ペロケトゥス科(ペロケトゥスか、学名Familia Pelocetidae)は、約1597万年前から約724.6万年前にかけて[1]新生代新第三紀中新世の中葉から後期半ばにかえて)の大西洋太平洋南極海(寒冷化以前の南極海)に棲息していた化石クジラ類 (cf.) の1タクソン(分類群)鯨偶蹄目ヒゲクジラ亜目ナガスクジラ上科に分類される1である。

ペロケトゥス科
生息年代: 15.97–7.246 Ma
fossil range
「パリエトバラエナ パルメリ」の頭蓋骨
地質時代
約1597万年前 - 約724.6万年前 [1]
ランギアン初頭 - トートニアン
新生代新第三紀中新世中葉 - 後期半ば)
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
亜綱 : 獣亜綱 Theria
下綱 : 真獣下綱 Eutheria
階級なし : 有胎盤類 Placentalia
階級なし : 北方真獣類 Boreoeutheria
上目 : ローラシア獣上目 Laurasiatheria
: 鯨偶蹄目 Cetartiodactyla
階級なし : クジラ目(クジラ類)Cetacea
階級なし : Pelagiceti
階級なし : 新鯨類 Neoceti
亜目 : ヒゲクジラ亜目 Mysticeti
階級なし : 無歯ヒゲクジラ類 Chaeomysticeti
階級なし : Plicogulae
上科 : ナガスクジラ上科 Balaenopteroidea [2]
: ペロケトゥス科 Pelocetidae
学名
Pelocetidae Steeman, 2007 [2]
和名
ペロケトゥス科
下位分類(
Parietobalaena yamaokaiヤマオカクジラ)の母子の生態復元想像図英語版(2017年作)

化石は、当時の大西洋区域(ヨーロッパドイツオランダベルギーフランス〉、アメリカ合衆国東海岸メリーランド州バージニア州フロリダ州[3]〉)、当時の太平洋区域(アメリカ合衆国西海岸オレゴン州カリフォルニア州〉、メキシコペルー日本)、当時の南極海区域(ニュージーランド南島[4]オーストラリア南部)から発見されている[5]

名称 編集

学名 編集

学名の言語的由来については情報を確認できない。ただ、cetus は「クジラ」を意味しており、古典ラテン語で「大型の海洋動物(クジラ、サメなど)」を意味する "cētus日本語音写: ケートゥス)" から来ている。

和名 編集

"cetus" (名としては -cet(us)-idae)の読みについて日本語表記揺れ・言葉の揺らぎが大きく、また、研究者によっても異なる場合があるため、一つに絞ることができない。古典ラテン語発音準拠であれば「ケトゥス」であるが、古典ラテン語発音準拠形の日本語転訛形「ケトス[注 1]」、ラテン語発音と英語発音のちゃんぽん形「ケタス[6]」、そして、英語発音準拠の「セタス」がある。したがって、これらの揺らぎを反映する形で、本科の和名には右最上段に示した4種類がある。

