特別社員(とくべつしゃいん)

特別社員 編集

日本赤十字社における特別社員 編集

 
日本赤十字社特別社員章(バッジ式)

日本赤十字社をはじめ世界各国の赤十字社では、社員を募り、一定の要件を満たした者に表彰として特別社員の称号を贈呈している。日本赤十字社では、1887年(明治20年)に日本赤十字社と改称し、特別社員及び名誉社員制度を創設。これに伴い、日本赤十字社特別社員の称号受称者は、特別社員章(勲章式)を贈呈され、当人に限り佩用することができた(遺族は保管のみ)。1890年(明治23年)5月22日には、総裁小松宮彰仁親王と社長の佐野常民の名で早稲田大学の創立者である内閣総理大臣侯爵大隈重信の妻・綾子に特別社員の称号が贈られているが、これは称号創設から間もない時代の顕著な例として見ることができる[3]

その後、1952年(昭和27年)、新たに日本赤十字社法が制定され、同法第7条にて定款を定めることが規定されたが[法 1][法 2][4]、特別社員称号は定款第17条に規定された。称号の等級は金色特別社員、銀色特別社員の二等級に分けられ、金色特別社員が3万円以上の社資、銀色特別社員が1万円以上の社資により称号と金色か銀色の特別社員章(バッジ式)が贈呈されていたが、2001年(平成13年)以降、特別社員称号に一本化されている。現在、特別社員の称号は日本赤十字社定款第17条および有功章等贈与規則により、2万円以上の社資を納入した社員に対して称号とともに金色の特別社員章(バッジ型)が贈呈されることとなった[定款 1][規則 1][5]日本赤十字社ウェブサイト「日本赤十字社有功章社員章等贈与規則 (PDF)[6]

今日、日本赤十字社の称号は、名誉社長名誉社員及び特別社員の三種とされ、それぞれ定款の定める称号付与条件の該当者に付与・贈呈されている。

日本赤十字社本部に寄付をすると、寄付者の住んでいる都道府県の支部に引き渡され、改めて支部に寄付がされる。

恩典 編集

特別社員称号は、社資納入に対し贈られる感謝状ないし特別社員称号付与通知書などにおいて、都道府県支部長名により称号贈呈の伝達がなされる。特別社員の称号には特に恩典はないが、大抵、特別社員章(バッジ式)、アルミ製や製、合成樹脂シール門標などが贈られる。なお、贈られる品については都道府県により差異がある。なお、金色有功章銀色有功章を贈られた特別社員には、「有功章特別社員」と書かれた門標が贈られる。

民間企業における特別社員 編集

民間企業においても役員・従業員の身分資格の一種として特別社員が置かれることがある。但し、その資格は制定する企業により、会社の役員・管理職を指す場合[7]、定年を迎えた者を再雇用する場合[8]、臨時雇いの補充従業員として採用する場合[9]など企業において定義は異なる。

脚注 編集

注釈 編集

日本赤十字社法

  1. ^ 第7条第1項 日本赤十字社は、定款をもつて、左に掲げる事項を規定しなければならない。1.目的 2.名称 3.事務所の所在地 4.社員に関する事項 5.役員、理事会、代議員及び代議員会に関する事項 6.業務及びその執行に関する事項 7.資産及び会計に関する事項 8.公告の方法
  2. ^ 第7条第2項 定款は、厚生労働大臣の認可を受けて変更することができる。

日本赤十字社定款

  1. ^ 第17条 多額の社費を納めた社員又は本社の業務について特別の功労のあった社員に対しては別に定める規則により、特別社員の称号をおくる。

日本赤十字社有功章社員章等贈与規則

  1. ^ 第1条 次の各号の一に該当する社員に対しては、定款第17条第1項の規定に基づき特別社員の称号を贈るとともに、個人である社員に対しては特別社員章を贈る。
    (1) 毎年2,000円以上の社費を納め、その合計額が20,000円以上の金額に達した社員
    (2) 社費として20,000円以上の金額を一時又は数次に納めた社員
    (3) 日本赤十字社の業務について、社長が前各号に準ずる功労があると認めた社員又は特に本表彰に価する功労があると認めた社員

出典 編集

  1. ^ 日本赤十字社特別社員の節を参照されたい。
  2. ^ 特別とは「普通一般とちがうこと。特に区別されるもの。格式。」「他と特に区別されているさま。一般と異なっているさま」を意味する。また、社員とは「会社員」の意味のほか、「社団法人・社団の構成員」を意味する言葉である。特別、社員の定義はそれぞれ、松村明大辞林 第三版』(三省堂2006年)2528頁及び1161頁、新村出編『広辞苑 第六版』(岩波書店2011年)1807頁、2007頁参照。
  3. ^ 早稲田大学ウェブサイト「日本赤十字社特別社員辞令 : 伯爵夫人大隈綾子 / 総裁大勲位彰仁親王,社長佐野常民 」参照。
  4. ^ 日本赤十字社ウェブサイト「日本赤十字社法 (PDF) 」参照。
  5. ^ 日本赤十字社ウェブサイト日本赤十字社定款 (PDF) および参照。
  6. ^ 日本赤十字社ウェブサイト「よくあるご質問」参照。
  7. ^ 例えば、戦前の第一銀行(後の第一勧業銀行みずほ銀行)で見られた。島田昌和著『渋沢栄一の企業者活動の研究:戦前期企業システムの創出と出資者経営者の役割』(日本経済新聞社、2007年)175頁参照。
  8. ^ 松下電器労働組合編『続たゆみなき創造: 松下電器労組 30年のあゆみ』(松下電器労働組合、1976年)231頁、233頁、240頁参照。
  9. ^ 日本生産性本部編『技術革新と日本経済』(日本生産性本部、1960年)206頁、216頁、219頁参照。

参照文献 編集

文献資料 編集

  • 新村出編『広辞苑 第六版』(岩波書店、2011年)ISBN 400080121X
  • 松村明編『大辞林 第三版』(三省堂、2006年)ISBN 4385139059
  • 島田昌和著『渋沢栄一の企業者活動の研究:戦前期企業システムの創出と出資者経営者の役割』(日本経済新聞社、2007年)ISBN 978-4-8188-1901-6
  • 日本生産性本部編『技術革新と日本経済』(日本生産性本部出版部、1960年)
  • 松下電器労働組合編『続たゆみなき創造: 松下電器労組 30年のあゆみ』(松下電器労働組合、1976年)

外部リンク 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集

特別社員について掲載している支部をここに記す。