1977年の映画

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1977年の映画(1977ねんのえいが)では、1977年(昭和52年)の映画分野の動向についてまとめる。

1976年の映画 - 1977年の映画 - 1978年の映画

出来事 編集

世界 編集

日本 編集

周年 編集

日本の映画興行 編集

配給会社別年間配給収入
配給会社 配給本数 年間配給収入 概要
新作 再映 洋画 前年対比
松竹 24 60億3909万円 年間配給収入の2割増はドル箱シリーズの『男はつらいよ 寅次郎純情詩集』(10.9億円[32])、『男はつらいよ 寅次郎と殿様』(8.5億円[32])に加え、『八つ墓村』(19.9億円[32])と『幸福の黄色いハンカチ』のヒットによるものである。田宮プロの『イエロー・ドッグ』や横溝正史ブームに便乗した『陰獣』は惨敗。スターを起用した郷ひろみ主演『突然、嵐のように』 / 松坂慶子主演『恋人岬』、鈴木清順監督『悲愁物語』 / 山城新伍主演『雨のめぐり逢い』、野口五郎主演『季節風』 / 桜田淳子主演『愛情の設計』はヒットしなかった。
18 5 1 122.0%
東宝 18 83億9736万円 長らく東映に負け続けていたが、1977年は年間配給収入でトップに立った。『日本沈没』(16.4億円[33])が持つ日本映画配収記録を『八甲田山』(25.1億円[32])が大幅に更新した。1本立て大作は『八甲田山』以外に『悪魔の手毬唄』(7.6億円[32])と『獄門島』が成功し、『青春の門 自立篇』はまずまず、『姿三四郎』と『アラスカ物語』は失敗した。2本立てでは百恵友和主演シリーズの『春琴抄』(8.8億円[32])と『泥だらけの純情』(9.9億円[32])が好稼動だった。
16 2 0 103.4%
東映 39 80億4190万円 東映本体の配給収入トップ2は『トラック野郎・天下御免』 / 『河内のオッサンの唄 よう来たのワレ』(12.8億円[32])、『トラック野郎・度胸一番星』 / 『サーキットの狼』(11.0億円[32])。春・夏のまんがまつりは安定した成績を収める。『やくざ戦争 日本の首領』がヒットしたことで、続編の『日本の首領 野望篇』を1本立てで公開し、これもヒットする[注 5]。劇画の実写化『ドカベン』、『空手バカ一代』、『ドーベルマン刑事』、『ゴルゴ13 九竜の首』は好成績とは言えず、異色作『恐竜・怪鳥の伝説』、『犬神の悪霊』、『ボクサー』は不発。

東映洋画部は角川映画第2弾『人間の証明』(22.5億円[32])と『宇宙戦艦ヤマト』(9.3億円[35])の2本で配給収入30億円を稼いだ。

35 2 2 87.8%
日活 73 33億8177万円 ロマンポルノに関しては、ポルノ大作2本立てもアベレージ以上の結果を残している。しかし、ロマンポルノには配給収入の上限の壁が存在し、さらなる飛躍のためには一般映画での成功が必要とされる。その一般映画に関しては、前年の第1弾はヒットしたが、第2弾『嗚呼!!花の応援団 役者やのォー』・第3弾『嗚呼!!花の応援団 男涙の親衛隊』はジリ貧の結果に終わった。累積赤字80億円超。
68 5 0 95.4%
出典:「1977年度日本映画・外国映画業界総決算」『キネマ旬報1978年昭和53年)2月下旬号、キネマ旬報社、1978年、118 - 128頁。 

