フューチャーセンター

フューチャーセンターとは、企業、政府、自治体などの組織が中長期的な課題の解決を目指し、様々な関係者を幅広く集め、対話を通じて新たなアイデアや問題の解決手段を見つけ出し、相互協力の下で実践するために設けられる施設である。施設は研修スペースや学習スペース、ミーティングスペースなどで構成される。

概要 

フューチャーセンターは欧州で発祥し、設立が広がっている施設である。1996年にスウェーデンの保険会社、スカンディア社がストックホルム郊外のバクスホルムに開設したのをはじめ、ヨーロッパの重電機メーカーABB、オランダ政府、デンマーク政府などが開設し、約20カ所存在する。[1]

日本では2007年に富士ゼロックス、2009年に東京海上日動システムズがフューチャーセンターを開設している。[1][2]

フューチャーセンターでは所属組織や立場の異なる多様な人たち、例えば異なる省庁のスタッフや企業人、市民などが集まり、普段従事している組織内では決して構築されることのない関係性を形成し、横断的な対話を行って意思決定や理解の共有が行われる。その目的は創造性を発揮し、複雑化して従来の枠組みでは解決の難しい現代の様々な課題を解決することにある。例えば地球環境問題への対応やEUの統合、企業や業界の枠組みを超えたイノベーション等の複雑な課題は、普段と同じ組織のメンバーと普段と同じ会議室に集まっても、過去になかった発想やアイデアを生み出し、解決に向けて実践することは困難である。そこでフューチャーセンターという多様なメンバー集まる場をつくり、集合知を形成し、新たな知を創造し実践する取り組みが行われるようになったわけである。

扱われるテーマは行政分野の政策立案、民間分野では事業戦略策定や製品開発など多岐に渡る。例を挙げるとオランダ政府12省庁すべてに門戸が開かれているカントリーハウスと呼ばれるフューチャーセンターでは、省庁の枠組みを超えて、社会や地域の問題を解決するために必要な支援やリソースの配分について対話が行われている。[3]また、ABBのフューチャーセンターでは、社内外の異なる技術領域や職能の人材を集め出会いと交流の場を提供するとともに、そこから生まれたアイデアに基づいてプロジェクトを立ち上げビジネス化を支援する社内インキュベーターの役割を担っている。[4]

以上のような目的や機能を果たすためフューチャーセンターの空間デザインは、人を日常的な感覚から解き放つために遊びの要素を取り入れたり、多様なテーマに対応できるよう天井や壁、床を移動し様々なレイアウトを柔軟に構成できるようにしたりといった工夫が見られる。

脚注

  1. ^ a b * 紺野登 「未来をつくるワークプレイス、欧州発祥の『フューチャーセンター』」 nikkei BPnet 2008年3月27日
  2. ^ * 横塚裕志 「『フューチャーセンター』で創造しよう」日本経済新聞 2010/12/8
  3. ^ * 富士ゼロックスKDI「K-Direct 2010 社会を変えるイノベーション ― Vol.3 公共のイノベーション ―」
  4. ^ * 「PROJECT DATA ABB FUTURE CENTER」ECIFFO w3 vol.38

参考文献