茂山千之丞
茂山 千之丞(しげやま せんのじょう)は、狂言方大蔵流能楽師の名跡、元は九世茂山千五郎の長男(夭折)の名前。当世(2018年襲名)で三世。
初世 編集
二世 編集
二世 茂山 千之丞(にせい しげやま せんのじょう、1923年(大正12年)10月14日 - 2010年(平成22年)12月4日)は、狂言方大蔵流能楽師。
しげやま せんのじょう 茂山 千之丞 (二世) | |
---|---|
本名 | 茂山 政次(しげやま まさつぐ) |
生年月日 | 1923年10月14日 |
没年月日 | 2010年12月4日(87歳没) |
出身地 | 大日本帝国・京都府(現在の 日本・京都府) |
職業 | 狂言方大蔵流能楽師 |
活動期間 | 1926年- 2010年 |
活動内容 | 狂言 |
著名な家族 |
父:三世茂山千作(人間国宝・日本芸術院会員) 兄:四世茂山千作(人間国宝・日本芸術院会員・文化勲章) 長男:茂山あきら 孫:三世茂山千之丞 甥:二世茂山七五三(人間国宝) |
経歴・人物 編集
1923年に父の茂山真一(十一世千五郎、三世千作)と母・スガの次男として京都に生まれる[3]。本名は茂山政次(しげやま まさつぐ) 。兄は四世茂山千作。
1926年、3歳で「以呂波」で初舞台を踏んだ。戦後間もない、1946年に九世千五郎の長男(夭折)の名前であった「茂山千之丞」を二世として襲名した。
1948年、能楽師として初めてラジオドラマに出演、50年代には女優や歌舞伎役者と共演、武智鉄二演出の舞台など歌舞伎、新劇にも出演。
谷崎潤一郎とは父の代から親しく、1964年に武智鉄二監督作品の映画『紅閨夢』で谷崎役を演じた。能楽協会から事実上の退会勧告を受けたが、狂言師がジャンルを問わず活躍できる時代を開いた。
木下順二作の舞台「夕鶴」での与ひょう役(1971年 - 1986年、514回)のほか、サミュエル・ベケットの演劇の上演、オペラの演出なども行い、晩年には古典「武悪」、新作「豆腐小僧」などの当たり役があった。1997年芸術選奨文部大臣賞。1998年松尾芸能賞優秀賞。梅原猛作「スーパー狂言」三部作など演出家としても活躍。
晩年に至っても精力的に活動し、2006年からは兄の四世千作と共に兄弟会を開催、千之丞が死去するまで継続した[4]。
2010年12月4日、肝細胞癌のため満87歳(享年88)で死去[5]。
没後8年後の2018年12月23日、長男であるあきらの勧めにより、孫(あきらの長男)である童司が祖父の名跡である「茂山千之丞」を三世として襲名した。
孫の童司の襲名披露にて二世千之丞を得意とした演目・「花子」を披いた。
出演映画 編集
- 紅閨夢(1964年) - 作家民野 役
- 源氏物語(1966年) - 惟光 役
- 浮世絵残酷物語(1969年) - 賀慶 役
- エイジアン・ブルー 浮島丸サコン(1995年) - 中川高明 役
テレビ 編集
著作 編集
- 狂言 荒木良雄共著 創元社 1956 (日本文学新書)
- 「狂言役者―ひねくれ半代記」岩波新書、1987
- 狂言ってどんな芝居 庶民が生んだ笑いの芸能 日本放送出版協会 1999.10 (NHK人間講座)
- 狂言じゃ、狂言じゃ! 晶文社 2000.11 のち文春文庫
三世 編集
三世茂山 千之丞(さんせい しげやま せんのじょう、1983年(昭和58年)4月2日 - )は、狂言方大蔵流能楽師、京都府文化賞奨励賞者。
しげやま せんのじょう 茂山 千之丞 (三世) | |
---|---|
本名 | 茂山 童司(しげやま どうじ) |
別名義 | 茂山童司(1986年 - 2018年) |
生年月日 | 1983年4月2日(41歳) |
出身地 | 日本・京都府 |
職業 | 狂言方大蔵流能楽師 |
活動期間 | 1986年- 現在 |
活動内容 |
1986年、『以呂波』の初シテを勤める 1995年、「花形狂言少年隊」に入隊 1997年、『千歳』を披く。 2004年、『三番三』を披く。 2006年、『釣狐』を披く。 2015年、「オペレッタ「メリーウィドウ」の脚本・演出。 2018年、「三世 茂山 千之丞」を 襲名。襲名披露にて『花子』を披く。 2019年、「京都府文化賞奨励賞」受賞。 |
著名な家族 |
曾祖父:三世茂山千作(人間国宝・日本芸術院会員) 祖父:二世茂山千之丞 父:茂山あきら |
公式サイト | お豆腐狂言 茂山千五郎家 |
主な作品 | |
ラジオ α-STATION「α-SWEET CAFE」 「茂山童司の栴檀代々」 |
経歴・人物 編集
茂山あきらの長男。本名は茂山童司(しげやま どうじ)。祖父の二世茂山千之丞に師事。
1986年、父の茂山あきらが主宰する「NOHO(能法)劇団」の『魔法使いの弟子』にて3歳で初舞台。
1995年、親戚の茂山茂、茂山宗彦、茂山逸平が結成した「花形狂言少年隊」に入隊、共に活動する。
2000年からは、「心・技・体、教育的古典狂言推進準備研修錬磨の会=TOPPA!」を正邦(十四世千五郎) 、宗彦、茂、逸平と共に主催しする。
2006年より「HANAGATA」を正邦(十四世千五郎)、宗彦、茂、逸平と共に再開。なお、2020年からはHANAGATA改め「Cutting Edge KYOGEN」(茂山茂が命名)として活動している。
2018年12月23日、父であるあきらの勧めにより、祖父の名跡である「茂山千之丞」を三世として襲名した。襲名披露にて祖父・二世茂山千之丞を得意とした演目・「花子」を披く。
なお、2019年に京都府文化賞奨励賞を受賞している。
略歴 編集
- 1986年、『以呂波』の初シテを勤める
- 1995年、「花形狂言少年隊」に入隊
- 1997年、『千歳』を披く。
- 2004年、『三番三』を披く。
- 2006年、『釣狐』を披く。
- 2015年、オペレッタ「メリーウィドウ」の脚本・演出。
- 2018年、「三世 茂山 千之丞」を 襲名。襲名披露にて『花子』を披く。
- 2019年、「京都府文化賞奨励賞」受賞。
メディア出演 編集
- 茂山童司の栴檀代々(ラジオ)
- 「α-SWEET CAFE」(ラジオ)
関連項目 編集
脚注 編集
- ^ 野々村戒三『能楽史話』春秋社松柏館、1944年、383-384頁。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1125599/199
- ^ 茂山千作(3世)『狂言85年茂山千作』淡交社、1984年、14-15頁。ISBN 4473008703。
- ^ 野村,土屋 2003, pp. 285–290
- ^ “千作・千之丞の会 第5回”. 森崎事務所. 2024年4月20日閲覧。
- ^ 訃報:茂山千之丞さん死去 87歳 能楽狂言方大蔵流 - 毎日新聞 2010年12月4日閲覧[リンク切れ]