売元 ジャレコ
音楽 渥美徳弘
人数 1人
メディア 業務用基板
(80.75キロバイト
稼働時期 日本 1984091984年9月
対象年齢 CEROA(全年齢対象)
デバイス 8方向レバー
2ボタン
CPU MC6809 (@ 1.25 MHz)
サウンド MC6809 (@ 640 kHz)
AY-3-8910A (@ 1.500 MHz)×2
ディスプレイ ラスタースキャン
横モニター
248×224ピクセル
60.00Hz
パレット256色
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概要 編集

テレビアニメ『超時空要塞マクロス』(1982年 - 1983年)などのヒット作品の影響で、当時のアニメ業界や玩具市場には変形ロボットブームが巻き起こっていた。本作はその流行がゲーム業界に波及した作品のひとつである。

2022年に本作のIPを所有するシティコネクションから完全新作となる『Project FZ(仮称)』が発表された。グランゼーラの共同開発。発表時点での対応プラットフォームはPlayStation 4で、以降プラットフォームを順次追加予定としている[1]

開発 編集

1985年ファミリーコンピュータ用として移植された。

その他、PC-8801などのパソコン版にiアプリ版などがリリースされ、また、PlayStation用『ジャレココレクションVol.1』(2003年)にファミリーコンピュータ版の移植が収録された他、ゲームボーイアドバンス用『じゃじゃ丸Jr.伝承記〜ジャレコレもあり候〜』(2004年)にも収録されている。なお、パソコン版への移植は当時のコーエーが担当したが、アセンブルリスト以外の仕様書等がほとんど残されていなかったため、同社創業者の襟川陽一が自らゲームをプレイし「目コピ」で開発を行ったという[2]

ゲーム内容 編集

内容は横スクロールシューティングゲームである。自機イクスペル」は可変戦闘機であり、ロボット形態と飛行形態に変形することが可能。4方向レバーと2ボタン(ジャンプ変身とパルスレーザー/ビックバン発射)を操作して、可変メカ「イクスペル」を操縦する[3]。飛行形態では高速飛行できるがエネルギー消耗も激しく、エネルギーが0になると地上に落下する。エネルギー補給は地上に設置されたエネルギー・コアと接触することで行う[3]

攻撃には、速射できる「パルスレーザー」と、一定時間攻撃ボタンを押し続けること(溜め撃ち)で発射できる高威力の「ビッグバン」が用意されている[3]。戦車やボスキャラなどビッグバンでしか破壊できない敵も存在し、これら2種の使い分けが重要となる。なお、この溜め撃ち攻撃のビッグバンは、シューティングゲームにおいて溜め撃ち攻撃を確立したアイレムの『R-TYPE』(1987年)よりも3年早く採用されており、本作はその元祖ともいえる。

地上ステージでエネルギーを貯めて、海のステージでエネルギーを消費する流れが基本。海を越えるためにはエネルギーを貯めておく必要があり、途中でエネルギーが切れてしまうと墜落する[3]。自機「イクスペル」の持ち数はゲーム・スタート時に3機で、得点が10,000点と30,000点でそれぞれ1機ずつ追加される[3]

設定 編集

ストーリー 編集

西暦2701年、地球連邦は惑星ザナックを本拠地とする連邦軍第9特殊機構師団の反乱により総攻撃を受けた。半壊状態に追い込まれた地球連邦は、ザナック軍の特殊武器に対向すべく、試作段階にあった開発中の可変戦闘メカ「イクスペル」の開発を急ぐことになる。しかし、日増しにザナック軍の攻撃は激しくなり、これに耐えかねた地球連邦は未完成状態の「イクスペル」の出撃を決意した・・・。[3]

ステージ構成 編集

平原戦、海上空中戦、砂漠戦を進んでいき、再び海上に出て、上空からザナック軍の前線機動要塞「S・T・Y」が出現して戦闘となる。中ボスの「S・T・Y」を撃破すると、イクスペルは大気圏を脱出して舞台は宇宙へ移り、浮遊大陸での戦闘となる。浮遊大陸戦を越えると宇宙空間での戦いへと突入し、ラストボスである機動大型要塞「ジズイリアム」が護衛艦「ニジ・エイダス」と「ニジ・アドウ」を伴って出現し、この戦闘に勝利すると1周(パターン)クリアとなる。[3]

