1955年アルゼンチングランプリ

1955年アルゼンチングランプリ (1955 Argentine Grand Prix) は、1955年のF1世界選手権第1戦(開幕戦)として、1955年1月16日アウトドローモ・17・デ・オクタブレで開催された。

アルゼンチン 1955年アルゼンチングランプリ
レース詳細
1955年F1世界選手権全7戦の第1戦
アウトドローモ・17・デ・オクタブレ (レイアウトNo.2、1953-1960)
アウトドローモ・17・デ・オクタブレ
(レイアウトNo.2、1953-1960)
日程 1955年1月16日
正式名称 III Gran Premio de la Republica Argentina
開催地 アウトドローモ・17・デ・オクタブレ
アルゼンチンの旗 アルゼンチン ブエノスアイレス
コース 恒久的レース施設
コース長 3.912 km (2.431 mi)
レース距離 96周 375.552 km (233.376 mi)
決勝日天候 晴(ドライ)
ポールポジション
ドライバー フェラーリ
タイム 1:43.1
ファステストラップ
ドライバー アルゼンチン ファン・マヌエル・ファンジオ メルセデス
タイム 1:48.3 (45[1]周目)
決勝順位
優勝 メルセデス
2位 フェラーリ
3位 フェラーリ

レースはメルセデスファン・マヌエル・ファンジオが予選3位から優勝、フェラーリホセ・フロイラン・ゴンザレスジュゼッペ・ファリーナモーリス・トランティニアンウンベルト・マグリオーリの4人が車両を共有して2位および3位となった。

レース概要 編集

メルセデスはエースのファン・マヌエル・ファンジオに加え、若手スターリング・モスを招き入れてより強固な体制を整えた。フェラーリマイク・ホーソーンヴァンウォールへ去り、ホセ・フロイラン・ゴンザレスは前年9月に行われたRACツーリストトロフィースポーツカー世界選手権)で重症を負い頼りにできず、ジュゼッペ・ファリーナはキャリアの下り坂で、モーリス・トランティニアンは堅実だが瞬発力に乏しい。マシンの625555も今ひとつ。モスを失ったマセラティも、ジャン・ベーラルイジ・ムッソといった若手たちに期待せざるをえない状況だった[2]

アルゼンチンの1月は真夏に当たり、決勝は猛暑を避けるため夕方4時からのスタートとなった。3周目にアスカリがトップを奪い、ゴンザレス、ファンジオ、モスが続く。しかし、アスカリは21周目にコースを飛び出してリタイアとなった。以後、ゴンザレスやファリーナなど多くのドライバーがあまりの暑さに参りピットインして別のドライバーに交代するという状況になる。結局、3時間のレースを1人で走り切ったファンジオが母国レースで2年連続の優勝を飾った。ファンジオ以外に1人で走り切り完走を果たしたのは5位のロベルト・ミエレス(ファンジオ同様地元出身)のみで、他の完走車は2人ないし3人が交代しながらようやく完走にこぎつけた。2位と3位に入賞したフェラーリ2台および4位入賞のメルセデスは各車3人が乗り込んだため、ポイントは3人で等分され、3位のフェラーリをドライブしたファリーナ、トランティニアン、ウンベルト・マグリオーリには113点ずつ(ファリーナとトランティニアンは2位のマシンも乗ったため合計313点)という奇妙なポイントが与えられた[2]

エントリーリスト 編集

No. ドライバー エントラント コンストラクター シャシー エンジン タイヤ
2   ファン・マヌエル・ファンジオ   ダイムラー・ベンツ メルセデス W196 メルセデス M196 2.5L L8 C
4   カール・クリング
6   スターリング・モス
8   ハンス・ヘルマン
10   ジュゼッペ・ファリーナ
  ウンベルト・マグリオーリ 1
  スクーデリア・フェラーリ フェラーリ 625 フェラーリ Tipo555 2.5L L4 E
12   ホセ・フロイラン・ゴンザレス
14   モーリス・トランティニアン
16   ジャン・ベーラ   オフィシーネ・アルフィエリ・マセラティ マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6 P
18   ロベルト・ミエレス
20   セルジオ・マントヴァーニ
22   ルイジ・ムッソ
24   カルロス・メンディテギー
26   クレマール・ブッチ
28   ハリー・シェル
30   アルベルト・ウリア   アルベルト・ウリア マセラティ A6GCM マセラティ 250F1 2.5L L6 P
32   アルベルト・アスカリ   スクーデリア・ランチア ランチア D50 ランチア DS50 2.5L V8 P
34   ルイジ・ヴィッロレージ
36   エウジェニオ・カステロッティ
38   エリー・バイヨル   エキップ・ゴルディーニ ゴルディーニ T16 ゴルディーニ 23 2.5L L6 E
40   パブロ・ビルイェル
42   ヘスス・イグレシアス
ソース:[3]
追記
  • ^1 - 交代要員としてエントリー

