ブラックキャナリー: Black Canary)は、DCコミックスの出版するアメリカン・コミックスに登場する架空のスーパーヒロイン。アニメなどではブラックカナリーとも呼称される。

概要 編集

初代ブラックキャナリーの初出は『フラッシュ・コミックス』#86(1947年8月)[1]。ロバート・カニアーとカーマイン・インファンティーノによって創造され、ジョニー・サンダー英語版のサポートキャラクターとして登場した。2代目ブラックキャナリーの初出は『ジャスティス・リーグ・オブ・アメリカ』#220(1983年11月)[1]

初代と2代目の関係は母娘である。両者の最大の相違点は、口から発射する超音波「キャナリー・クライ」で、これは2代目しか持っていない。キャナリー・クライは破壊力が高く、トラックや特殊なガラスすらも破壊することが可能である[2]

初代のコスチュームは、黒の網タイツと革のボディスーツで、セクシーな出で立ちである[3]。金髪のカツラ(地毛は黒)を着用しているが、これは正体を隠すためである。2代目もこれを受け継いだが、コスチュームには変遷もあり、タキシードの上着、網タイツと黒のレオタードを着用している場合もある。なお、彼女は元々金髪であり、カツラは使用していない。

初代ブラックキャナリー 編集

ブラックキャナリー
出版の情報
出版者DCコミックス
初登場Flash Comics #86 (1947年8月)[1]
クリエイターロバート・カニアー
カーマイン・インファンティーノ
作中の情報
本名ダイナ・ドレイク・ランス[1]
所属チームジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ

人物 編集

本名:ダイナ・ドレイク・ランス (Dinah Drake-Lance)。本拠地はゴッサム・シティ、職業は生花店の経営者。

刑事を父に持つ彼女は婦人警官を夢見ていたが、願書を返されてしまう。さらには父を失い、彼女は独力での正義の活動を志す。乏しい遺産で生花店を開きながら、持ち前の柔道の技を携え、彼女は自警団員として活動を開始した。この他に、首に下げた魔除けには、煙幕弾や催眠ガス弾を内蔵させてある。

暗黒街へ潜入するために悪人を装っていた彼女だが、ヒーローの1人である2代目ジョニー・サンダーと協力する際、身の上を明かした。彼女は「ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ(JSA)」と共闘し、後に加盟した。まもなく引退し、私立探偵ラリー・ランスと結婚、1女を儲ける。しかし、夫は宇宙線をエネルギーとするアクアリウスとの戦いで戦死、彼女もその戦いの後遺症で、放射能誘発性のガンで死亡した。

映像作品 編集

初代ブラックキャナリーの映像作品

ドラマ『ゴッサム・シティ・エンジェル
演 - ロリ・ロックリン
第5話「母の罪」にキャロライン・ランスという名前で、作中のダイナの母親として登場[4]。オラクルやハントレスからはブラック・カナリアと呼ばれ、口からカナリア・クライという超音波を発するシーンがある。
アニメ『バットマン:ブレイブ&ボールド
ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ(JSA)に参加していたが、作中の時間ではすでに死亡している。JSAに娘を託していたことが明かされる。
アローバース
演 - ケイティ・ロッツ、日本語吹替 - 大津愛理
ドラマ『ARROW/アロー
演 - ジャクリーン・マッキネス・ウッド(第1話) / ケイティ・ロッツ、日本語吹替 - 大津愛理
準レギュラーキャラクターだったが、途中退場。
演 - ジュリアナ・ハーカビー
ダイナ・ドレイクとして登場。超音波の声を持つメタヒューマン。3代目ブラックキャナリーとなる。
ドラマ『レジェンド・オブ・トゥモロー
演 - ケイティ・ロッツ、日本語吹替 - 大津愛理
『ARROW/アロー』で途中退場したサラが復活した姿。
映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY
演 - ジャーニー・スモレット=ベル、日本語吹替 - 村中知
ローマンが経営するバーの歌姫。格闘技術があることを見込まれ、ハーレイが再起不能にしたローマンの部下の代わりに、運転手兼ボディーガードとなる。前任の運転手がレニーに情報を流していた内通者であったため、レニーからローマンへの内通を依頼される。

2代目ブラックキャナリー 編集

ブラックキャナリー
出版の情報
出版者DCコミックス
初登場Justice League of America #220 (1983年11月)[1]
クリエイターグレッグ・ワイズマン
マイク・セコウスキー
作中の情報
本名ダイナ・ローレル・ランス[1]
所属チームジャスティス・リーグ
バーズ・オブ・プレイ
パートナーグリーンアロー
バーバラ・ゴードン
ハントレス
能力

人物 編集

本名:ダイナ・ローレル・ランス (Dinah Laurel Lance)。本拠地はゴッサム・シティ

母は彼女を同じ道に歩ませたくなかったが、JSAの仲間たちの冒険談を聞いて育った娘は、初代ワイルドキャットからボクシングを、その他のJSAメンバーからも格闘術を学び、母親から受け継いだ柔道のセンスを生かし、クライムファイターとして母のコスチュームを受け継いだ。

当初は1人で活動していたが、「ジャスティス・リーグ」に加わる。また、そこでグリーンアロー/オリバー・クイーンと恋に落ちた。2008年の段階では、リーグの議長を務めている[5]。リーグでは互いの意見の違いからハントレスと対立し、度々対決することもあった。