各国ランキング 編集

日本配給収入ランキング 編集

1977年日本配給収入トップ10
順位 題名 製作国 配給 配給収入
1 キングコング   東宝東和 30億9000万円
2 八甲田山   東宝 25億0900万円
3 人間の証明   東映 22億5000万円
4 遠すぎた橋    富士映画 19億9000万円
5 八つ墓村   松竹 19億8600万円
6 カサンドラクロス       日本ヘラルド映画 15億3000万円
7 トラック野郎・天下御免 /
河内のオッサンの唄 よう来たのワレ[36]
  東映 12億8200万円
8 ロッキー   ユナイテッド・アーティスツ 12億1600万円
9 トラック野郎・度胸一番星 /
サーキットの狼
  東映 10億9600万円
10 サスペリア   東宝東和 10億9000万円
併映作に関する出典:「1977年邦画四社<封切配収>ベスト5」『キネマ旬報1978年昭和53年)2月下旬号、キネマ旬報社、1978年、124頁。 
上記以外の出典:『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』キネマ旬報社〈キネマ旬報ムック〉、2012年5月、352頁。ISBN 978-4873767550 
1977年邦画配給収入トップ10
順位 題名 配給 配給収入
1 八甲田山 東宝 25億0900万円
2 人間の証明 東映 22億5000万円
3 八つ墓村 松竹 19億8600万円
4 トラック野郎・天下御免 /
河内のオッサンの唄 よう来たのワレ[36]
東映 12億8200万円
5 トラック野郎・度胸一番星 / サーキットの狼 東映 10億9600万円
6 男はつらいよ 寅次郎純情詩集 / おとうと[37] 松竹 10億8600万円
7 泥だらけの純情 / HOUSE ハウス 東宝 09億8500万円
8 春琴抄 / 恋の空中ぶらんこ[注 6] 東宝 08億8400万円
9 男はつらいよ 寅次郎と殿様 / 坊ちゃん 松竹 08億4900万円
10 悪魔の手毬唄 東宝 07億5500万円
併映作に関する出典:「1977年邦画四社<封切配収>ベスト5」『キネマ旬報1978年昭和53年)2月下旬号、キネマ旬報社、1978年、124頁。 
上記以外の出典:『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』キネマ旬報社〈キネマ旬報ムック〉、2012年5月、352頁。ISBN 978-4873767550 
1977年洋画配給収入トップ11
順位 題名 製作国 配給 配給収入
1 キングコング   東宝東和 30億9000万円
2 遠すぎた橋    富士映画 19億9000万円
3 カサンドラクロス       日本ヘラルド映画 15億3000万円
4 ロッキー   ユナイテッド・アーティスツ 12億1600万円
5 サスペリア   東宝東和 10億9000万円
6 ザ・ディープ    コロンビア ピクチャーズ 10億0000万円
7 アドベンチャー・ファミリー   東宝東和 08億9000万円
8 がんばれ!ベアーズ 特訓中   パラマウント映画 07億9000万円
9 エアポート'77/バミューダからの脱出   ユニバーサル映画 06億7400万円
10 エクソシスト2   アメリカ合衆国 ワーナー・ブラザース  6億7200万円
11 ダーティハリー3   ワーナー・ブラザース 06億0600万円
出典:#10の出典「キネマ旬報」1978年2月下旬号総決算。それ以外の出典『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』キネマ旬報社〈キネマ旬報ムック〉、2012年5月、352頁。ISBN 978-4873767550 

北米興行収入ランキング 編集

1977年北米興行収入トップ10
順位 題名 スタジオ 興行収入 出典
1. スター・ウォーズ ルーカスフィルム / 20世紀フォックス $307,263,857 [38]
2. トランザム7000 ユニバーサル映画 $126,737,428 [39]
3. 未知との遭遇 コロンビア ピクチャーズ $116,395,460 [40]
4. グッバイガール MGM / ワーナー・ブラザース /
Rastar英語版
$102,000,000 [41]
5. サタデー・ナイト・フィーバー パラマウント映画 $94,213,184 [42]
6. オー!ゴッド ワーナー・ブラザース $51,061,196 [43]
7. 遠すぎた橋 ユナイテッド・アーティスツ $50,750,000 [44]
8. ザ・ディープ コロンビア映画 $47,346,365 [45]
9. 007/私を愛したスパイ ユナイテッド・アーティスツ $46,838,673 [46]
10. アニー・ホール ユナイテッド・アーティスツ $38,251,425 [47]