分類 編集

上位分類 編集

下位分類 編集

  • Familia Pelocetidae Steeman, 2007 | ペロケトゥス科
産出年代:15.97 - 7.246 Ma(約1597万年前 - 約724.6万年前)[1]
産出年代:15.97 - 11.608 Ma(約1597万年前 - 約1160.8万年前)[7]
化石産出地:アメリカ合衆国西海岸オレゴン州カリフォルニア州[7]
産出年代:13.65 - 11.608 Ma(約1365万年前 - 約1160.8万年前)[8]
化石産出地:アメリカ合衆国東海岸メリーランド州バージニア州[8]
産出年代:15.97 - 7.246 Ma(約1597万年前 - 約724.6万年前)[9]
化石産出地:アメリカ合衆国東海岸(メリーランド州、バージニア州、フロリダ州[3])、オランダベルギー、アメリカ合衆国西海岸(カリフォルニア州)、メキシコ日本ニュージーランド南島[4])、オーストラリア(南部)。[10]
      • Parietobalaena affinis Van Beneden et Gervais, 1868 | パリエトバラエナ・アッフィニス
      • Parietobalaena campiniana Bisconti et al., 2013 | パリエトバラエナ・カンピニアナ
      • Parietobalaena laxata Van Beneden, 1880 | パリエトバラエナ・ラクサタ
      • Parietobalaena palmeri Kellogg, 1924 | パリエトバラエナ・パルメリ
      • (?)Parietobalaena securis Kellogg, 1931 | パリエトバラエナ・セクリス
      • Parietobalaena yamaokai Otsuka et Ota, 2008 | パリエトバラエナ・ヤマオカイ、ヤマオカクジラ[11][12](山岡クジラ[13]
    • Genus Pelocetus Kellogg, 1965 [14]ペロケトゥス
産出年代:15.97 - 11.608 Ma(約1597万年前 - 約1160.8万年前)[14]
化石産出地:アメリカ合衆国東海岸(メリーランド州、バージニア州)、フランスペルー、日本。[15]
      • Pelocetus calvertensis Kellogg, 1965 | ペロケトゥス・カルヴェルテンシス
      • Pelocetus mirabilis Ginsburg et Janvier, 1971 | ペロケトゥス・ミラビリス

記載者 編集

  • M. E. STEEMAN (Mette Elstrup Steeman)(メッテ・エルストルップ・ステーマン)
デンマーク人。古生物学者。ユトランド博物館群 (Museum Sønderjyllandの南ユトランド博物館 (Museum of Southern Jutland) 古生物学部に所属[16]

論文 編集

記載論文 編集

他の研究論文 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ "Homo erectusホモ・エレク)" と同様の訛り。

出典 編集

  1. ^ a b c Fossilworks, 科のページには "Age range: 20.43 to 13.65 Ma" とあるが、個々の属での記述と食い違うため、この数値は採用しない。2021年5月24日閲覧時。
  2. ^ a b Steeman, 2007.
  3. ^ a b GBIF, Florida の Parietobalaena palmeri.
  4. ^ a b Tsai et Fordyce, 2018.
  5. ^ Fossilworks.
  6. ^ 木村ら (2010), p. 34.
  7. ^ a b c Fossilworks: Cophocetus.
  8. ^ a b c Fossilworks: Halicetus.
  9. ^ Fossilworks: Parietobalaena.
  10. ^ Fossilworks: Parietobalaena, 一文に係る.
  11. ^ 庄原産クジラ、世界で未発見の3新種が報告される”. 庄原化石集談会. 2021年5月21日閲覧。
  12. ^ 比和町地学分館オープン!”. IKI STYLE. 有限会社 IKIコーポレーション (2012年7月21日). 2021年5月24日閲覧。
  13. ^ 清水則雄(広島大学総合博物館 学芸職員) (2008年). “県北の化石産地を巡る”. 東広島市自然研究会. 2021年5月24日閲覧。 “バスの中でお話いただいた庄原の地層(備北群層)の中からみつかった千数百万年前のたくさんなクジラの化石、それもその中の一つは現に目の前にいらっしやる山岡さんの名前が付けられたヤマオカクジラなど、それまでのクジラとは異なる新種のクジラだったとのこと。”
  14. ^ a b Fossilworks: Pelocetus.
  15. ^ Fossilworks: Pelocetus, 一文に係る.
  16. ^ Gol'din, Pavel; Steeman, Mette Elstrup (02 September 2015). “From Problem Taxa to Problem Solver: A New Miocene Family, Tranatocetidae, Brings Perspective on Baleen Whale Evolution”. PLOS ONE. doi:10.1371/journal.pone.0135500. "Affiliation: Department of Natural History and Palaeontology, The Museum of Southern Jutland, Lergravsvej 2, 6510, Gram, Denmark" 

関連項目 編集

外部リンク 編集