キャラクター 編集

イクスペル (IXPEL)
プレイヤーが操作する自機。戦闘局面に応じて、その形態をロボットと戦闘機とに自由に変形できるメカ。武装は105 mmビームキャノンで、パルスレーザーとビックバンとよばれる2種類の攻撃方法が可能。[3]
ギルダ (GILDA)
ザナック軍の無人戦闘機。攻撃パターンが数種あり、突然スピードを上げて突っ込んでくる。[3]
アエロン (AERON)
地表を漂うザナック軍の浮遊機雷。地上形態のままパルスレーザー連射で破壊できる。[3]
ピグ (PIG)
飛行能力を持つザナック軍の多目的地雷。イクスペルが空中形態のときに上空を通過すると飛び上がってくる。[3]
アールズィー (RZ)
ザナック軍のピグの改良型多目的地雷。水中から発射される。[3]
ヘヴラム (HEVRAM)
ザナック軍の重戦闘機。かなりしつこく出現し、弾をたくさん撃ってくる。[3]
ストラトス・ブライア (Storatos Brier)
反物質生物「ラ・ブライア」にサイコ・コントロール・ユニットを装着した生物兵器という設定であるが、連なって出現するだけで、ほとんと実害はない。[3]
ミラージュ (MIRAGE)
ザナック軍の亜空間移送型攻撃ユニット。突然空中に出現して発射してはまた消える。[3]
ヘラ (HELA)
ザナック軍の大型戦車。ビックバンでないと破壊できないうえ、地上形態のときは下向きに撃たないと当たらない。[3]
サトウ・テム・ユル・ボワク (S・T・Y)
砂漠ステージ後の海上に出現するザナック軍の前線機動要塞。たくさんの弾をばらまく。装甲が強力で本体はビックバンでも通用しないが、上部回転砲塔が弱点。[3]
ニジ・アドウ (NIZIADU), ニジ・エイダス
ジズィリアムの護衛艦。上下に動きながら激しい攻撃を仕掛けてくる。ビックバンで破壊可能。[3]
ジズィリアム (GIZILIUM)
ザナック軍攻撃師団の旗艦となる大形機動要塞。鈍重でビックバンでも効果がないほどの重装甲であるが、中央のコアだけが弱点。[3]

移植版 編集

No. タイトル 発売日 対応機種 開発元 発売元 メディア 型式 売上本数 備考
1 フォーメーションZ   1985年
  1985年
MSX/2 ヘクト 日本デクスタ ロムカセット   ND-02MR
-
2 フォーメーションZ   1985年
FM-7/77 3.5インチ2Dフロッピーディスク
カセットテープ[3]
- -
3 フォーメーションZ   198504041985年4月4日
ファミリーコンピュータ ヘクト
ジャレコ
ジャレコ 192キロビットロムカセット[4] JF-02 -
4 フォーメーションZ   1986021986年2月
X1 ヘクト 日本デクスタ 5.25インチ2Dフロッピーディスク
カセットテープ[3]
- -
5 フォーメーションZ   1986041986年4月
PC-8801 - -
6 フォーメーションZ DX   2003年2月[5]
iアプリ PCCW Japan ダウンロード - -
7 ULTRAシリーズ
フォーメーションZ
  2003年
Windows ジャレコ メディアカイト CD-ROM - - アーケード版の移植
8 ジャレココレクション Vol.1   200310232003年10月23日
PlayStation PCCW Japan SLPS-03562 - ファミリーコンピュータ版の移植、他6作品と同時収録
9 じゃじゃ丸Jr.伝承記〜ジャレコレもあり候〜   200405262004年5月26日
ゲームボーイアドバンス ロムカセット AGB-BNJJ-JPN - ファミリーコンピュータ版の移植、他4作品と同時収録
10 遊遊 フォーメーションZ   200406112004年6月11日
Windows ジャレコ メディアカイト CD-ROM - - アーケード版の移植
11 フォーメーションZ   2009年2月3日[6]
Wii シティコネクション ダウンロード
バーチャルコンソール
- - ファミリーコンピュータ版の移植
12 フォーメーションZ   2010年7月20日[7]
Windows ジャレコ ダウンロード
プロジェクトEGG
- -
13 フォーメーションZ   2017年3月29日[8][9]
Wii U シティコネクション ダウンロード
(バーチャルコンソール)
- -
14 フォーメーションZ   2020年3月19日[10][11][12]
PlayStation 4
Nintendo Switch
ハムスター ダウンロード
アーケードアーカイブス
- - アーケード版の移植