結果 編集

予選 編集

順位 No. ドライバー コンストラクター タイム
1 12   ホセ・フロイラン・ゴンザレス フェラーリ 1:43.1
2 32   アルベルト・アスカリ ランチア 1:43.6 + 0.5
3 2   ファン・マヌエル・ファンジオ メルセデス 1:43.7 + 0.6
4 16   ジャン・ベーラ マセラティ 1:43.8 + 0.7
5 10   ジュゼッペ・ファリーナ フェラーリ 1:43.9 + 0.8
6 4   カール・クリング メルセデス 1:44.1 + 1.0
7 28   ハリー・シェル マセラティ 1:44.3 + 1.2
8 6   スターリング・モス メルセデス 1:44.6 + 1.5
9 40   パブロ・ビルイェル ゴルディーニ 1:44.8 + 1.7
10 8   ハンス・ヘルマン メルセデス 1:44.9 + 1.8
11 34   ルイジ・ヴィッロレージ ランチア 1:45.2 + 2.1
12 36   エウジェニオ・カステロッティ ランチア 1:45.3 + 2.2
13 24   カルロス・メンディテギー マセラティ 1:45.4 + 2.3
14 14   モーリス・トランティニアン フェラーリ 1:45.8 + 2.7
15 38   エリー・バイヨル ゴルディーニ 1:46.1 + 3.0
16 18   ロベルト・ミエレス マセラティ 1:46.2 + 3.1
17 42   ヘスス・イグレシアス ゴルディーニ 1:46.3 + 3.2
18 22   ルイジ・ムッソ マセラティ 1:46.4 + 3.3
19 20   セルジオ・マントヴァーニ マセラティ 1:46.4 + 3.3
20 26   クレマール・ブッチ マセラティ 1:47.6 + 4.5
21 30   アルベルト・ウリア マセラティ 1:52.3 + 9.2
ソース:[4]

決勝 編集

順位 No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 グリッド ポイント
1 2   ファン・マヌエル・ファンジオ メルセデス 96 3:00:38.6 3 9
2 12   ホセ・フロイラン・ゴンザレス
  ジュゼッペ・ファリーナ
  モーリス・トランティニアン
フェラーリ 96 +1:29.6 1 2
2
2
3 10   ジュゼッペ・ファリーナ
  モーリス・トランティニアン
  ウンベルト・マグリオーリ
フェラーリ 94 +2 Laps 5 1 13
1 13
1 13
4 8   ハンス・ヘルマン
  カール・クリング
  スターリング・モス
メルセデス 94 +2 Laps 10 1
1
1
5 18   ロベルト・ミエレス マセラティ 91 +5 Laps 16 2
6 28   ハリー・シェル
  ジャン・ベーラ
マセラティ 88 +8 Laps 7
7 22   ルイジ・ムッソ
  セルジオ・マントヴァーニ
  ハリー・シェル
マセラティ 83 +13 Laps 18
Ret 20   セルジオ・マントヴァーニ
  ジャン・ベーラ
  ルイジ・ムッソ
マセラティ 54 エンジン 19
Ret 26   クレマール・ブッチ
  ハリー・シェル
  カルロス・メンディテギー
マセラティ 54 燃料圧力 20
Ret 42   ヘスス・イグレシアス ゴルディーニ 38 トランスミッション 17
Ret 14   モーリス・トランティニアン フェラーリ 36 エンジン 14
Ret 36   エウジェニオ・カステロッティ
  ルイジ・ヴィッロレージ
ランチア 35 アクシデント 12
Ret 6   スターリング・モス メルセデス 29 燃料システム 8
Ret 30   アルベルト・ウリア マセラティ 22 燃料切れ 21
Ret 32   アルベルト・アスカリ ランチア 21 アクシデント 2
Ret 38   エリー・バイヨル ゴルディーニ 7 トランスミッション 15
Ret 16   ジャン・ベーラ マセラティ 2 アクシデント 4
Ret 4   カール・クリング メルセデス 2 アクシデント 6
Ret 34   ルイジ・ヴィッロレージ ランチア 2 燃料漏れ 11
Ret 40   パブロ・ビルイェル ゴルディーニ 1 アクシデント 9
Ret 24   カルロス・メンディテギー マセラティ 1 アクシデント 13
ソース:[5]

注記 編集

第1戦終了時点のランキング 編集

ドライバーズ・チャンピオンシップ
順位 ドライバー ポイント
1   ファン・マヌエル・ファンジオ 9
2   モーリス・トランティニアン 3 13
2   ジュゼッペ・ファリーナ 3 13
4   ホセ・フロイラン・ゴンザレス 2
5   ロベルト・ミエレス 2
  • : トップ5のみ表示。ベスト5戦のみがカウントされる。

脚注 編集

  1. ^ Argentina 1955 – Best laps”. STATS F1. 2014年7月1日閲覧。
  2. ^ a b (林信次 2000, p. 115)
  3. ^ Argentina 1955 - Race entrants”. statsf1.com. 2017年12月4日閲覧。
  4. ^ Argentina 1955 - Qualifications”. statsf1.com. 2017年12月4日閲覧。
  5. ^ 1955 Argentine Grand Prix”. formula1.com. 2014年11月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月9日閲覧。

参照文献 編集

  • 林信次『F1全史 1950-1955』ニューズ出版、2000年。ISBN 4-89107-019-6 

外部リンク 編集

FIA F1世界選手権
1955年シーズン
次戦
1955年モナコグランプリ
前回開催
1954年アルゼンチングランプリ
  アルゼンチングランプリ 次回開催
1956年アルゼンチングランプリ