「モノクローナル抗体の命名法」の版間の差分

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'''モノクローナル抗体の命名法'''商標登録されていない名称である一般名を[[モノクローナル抗体]]に割り当てるための命名体系であについて解説する。

[[抗体]]はB細胞が分化してできる[[B形質細胞]]によって産生される[[タンパク質]]で、ヒトやその他の[[脊椎動物]]の[[免疫系]]において[[真正細菌|細菌]]や[[ウイルス]]などの外来物質を識別する役割を持つ。"モノクローナル"抗体は特に[[クローン (細胞生物学)|同一の細胞]]によって、しばしば人工的に産生される抗体であり、標的が単一である。モノクローナル抗体は医学用途を含め様々な方法で応用される<ref name="Janeway" />。
 
医薬品の命名のために[[世界保健機関|世界保健機構]]の定める[[国際一般名]] (INN)<ref name="WHO_1997" />と[[米国一般名]] (USAN)<ref name="AMA_2007" />の両者がこの命名体系を用いている。一般に[[語幹]](ステム)は医薬品のクラスを明らかにするために用いられ、多くの場合単語の終わりに置かれる。全てのモノクローナル抗体の名称は接尾辞である''-マブ'' (''-mab'') で終わる。他の医薬品と異なるのは、モノクローナル抗体の命名がその形状や機能に合わせて接尾辞以外の単語の部品([[形態素]])を接尾辞に先行して用いる点にある。この形態素は公式にはサブステムと呼ばれるが、USAN会議自身が誤って[[接中辞]]と呼ぶ事もある<ref name="AMA_2007" />。
 
== 構成成分 ==
[[File:Antibody IgG2.png|thumb|left|抗体の構造。4つの[[抗体#定常領域と可変領域|可変領域]]は右上と左上の末端の塊である。]]
 
=== 語幹 ===
語幹である''-マブ (-mab) ''はモノクローナル抗体と同様に、1つでも[[抗体#定常領域と可変領域|可変領域]](標的と結合する構造を含んだドメイン)を含んでいれば、モノクローナル抗体の部位にも使われる<ref name="WHO-INN" />。人工タンパク質の中でも[[:en:Fragment antigen-binding|Fab領域]]<ref name="Ranibizumab" />と[[:en:Single-chain variable fragment|一本鎖抗体]] (scFv) <ref name="Pexelizumab" />がこれにあたる。一方で[[Fc領域]]のような抗体の標的認識に関わらない部分や、他の抗体に類似した構造を持つ分子には別の命名系が用いられる。
 
=== 起源を表すサブステム ===
[[File:Chimeric and humanized antibodies with CDRs.svg|thumb|'''起源を表すサブステム''': [[マウス]](左上)、[[キメラ抗体|キメラ]](右上)、[[ヒト化]](左下)、キメラ/ヒト化(下段中央)、および[[ヒト]](右下)モノクローナル抗体。<br />ヒトの配列を茶色で、ヒト以外の動物に由来する配列を青色で示す。可変領域は各抗体の頂上部の箱、CDRはその上部の3本のループ。]]
 
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ラット/マウスハイブリッド抗体は2つの異なる抗原と結合できる。このような薬品はトリファンクショナル抗体と呼ばれ、サブステム ''-アクソ- (-axo-)'' が用いられる<ref name="Lordick" />。
 
=== 標的を表すサブステム ===
抗体の起源を表すサブステムの前にくもう1つのサブステムは薬の標的を示す。標的の例として、[[腫瘍]]や、[[循環系]]のような[[器官]]、[[真正細菌|細菌]]や[[ウイルス]]のような[[病原体]]が挙げられる。''標的''という語は抗体の使用目的を意味しない。つまり、[[治療]]目的か、[[予防医学|予防]]目的か、あるいは[[診断]]用かといった区別はこの命名系ではなされない。
 
命名系が制定された当初、標的用のサブステムは子音-母音-子音という構成であった。ただし最後の子音は発音が困難になる場合欠落する事がある。例として循環系を示す''-シ(ル)- (-ci(r)-)''、[[免疫系]]を示す''-リ(ム)- (-li(m)-)''(limは[[リンパ球]]を意味する)、神経系を示す''-ネ(ル)- (-ne(r)-)'' が例として挙げられる。最後の子音は続くサブステムが子音で始まる(例えば''-ズ-(-zu-)'' や''-キシ-(-xi-)'')場合、通常除かれるが、常に標的用サブステムが短い形でも用いられるとは限らない。例えば''-ムル- (-mul-)'' は、キメラないしヒト化された[[運動器|筋骨格系]]を標的とする抗体がINNに登録されていないため、短縮形である''-ム- (-mu-)'' が用いられた事は無い。標的用サブステムと起源用サブステムの組み合わせによって、免疫系を標的とするヒト抗体を意味する''-リムマブ (-limumab)'' や、循環系を標的とするキメラ抗体で子音rが脱落した''-シキシマブ (-ciximab)'' などで終わる名称が生じる<ref name="AMA_2007" />。
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2009年には新しい短縮されたサブステムが採用された。新しいサブステムのほとんどは1つの子音のみからなるが、母音を伴う事もある。しかし、この母音は起源用サブステムが母音で始まる場合には省略される。例えば免疫系を標的としたヒト抗体は旧命名系における''-リムマブ (-limumab)'' の代わりに''-ルマブ (-lumab)'' で終わる名称が付けられる。''-シキシマブ (-ciximab)'' のような一部の命名は変化しない<ref name="WHO_2009" />。旧体系においては腫瘍のタイプに応じて腫瘍を標的とするサブステムが7つ用いられていた。多くの抗体は複数の腫瘍を標的として開発されるため、新しい体系は''-ト(ゥ)- (-t(u)-)'' のみが使用される<ref name="AMA_2007" />。
 
=== 接頭辞 ===
接頭辞は特別な意味を持たない。<!--It should be unique for each medicine and contribute to a well sounding name.<ref name="WHO_2009" /> This means that antibodies with the same source and target substems are only distinguished by their prefix. Even antibodies targeting exactly the same structure are differently prefixed, such as the [[adalimumab|''ada''limumab]] and [[golimumab|''go''limumab]], both of which are [[TNF inhibitor]]s but differ in their chemical structure.<ref name="Adalimumab" /><ref name="Golimumab" />
 
=== Additional words ===
A second word following the name of the antibody indicates that another substance is attached,<ref name="WHO_2009" /> which is done for several reasons.
* An antibody can be [[PEGylated]] (attached to molecules of [[polyethylene glycol]]) to slow down its degradation by enzymes and to decrease its [[immunogenicity]];<ref name="Veronese" /> this is shown by the word ''pegol'' as in ''[[alacizumab pegol]]''.<ref name="Alacizumab" />