Mr.Boo!ミスター・ブー』(原題:半斤八两[1]、英題:The Private Eyes[2])は、ホイ兄弟演じる私立探偵のドタバタ活躍を描く、1976年コメディ香港映画

Mr.Boo!ミスター・ブー
半斤八两
監督 マイケル・ホイ
脚本 マイケル・ホイ
製作 レイモンド・チョウ
音楽 サミュエル・ホイ
ザ・ロータス
撮影 チャン・ヤオ・チュウ
製作会社 嘉禾電影有限公司
許氏影業有限公司
配給 香港の旗 嘉禾電影有限公司
日本の旗 東宝東和
公開 香港の旗 1976年12月23日
日本の旗 1979年2月3日
上映時間 100分
製作国 香港の旗 イギリス領香港
言語 広東語
興行収入 香港の旗 HK$8,531,700
次作 フロント・ページ
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Mr.Boo!ミスター・ブー
半斤八両
各種表記
繁体字 半斤八兩
簡体字 半斤八两
拼音 Bàn Jīn Bā Liǎng
注音符号 ㄅㄢˋㄐㄧㄣㄅㄚㄌㄧㄤˇ
発音: ブンガンバーロン
広東語拼音 Bun3 Gan1 Baat3 Leong2
英文 The Private Eyes
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ゴールデン・ハーベスト製作のホイ兄弟作品としては3作目だが、日本においては1979年2月に本作が最初に公開されてヒットしたことから、「Mr.Boo!」シリーズ第1弾と紹介されている。

あらすじ 編集

ウォン(マイケル・ホイ)は香港の私立探偵。助手チョンボ(リッキー・ホイ)と秘書ジャッキー(テレサ・チュウ)とともに探偵事務所を営んでいるが、持ち込まれるのは浮気や万引きなどのケチな事件ばかり。

そんなウォンの零細事務所へ、カンフーの得意なお調子者キット(サミュエル・ホイ)が求職に訪れる。一度は断ったウォンだったが、直後に起きたスリ騒ぎでの鮮やかな対応を見て渋々雇い入れる。

二人の助手をこき使い、相変わらずせこい事件を体当たりで解決していくウォン。次の調査は映画館への爆弾脅迫事件。だが、その映画館には脅迫犯のみならず、凶悪な強盗団も狙いをつけていた。

スタッフ 編集

原曲:半斤八兩(The Private Eyes)作詞・作曲:サミュエル・ホイ (許冠傑)
訳詞:赤塚不二夫[注 1][3]

キャスト 編集

役名 / 吹替役名 俳優 日本語吹き替え版
ウォン・ヨクシー(黄若思) / 所長 マイケル・ホイ(許冠文) 広川太一郎
レイ・コウキ(李國傑) / キット サミュエル・ホイ (許冠傑) ビートたけし
フグ(鶏泡) / ダイ・チョンボ リッキー・ホイ(許冠英) ビートきよし
秘書ジャッキー(枳琪) テレサ・チュウ
アンジー・チュウ
(趙雅芝)
麻上洋子
強盗団のボス シー・キエン(石堅) 小林清志
警部 リチャード・ン(呉耀漢) 及川ヒロオ
チュン・モック ジュー・ムー(朱牧) 石森達幸
アチョー ウォン・ハー(黄蝦) 塚田正昭
レストランの格闘相手 チャン・キン・ワン(陳剣雲)
ラブホテルの案内員 スタンリー・ホイ(許冠武)
空手道場主 レイナルド・マリア・コルデリオ(郭利民)
爆弾脅迫犯 ツァン・チョウラム(曾楚霖)
日本劇場公開時の独自編集版追加キャスト
チンピラ サモ・ハン・キンポー(洪金寶) 安西正弘
  • 日本語吹き替え版 - 初回放送1981年5月2日、フジテレビ『ゴールデン洋画劇場
    • 字幕翻訳 - 矢野留美子
    • 吹替翻訳 - 山田実
  • DVD版 - 2001年にスパイクドラゴンより初DVD化。日本語の吹き替え音声は未収録だが英語版の音声を収録しており、サミュエル・ホイが歌う主題歌の英語版を聴くことが出来る。2005年8月26日に『Mr.BOO ! DVD-BOX』(5,000セット限定生産)として発売時、フジテレビ放送版の日本語音声を初収録しDVD化(ただし、編集はオリジナル版に基づく)。その後、2007年5月10日に単品廉価版発売。