評価 編集

ホビーパソコン関連雑誌『マイコンBASICマガジン』の1987年2月号とじ込み付録小冊子「dexter SOFT CATALOGUE 全ソフト紹介 —日本デクスタ編—」のコメント欄において、「飛行機形態から白兵戦ロボットへ、そしてまた空へと自在にその姿を変化させる最新鋭戦闘メカ・イクスペル。ゲーム・センターにはじめてこれが出たときは、みんな驚きましたね」「ロボット・アニメではおなじみの変形だけど、それを操縦するってのはなかなかなかったし、かなりむずかしいゲームだったから、1パターン・クリアできなかった人はかなりいるんじゃないかな」とアーケード版を回顧しつつ、パソコン版(MSX)については「S・T・Yの猛攻や大型鑑ジズィリアムとの激戦など、スリリングに展開するシーンは刺激十分。流れる背景に気を取られていると、あっというまに撃墜される手強さだ」と紹介している[3]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 2014年に倒産。ゲームの版権譲渡により、現在はシティコネクション知的財産権を所有。

出典 編集

  1. ^ 「フォーメーション Z」の新作となる「Project: FZ」(仮称)の制作を発表。1984年の傑作シューティングゲームがパワーアップして帰ってくる”. 4gamer.net (2022年10月22日). 2022年10月24日閲覧。
  2. ^ 信長から乙女ゲームまで… シブサワ・コウとその妻が語るコーエー立志伝 「世界初ばかりだとユーザーに怒られた(笑)」 - 電ファミニコゲーマー・2016年3月22日
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 「dexter SOFT CATALOGUE 全ソフト紹介 —日本デクスタ編—」『マイコンBASICマガジン』1987年2月号(第6巻第2号)、電波新聞社、1987年2月1日、綴じ込み付録小冊子 4 - 6頁。
  4. ^ 「5月10日号特別付録 ファミコンロムカセット オールカタログ」『ファミリーコンピュータMagazine』第7巻第9号、徳間書店、1991年5月10日、231頁。 
  5. ^ 田名網陽平 (2003年1月8日). “PCCW Japan、iモード「ジャレコiギャレッソ」に「シティコネクション」、「忍者じゃじゃ丸くん」などをグレードアップして追加”. GAME Watch. インプレス. 2018年12月24日閲覧。
  6. ^ VC フォーメーションZ”. 任天堂ホームページ. 任天堂. 2018年12月24日閲覧。
  7. ^ フォーメーションZ|プロジェクトEGG”. プロジェクトEGG. D4エンタープライズ. 2018年12月24日閲覧。
  8. ^ フォーメーションZ|Wii U”. 任天堂ホームページ. 任天堂. 2018年12月24日閲覧。
  9. ^ 『美少女雀士スーチーパイ』、『シティコネクション』などジャレコ4タイトルがWii U向けバーチャルコンソールで配信開始” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA (2017年3月29日). 2021年1月22日閲覧。
  10. ^ シューティングゲーム『アーケードアーカイブス フォーメーションZ』が3月19日に配信開始。戦闘メカを操作して敵軍の機動要塞を撃破しよう” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA (2020年3月18日). 2021年1月22日閲覧。
  11. ^ 杉浦 諒 (2020年3月18日). “形態可変戦闘メカを操るシューティングゲーム「アーケードアーカイブス フォーメーションZ」が,PS4とSwitchで3月19日に配信” (日本語). 4Gamer.net. Aetas. 2021年1月22日閲覧。
  12. ^ 岩瀬賢斗 (2020年3月18日). “形態を切り替えて敵機を撃墜! 「アーケードアーカイブス フォーメーションZ」の配信日が決定” (日本語). GAME Watch. インプレス. 2021年1月22日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集