日本公開映画 編集

1977年の日本公開映画を参照。

受賞 編集

誕生 編集

死去 編集

日付 名前 国籍 年齢 職業
1月 12日 アンリ=ジョルジュ・クルーゾー   69 映画監督
13日 アンリ・ラングロワ   62 シネマテーク・フランセーズ創設者
14日 ピーター・フィンチ   60 俳優
2月 27日 渡辺篤   78 俳優
3月 15日 ナナリー・ジョンソン   79 映画監督・プロデューサー・脚本家
21日 田中絹代   67 女優
4月 21日 ガンモ・マルクス   83 俳優
5月 10日 ジョーン・クロフォード   72 女優
16日 マイケル・フィンドレイ   39? 映画監督
24日 近衛十四郎   63 俳優
6月 2日 スティーヴン・ボイド    45 俳優
3日 ロベルト・ロッセリーニ   71 映画監督
13日 マシュウ・ガーバー   21 俳優
8月 16日 エルヴィス・プレスリー   42 歌手・俳優
17日 デルマー・デイヴィス   73 映画監督・脚本家
19日 グルーチョ・マルクス   86 俳優
29日 ジーン・ヘイゲン   54 女優
10月 14日 ビング・クロスビー   74 歌手・俳優
11月 13日 豊田四郎   71 映画監督
26日 奈良真養   80 俳優
12月 11日 望月優子   60 女優
18日 進藤英太郎   78 俳優
19日 ジャック・ターナー    73 映画監督
25日 チャーリー・チャップリン   88 映画監督・俳優
26日 ハワード・ホークス   81 映画監督
27日 高田稔   78 俳優

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 『The Hollywood Story』では、185.1 $MILLIONS となっている[2]
  2. ^ 〔引用者註〕東宝の資料では「10月21日」となっていたが、『日活100年史』の「10月31日」を採用した。
  3. ^ 東宝の資料では「12月20日」となっている。
  4. ^ 『クロニクル東映-II 1947-1991』では「12月25日」となっている。
  5. ^ 春日太一著『あかんやつら』によれば、『日本の首領 野望篇』は前作を大幅に下回る興行成績に終わり、3作目での打切りが決定[34]
  6. ^ 〔引用者註〕『宇宙戦艦ヤマト』は配給収入9.3億円なので8位となり、『春琴抄』は9位、『寅次郎と殿様』が10位となるはずだが、『キネマ旬報ベスト・テン85回全史』には『宇宙戦艦ヤマト』の記載なし。