エピソード 編集

  • 作品の随所に『ジョーズ』、『燃えよドラゴン』、『007』、『刑事コロンボ』、『ピンク・パンサー』、『荒野の七人七人の侍)』、『スパイ大作戦』等のパロディが見受けられる。
  • 燃えよドラゴン』で悪の首領ハン役でブルース・リーと激闘を演じたシー・キエンが強盗団のとぼけたボス役を好演している。
  • 警察署長役で出演したリチャード・ンは、その後ジャッキー・チェン主演のスパルタンX五福星大福星等に出演し、当地の主演男優賞を受賞するなど、香港映画界に欠かせない存在となった。
  • 日本での初公開は「グリーン・ホーネット/電光石火」との同時上映であった。
  • 『ゴールデン洋画劇場』はタレントによる吹き替えに積極的であり、本作にもツービートが起用された。ツービートの人気と話題性に加え、当時のビートたけしがサミュエルに似ているとの関連性もあった。
  • マイケル役の広川太一郎は、「元がつまらないギャグ映画だったので『モンティ・パイソン[注 2]みたいに本編と関係なく徹底的にふざけた声にしようと思った」と回想している。
  • 日本劇場公開第3弾となった『Mr.Boo!ギャンブル大将』には、香港オリジナル版からカット(差し替え)されたシーンがある。そのサミュエルとサモ・ハン・キンポーとの乱闘シーンは、本作の日本劇場公開時に挿入され、フジテレビ放映版にも採用された。当該シーンは本作のビデオソフトには未収録だが、『Mr.Boo!ギャンブル大将』のDVDに特典映像として収録されている(ただし字幕のみ)。
  • 公開当時の日本版レコードおよび映画パンフレットに、「BOOになる心得(十カ条)」として以下が掲載された。
    1. 永遠に二枚目でない男であること。
    2. ケチ、しかし貯金はゼロの男であること。
    3. 吉野屋の牛丼と、養老の滝牛丼、どちらがうまいか毎日食べ比べてみるような男であること。
    4. カラオケで「うまい!プロになれ」と言われて、本当にレコード会社に売り込みに行くような男であること。
    5. 時々、ネクタイのしめ方を忘れて鏡の前で1時間、真剣に悩むような男であること。
    6. 「人生はかけだ」とえらそうなことをいいながらパチンコをやり、いつも負けて後悔するような男であること。
    7. 女性には全く関心がないような顔をして、毎日パンツを変え、エチケットライオンと、ワキガを気にして8×4を欠かさず使用するような男であること。
    8. もちろん女を愛し、男にも同等の愛情行為を向けられるような男であること。
    9. 映画は東和[注 3]しか見ないといいながら、何とかタダで映画を見ようと努力するような男であること。
    10. 決して、人を憎まないいい性格の男であること。
  • 1981年の映画『駅 STATION』で本作品の映像が流用されている。

関連項目 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 実際は、ヴァージンVSのメンバー「久保田さちお」がノークレジットで日本語詞の原案を書き、赤塚がその原案をお笑いテイストで作り直したとされている。
  2. ^ 広川はエリック・アイドルの吹き替えを担当していた。
  3. ^ 本作の配給元。

出典 編集

  1. ^ 中国語のタイトルは「どっちもどっち」「同じものだ」という意味。一生懸命働いても貧乏から脱出できない、世間はそんなものだというニュアンスである。
  2. ^ 「私立探偵」の意味。
  3. ^ [1]note内「久保田さちお ヴァージンVS過去・現在・未来マガジン33」2024年2月16日確認

外部リンク 編集