老春 (松本清張)

松本清張の短編小説

老春』(ろうしゅん)は、松本清張短編小説。『新潮1961年11月号に掲載され、1963年4月に『松本清張短篇総集』収録の1作として、講談社より刊行された。

老春
作者 松本清張
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 短編小説
発表形態 雑誌掲載
初出情報
初出新潮1961年11月
出版元 新潮社
刊本情報
収録 『松本清張短篇総集』
出版元 講談社
出版年月日 1963年4月10日
装幀 伊藤憲治
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
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1990年にテレビドラマ化されている。

あらすじ 編集

太田重吉は裏の離れに住んでいた。重吉は若い時には幾人もの女を外に作っていたが、78歳の今は、自堕落に一日中万年床の中でごろごろしており、雑貨商を営む息子夫婦の栄造・比佐子からも孤立しがちになっていた。22歳の好子が女中として来て以来、重吉の様子に変化が起こった。重吉はひどく好子を頼りにするようになり、自分の過去を棚に上げ、好子に訓戒を垂れたりした。しかし、好子が近所のアパートに住む工員の男と仲良くなると、重吉は大きな声でその工員を罵り始めた。やがて好子が工員と同棲して暇をとると、重吉は嫉妬からアパートに押しかけ、あらゆる言葉を使って好子と工員の男を罵倒しわめくのだった。

次に、春子という新しい女中が来た。春子は不器量で、栄造夫婦も好子の時のようにはなるまいと思っていた。が、春子が好子と親しくなっていたのを発見した重吉は、血相を変えて再び大騒ぎを始めた。春子を自分の女と思い込んでいる重吉は、悪い男のもとに行かないよう春子に居丈高に命令するのだった。ある時、栄造の取引先の客が家に泊まることになった。すると重吉は、春子がその客とくっついていないか、夜中に懐中電灯を照らして覗きまわった。その客は退散した。春子は荷物をまとめて出て行った。たまりかねた栄造が重吉に、そんな年をして若い女にヤキモチをやくのはみっともない、と言うと、重吉は火の点いたように怒り出した。翌日重吉は、置き手紙を残し、栄造夫婦の前から姿を消す。

エピソード 編集

  • 著者は本作について「老人の性欲といったものを描いた。この種のものは、あとも書く気持があった」と記している[1]

テレビドラマ 編集

松本清張の老春
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張『老春』
脚本 大薮郁子
演出 鷹森立一
出演者 花沢徳衛ほか
製作
制作 読売テレビ
放送
放送国・地域  日本
放送期間1990年9月27日
放送時間21:03 - 22:52
放送枠木曜ゴールデンドラマ
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松本清張の老春」。1990年9月27日読売テレビ制作・日本テレビ系列の「木曜ゴールデンドラマ」枠(21:03~22:52)にて放映。サブタイトル「女に惚れてなぜ悪い!?老いゆく父の奇行におびえる家族」。

キャスト
スタッフ
読売テレビ制作・日本テレビ系列 木曜ゴールデンドラマ
前番組 番組名 次番組
娘からの宿題
(1990.9.20)
松本清張の老春
(1990.9.27)

脚注・出典 編集

  1. ^ 『松本清張全集 第38巻』(1974年、文藝春秋)巻末の著者による「あとがき」参照。