文教地区

教育施設が多く集まっている地区の呼称

文教地区(ぶんきょうちく)とは、教育施設が多く集まっている地区の呼称。主に不動産広告では、学校・図書館・博物館などの施設が集まっている地域を指す。 日本ではこの他、都市計画法第9条第13項に規定する特別用途地区で定義され、地方公共団体の文教地区建築条例により指定された地域には、建築用途制限がある(後述)。

外国の例では、イギリスロンドンの文教地区ブルームスベリーラッセル・スクウェア・キャンパス(ロンドン大学所属の東洋アフリカ研究学院)、アメリカオハイオ州クリーブランド東部の文教地区ユニバーシティ・サークルペンシルベニア州ピッツバーグオークランドアルトゥーナ地域文教地区、マサチューセッツ州ボストンロングウッド医療文教地区中部リトアニア共和国のヴィリニュス文教地区、ナイジェリアラゴスポルトガルリスボンサンタマリア・デ・ベレンメキシコメキシコシティメキシコ国立自治大学文教地区、中国新京南嶺地区、上海市閔行区香港九龍北部九龍塘香港島西部の薄扶林台湾後勁駅界隈などがある。

建築用途制限 編集

日本では主に都道府県市町村条例により、「文教地区」指定を受けた地域における一部の業態の店舗の営業が禁止、または制限される場合がある。制限される業態は地区によって様々で、教育・学術機関の集約を重視し、住宅や事務所の建築すら禁止される例(幕張新都心文教地区)[1] や、病院が禁止対象に含まれる例(西宮市[2] などもある。

以下に東京都の場合の例を示す[3](第一種文教地区では規制されるが、第二種文教地区では規制されないものは斜字で示す)。

  1. キャバレー、料理店、ナイトクラブダンスホール喫茶店などで風営法の適用をうけるもの
  2. ホテルまたは旅館
  3. 劇場映画館演芸場または観覧場
  4. マーケット(市場を除く)
  5. 遊技場、遊戯場(学校附属のものを除く)
  6. 旧公害防止条例(昭和24年東京都条例第72号)別表に掲げられていた作業を常時行う工場
  7. 勝馬投票券発売所場外車券売場および勝舟投票券発売所
  8. 前各号の建築物に類するもので、環境を害し、または風俗をみだすおそれがあると認めて知事が指定するもの。具体的には以下のとおり。
    1. 共同住宅の主として住戸または住室のある階に設ける飲食店
    2. 1.以外の飲食店で第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域および第二種中高層住居専用地域に設けるもの。ただし、第二種中高層住居専用地域内に設ける飲食店は、酒類提供飲食店に限る(営業の常態として、通常主食と認められる食事を提供して営むものを除く)

日本の例 編集

北海道地方 編集

石狩振興局
釧路総合振興局

東北地方 編集

青森県
秋田県
岩手県
宮城県

関東地方 編集

茨城県
栃木県
埼玉県
千葉県

東京都

 
神田駿河台2丁目
神奈川県

中部地方 編集

 
尾張東部丘陵地区にある八事
新潟県
長野県
山梨県
静岡県
愛知県
岐阜県
石川県
福井県
三重県

近畿地方 編集

滋賀県
奈良県
京都府
大阪府
兵庫県
和歌山県

中国地方 編集

岡山県
広島県

四国地方 編集

徳島県
高知県

九州地方 編集

福岡県
熊本県
大分県
宮崎県
沖縄県

参考文献 編集

  • 『都市の学校設置過程の研究――阪神間文教地区の成立』(湯田拓史、同時代社, 2010年)
  • 2.近代和歌山市における高等女学校の利用層 : 文教地区の形成過程に注目して(IV-2部会 教育の歴史,研究発表IV,日本教育社会学会第58回大会)(土田 陽子、日本教育社会学会大会発表要旨集録 (58), 2006-09月)
  • 都市化と中等教育機関の設置――大正-昭和初期における神戸-尼崎間文教地区の成立 (湯田 拓史、教育行財政研究 (33), 25-38, 2006-03月号)
  • アラゴナイト構造をもったCaCoX_3結晶の観察 : 長崎大学文教地区の水道水から成長する結晶(山口 多恵子/岩永 浩、長崎大学教養部紀要. 自然科学篇 37(1人文・自然科学篇合併号), 1996-07月号)
  • 基壇・ピラミッド・塔・コロネ-ド――香川県直島町文教地区〔設計・石井和紘建築研究所〕(SD (178), 1979-07月号)
  • 新都市琵琶市都市計画(試案)(その2)(山口 堅三、日本建築学会北陸支部研究報告集 (16), A1-6, 1973-05月)
  • 文教地区の砂利穴騒動,東京都の国立町――まちの政治・むらの政治-14-(大石 悠二、朝日ジャーナル 7(7), 35-40, 1965-02月号)
  • 91. 兵庫県京都府に於ける学生生活の実態について : 文教地区構成要素の基礎資料 (第2報) 中沢 誠一郎 , 山本 昇 , 嶋本 恒雄、日本建築學會研究報告 (23), 363-366, 1953-08月号)
  • 90. 学生生活実態調査集計結果における大阪、兵庫、京都の比較及び考察 : 文教地区構成要素の基礎資料 (第3報) 中沢 誠一郎 , 山本 昇 , 嶋本 恒雄、日本建築學會研究報告 (23), 359-362, 1953-08月号)
  • 用途地域制としての文教地区批判(中沢 誠一郎, 都市計画, 1953-02月号、7月号)
  • 53 学生生活の実態について : 文教地区構成要素の基礎資料(中沢 誠一郎 , 山本 昇 , 島本 恒雄, 日本建築學會研究報告 (20), 267-268, 1952-10月)
  • 文教地區の構成要素に関する研究 (序論) (中沢 誠一郎、日本建築學會研究報告 (16), 316-319, 1951-12月号) 第2報 (方法論) 日本建築學會研究報告 (17), 533-536, 1952-03月号)
  • 学園の喪失――売春街から文教地区をまもる(中山 伊知郎 女性改造 6(8), 21-23, 1951-08月号)
  • 8. 文教地区設定の意義について(佐藤 武夫 , 武 基雄 , 吉阪 隆正 , 大林 新、大会学術講演梗概集. 計画系 22(3), 12-13, 1946年7月)

脚注 編集

関連項目 編集