メピバカイン: mepivacaine)とはアミド型局所麻酔薬の一つ[1]。メピバカインは迅速な発現時間(プロカインより早い)、中等度の持続時間(プロカインより短い)を有し、カルボカイン(Carbocaine)Polocaineなどの種々の商品名で市販されている。最初に市販されたアミド型局所麻酔薬リドカインの合成から13年後に合成された[2]

メピバカイン
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
胎児危険度分類
  • C, use w/ caution, may cause fetal bradycardia
識別
CAS番号
96-88-8
ATCコード N01BB03 (WHO)
PubChem CID: 4062
DrugBank APRD01094
KEGG D08181
化学的データ
化学式C15H22N2O
分子量246.348 g/mol
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メピバカインの酸解離定数pKaは7.6、局所麻酔薬としての力価はリドカインと同等、ブピバカインの1/4である[2]

メピバカインは1960年代からアメリカ合衆国で使用され始め、浸潤麻酔区域麻酔のために使用される。日本でも 硬膜外麻酔伝達麻酔浸潤麻酔を適応として1959年から販売開始され[3]、現在(2022年)まで使用され続けている。

メピバカインには光学異性体が存在するが、ラセミ化合物として臨床使用されている[4]

産科領域で用いることは禁忌ではないが、胎盤移行性が他の局所麻酔薬より比較的高いため、日本麻酔科学会による「麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン第3版」では、推奨されてはいない[2]無痛分娩で使用されることもあった[5]が、2012年の時点では使用は一般的では無い[6]

出典 編集

  1. ^ Porto GG, Vasconcelos BC, Gomes AC, Albert D (January 2007). “Evaluation of lidocaine and mepivacaine for inferior third molar surgery”. Med Oral Patol Oral Cir Bucal 12 (1): E60–4. PMID 17195831. http://www.medicinaoral.com/medoralfree01/v12i1/medoralv12i1p60.pdf. 
  2. ^ a b c 公益社団法人日本麻酔科学会 2012, p. 364.
  3. ^ 医療用医薬品 : カルボカイン (0.5%カルボカイン注 他)”. www.kegg.jp. 2022年12月18日閲覧。
  4. ^ Burm AG, Cohen IM, van Kleef JW, Vletter AA, Olieman W, Groen K (January 1997). “Pharmacokinetics of the enantiomers of mepivacaine after intravenous administration of the racemate in volunteers”. Anesth. Analg. 84 (1): 85–9. PMID 8989005. http://www.anesthesia-analgesia.org/cgi/pmidlookup?view=long&pmid=8989005. 
  5. ^ 金山 尚裕(浜松医科大学), 河村 隆一 (2003). “研修医のための必修知識 産科疾患の診断・治療・管理 産科麻酔,無痛分娩”. 日本産科婦人科学会雑誌 54: 195-201. https://cir.nii.ac.jp/crid/1050282676638541312. 
  6. ^ 公益社団法人日本麻酔科学会 2012, p. 365.

参考文献 編集