映像作品 編集

2代目ブラックキャナリーの映像作品

ドラマ『ヤング・スーパーマン
演 - アライーナ・ハフマン
複数回ゲスト出演。当初は一人で活動しており、レックス・ルーサーに雇われてクラーク・ケント(スーパーマン)らと敵対した[6]。誤解の解けた後はオリバー・クイーン(グリーンアロー)率いるヒーローチーム[注釈 1]に参加している。オリバーやクロエらの会話で「黒いカナリア」といわれた。
ドラマ『ゴッサム・シティ・エンジェル
演 - レイチェル・スカーステン、日本語吹替 - 小林沙苗
ブラックキャナリーとは名乗らないが、ダイナ・ローレル・ランスをモチーフとしたキャラクターであり、 第5話「母の罪」では母親がブラック・カナリアとして登場[4][7]。なお、原作「Birds of Prey」では明確にダイナ・ローレル・ランスとされている[8]
ドラマ『ARROW/アロー
演 - ケイティ・ロッツ/ケイティ・キャシディ/ジュリアナ・ハーカヴィ、日本語吹替 - 小林沙苗
オリバー・クイーン / グリーンアローが主役のドラマ。当初はブラックキャナリーとしてではなく、ローレル・ランスとして第1話からレギュラー出演。オリバーの元恋人で弁護士。刑事の父と同居している。母とは別居。妹はカナリアと呼ばれるブラックキャナリーの始まりのキャラクターとして描かれており、妹の死後、ヒーローとしての活動を始め、黒いカナリア(Black Canary)と呼ばれる。
アニメ『ジャスティス・リーグ
声 - モリーナ・バッカリン
第18話から第19話の「伝説の英雄たち」に他のヒーローと一緒にモブシーンで登場。続編の『ジャスティス・リーグ・アンリミテッド』ではリーグに正式加入しグリーンアローとの恋愛が描かれている。
アニメ『バットマン・ザ・フューチャー 蘇ったジョーカー
バットガールにロビンの行方を尋ねられるシーンで登場しているが、なぜゴッサムシティにいたのかは明言されていない。
アニメ『バットマン:ブレイブ&ボールド
声 - グレイ・デリスル、日本語吹替 - 櫻井浩美(第25話)、安士百合野(第43話)
複数回ゲスト出演、活躍している。母親である初代ブラックキャナリーはJSAに所属していたがすでに死亡している。2代目はバットマンと同世代であり、彼は師匠に当たるJSAから厳しい訓練を課せられていたが、キャナリーは過保護に育てられており、彼女は不満に思っていた。
アニメ『ヤング・ジャスティス
声 - ヴァネッサ・マーシャル
ジャスティス・リーグの一員であり、ヤングチームの教官。

書誌情報 編集

タイトル 収録内容 ISBN
Black Canary (comic book)
Black Canary Archives Flash Comics #86–104, Comic Cavalcade #25, DC Special #3, Adventure Comics #399, #418–419, The Brave and the Bold #61–62 978-1563897344
Green Arrow/Black Canary: Road to the Altar Black Canary vol.3 #1–4, Birds of Prey #109, Black Canary Wedding Planner 978-1401218638
Black Canary and Zatanna: Bloodspell Black Canary and Zatanna: Bloodspell 978-1401255497
Black Canary Vol.1: Kicking and Screaming Black Canary vol.4 #1-7, DC Sneak Peek: Black Canary 978-1401261177
Black Canary Vol.2: New Killer Star Black Canary vol.4 #8-12, Gotham Academy #17, Batgirl and the Birds of Prey: Rebirth #1 978-1401265274
Green Arrow / Black Canary
Vol.1: The Wedding Album Green Arrow/Black Canary #1–5, Green Arrow/Black Canary Wedding Special 978-1401218416
Vol.2: Family Business Green Arrow/Black Canary #6–10 978-1401220167
Vol.3: A League of Their Own Green Arrow/Black Canary #11–14, Green Arrow Secret Files #1 978-1401222505
Vol.4: Enemies List Green Arrow/Black Canary #15–20 978-1401224981
Vol.5: Big Game Green Arrow/Black Canary #21–26 978-1401227098
Vol.6: Five Stages Green Arrow/Black Canary #27–30 978-1401228989
Justice League: Rise and Fall Green Arrow/Black Canary #31-32, Justice League: Rise and Fall Special, The Rise of Arsenal #1-4 978-1401230135

その他のメディア 編集

ドラマ 編集

アニメ 編集

ゲーム 編集

対戦型格闘ゲーム。プレイアブルキャラクターとして登場している[9]
「Injustice 2 - Here Come The Girls」 - YouTube

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ ヤング・スーパーマン』におけるジャスティス・リーグ。ただし命名はされていない。

出典 編集

  1. ^ a b c d e f 『DCキャラクター大事典』 50頁。
  2. ^ ブラックキャナリー キャラクター DCコミックス”. 2017年6月17日閲覧。
  3. ^ スコット・ビーティほか 『DCキャラクター大事典』 赤塚京子ほか訳、小学館集英社プロダクション2011年、50頁。
  4. ^ a b Birds of Prey at the Internet Movie Database
  5. ^ 『DCキャラクター大事典』 182頁。
  6. ^ シーズン7。通算第143話「ブラック・カナリア」(原題:Siren)
  7. ^ Birds of Prey at TV.com
  8. ^ "The Fall of Green Arrow, Part II" Green Arrow v4, 32
  9. ^ Black Canary: Injustice 2”. 2017年5月16日閲覧。

外部リンク 編集