出典 編集

  1. ^ a b c 石原良太 1986, p. 133.
  2. ^ Finler, Joel Waldo (2003) (英語). The Hollywood Story. Wallflower Press. p. 359. ISBN 978-1-903364-66-6. https://openlibrary.org/books/OL8767837M/The_Hollywood_Story 2024年2月12日閲覧。 
  3. ^ a b c d e 東宝 2010b, p. 227.
  4. ^ Star Wars: Episode IV - A New Hope” (英語). Box Office Mojo. Amazon.com. 2019年11月8日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z 東宝 2010b, p. 228.
  6. ^ a b 松竹 1985, p. 693.
  7. ^ a b c d e f g h 東映 1992, p. 64.
  8. ^ 東宝 1982b, p. 130.
  9. ^ 松竹 1985, p. 291.
  10. ^ a b c d e f 谷川 1993, p. 170.
  11. ^ 松竹 1985, pp. 40, 201, 693.
  12. ^ a b c d 東宝 1982b, p. 131.
  13. ^ 悲愁物語”. キネノート. キネマ旬報社. 2019年11月11日閲覧。
  14. ^ PFFの歴史 History”. ぴあフィルムフェスティバル. 2023年1月22日閲覧。 “1977 「第1回ぴあ展(映像部門)」(東映大泉撮影所)にて自主映画をオールナイト上映。”
  15. ^ a b c d 東宝 1982b, p. 132.
  16. ^ 西郷南州百年祭記念 大西郷博”. 博覧会資料COLLECTION. 乃村工藝社. 2023年1月24日閲覧。
  17. ^ 松本昌悦, 「「愛のコリーダ」事件控訴審判決(憲法判例研究(3))」 中京大学法学部 『中亰法學』 17巻 2号 p.22-43,1983年, NAID 110006201087
  18. ^ 少年と海”. キネノート. キネマ旬報社. 2023年1月24日閲覧。
  19. ^ 東映クロニクル”. 東映公式サイト. 東映. 2020年4月1日閲覧。
  20. ^ 八つ墓村(1977)”. キネノート. キネマ旬報社. 2019年11月10日閲覧。
  21. ^ 日活 2014, p. 159.
  22. ^ 斉藤 2009, p. 80.
  23. ^ 第18作 男はつらいよ 寅次郎純情詩集”. 『男はつらいよ』公式サイト. 松竹映画. 2016年12月27日閲覧。
  24. ^ 第19作 男はつらいよ 寅次郎と殿様”. 『男はつらいよ』公式サイト. 松竹映画. 2016年8月5日閲覧。
  25. ^ 斉藤 2009, pp. 84–85.
  26. ^ 斉藤 2009, pp. 85–86.
  27. ^ 斉藤 2009, pp. 86–87.
  28. ^ 「1977年度日本映画・外国映画業界総決算 日本映画」『キネマ旬報1978年昭和53年)2月下旬号、キネマ旬報社、1978年、123頁。 
  29. ^ 小売物価統計調査(動向編) 調査結果”. 統計局. 2016年8月3日閲覧。
  30. ^ 主要品目の東京都区部小売価格:昭和25年(1950年)〜平成22年(2010年)” (Excel). 統計局. 2016年8月3日閲覧。
  31. ^ a b 過去データ一覧”. 一般社団法人日本映画製作者連盟. 2016年8月2日閲覧。
  32. ^ a b c d e f g h i j 『キネマ旬報ベスト・テン全史: 1946-2002』キネマ旬報社、2003年、223頁。ISBN 4-87376-595-1 
  33. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン全史: 1946-2002』キネマ旬報社、2003年、198-199頁。ISBN 4-87376-595-1 
  34. ^ 春日太一『あかんやつら: 東映京都撮影所血風録』文藝春秋、2013年11月15日、353頁。ISBN 978-4-16-376810-6 
  35. ^ 西沢正史「宇宙戦艦ヤマト 完結編 特集I 天国と地獄をみた男・西崎義展」『キネマ旬報1983年昭和58年)3月下旬号、キネマ旬報社、1983年、96頁。 
  36. ^ a b 河内のオッサンの唄 よう来たのワレ - KINENOTE
  37. ^ おとうと(1976) - KINENOTE
  38. ^ Star Wars, Box Office Information”. Box Office Mojo. 2014年5月26日閲覧。
  39. ^ Smokey and the Bandit, Box Office Information”. Box Office Mojo. 2012年1月26日閲覧。
  40. ^ Close Encounters of the Third Kind, Box Office Information”. Box Office Mojo. 2014年5月26日閲覧。
  41. ^ Box Office Information for The Goodbye Girl. Worldwide Box Office. September 13, 2013.
  42. ^ Saturday Night Fever, Box Office Information”. Box Office Mojo. 2014年5月26日閲覧。
  43. ^ Box Office Information for Oh, God!”. The Numbers. 2012年1月26日閲覧。
  44. ^ A Bridge Too Far (1977) , Box Office Information”. Box Office Mojo. 2016年11月18日閲覧。
  45. ^ The Deep, Box Office Information”. Box Office Mojo. 2014年5月26日閲覧。
  46. ^ The Spy Who Loved Me, Box Office Information”. Box Office Mojo. 2012年1月26日閲覧。
  47. ^ Annie Hall, Box Office Information”. Box Office Mojo. 2012年1月26日閲覧。

参考文献 編集

外部リンク 編集