Wikipedia:執筆コンテスト/第参回執筆コンテスト/講評

審査員より

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まず、審査員より、執筆お疲れ様でしたと一言。惜しくも、A分野(B分野も含めてですが)において時間切れになった記事もあったのですが、次回に期待したいと思います。

記事について

は、Tantalによる審査員賞。

  1. 「地理」--フレンキシェ・シュヴァイツダルース_(ミネソタ州)泡瀬干潟雪形
  2. 「歴史」--ビルマの戦い占田・課田制会所_(中世)オーストラリアの歴史ブルネイの歴史
  3. 「社会及びメディア」--過誤払い新グレート・ゲーム国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案
  4. 「芸術」--タザリア王国物語音象徴ラインの黄金シェイクスピア別人説ウイングス_(テレビ番組)チンドン屋

という形で、今回のA分野の投稿は、ほぼバランスよく、各分野からノミネートされたと思います。ただ、惜しむらくは、哲学分野、宗教分野、心理分野、言語分野、経済分野からのノミネートがなかったのは残念です。確かに、地理や歴史と比較した場合、これらの分野はより専門性が求められるでしょうから、記事のしにくさはあるのかもしれません(事実、イスラームを中心に活動している私としても、イスラームの法、哲学、神学といった分野は下書きしている段階で頭を抱えていることが多いです)。ただ、ウィキペディア内で出尽くしたわけではないでしょうから、今後は、これらの分野の新規投稿、それもスタブでないものを、期待したいと思います。

今回のA分野に関しては、充実した記事が多く、その中で1つ(最終審査で順位をつけて3つ)を選ぶという作業は困難を極めましたが、Wikipedia:秀逸な記事の選考にすぐにかけてもおかしくない文章の内容とその文章構成、スタイル、脚注及び参考文献の提示を重視しました。私は、チンドン屋を選びましたが、それ以外にもビルマの戦い、占田・課田制、会所_(中世)、シェイクスピア別人説、ラインの黄金、オーストラリアの歴史は、FA選考にかけても問題ないのではないでしょうか。チンドン屋を1位にしたのは、体系的に研究されていないであろう分野を、丹念に参考文献を読み込んでいき、百科事典の1記事として充実なものを残されたからにほかなりません。

日本語版の現実として、質の面では、英語版と比較した場合、見劣りする部分があるというのが半年ほど、Wikipediaに携わっての感想です。やっと、補助輪を外して運転ができるようになった子供とでも喩えればいいのでしょうか。また、分野によって、秀逸な記事に偏りがあります。とはいえ、実際には、本当はかけてもいいんだけど、誰も推挙しないという現状もあるかと思います。特に、地理、歴史の分野というのは、項目数こそ多いものの現実問題として、FAに選出されている項目数自体、自然科学の分野と比較した場合には少ない。地理に関して言えば、国を除くと八王子市コルシカ島のみという現実、歴史に関しても既に滅亡した東ローマ帝国はあっても、各国史(通史)の分野・戦史分野のFAは存在していません。そろそろ、昨年のボツワナの歴史のような大作がFAに選ばれて妥当だという気がするんです。今年のビルマの戦いやオーストラリアの歴史はこの分野のモデルになると個人的には思います。

今回のコンテストを機会に、皆様も、FA選考に参加していただければと思います(参考までに、07/5/2時点での主要言語のFAは英語版1372、ドイツ語版1036、フランス語版346、スペイン語版404、イタリア語版295、ポルトガル語版231、ポーランド語版232、中国語版105、ロシア語版160、アラビア語版113、オランダ語版115、日本語版79

私自身が参加したB分野に関しては、投稿分野についての言及のみにさせていただきます。数学、医学、動物学、植物学、天文学、環境分野の投稿がどうしてもほしかった。生物学の分野で言えば、オオカミの再導入タイセイヨウサケが3月の月間新記事賞に選出されていることから、仮に、これらの記事がB分野に投稿してあったとすれば、私が投稿したイスラーム建築に審査員の票が集まるということはなかったはず。また、Portal:数学のお知らせに、0.999...を秀逸な記事の選考にかかっていることを告知したら、すぐに、賛成票が8つ集まったことを考えると、各分野のPortalにも、執筆コンテスト開催のお知らせをご案内すればよかったのではないかというのが反省点として挙げられるかと思います。また、画像分野の充実を図らないといけないですね。

3月にTemplate:新しい記事に選出された記事を執筆された方々に、お知らせすれば、投稿分野が少ない分野の記事の充実につながったのではないでしょうか。

謝辞

最後に、イスラーム建築を1位に選んでいただいた方々と大幅な加筆、編集をしていただいたHiro-oさんとHaydarさん、私が画像面で未熟だったので、その点でご協力していただいたfryed-peachさんに謝辞を述べたいと思います。--Tantal 2007年5月23日 (水) 15:53 (UTC)[返信]

執筆者より

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らりた

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とりあえず今日のところは、A・B両分野の一位の記事だけに、また後日余裕があれば他の記事に対しても述べさせて頂きたいと思います。

まずA分野で一位を取ったチンドン屋です。構成・記述の詳しさ・文章のこなれ方、いずれも素晴らしいレベルです。私が書いた記事のように「これに付いて知りたければこれを参照」などと書いた本は無いでしょう。その中で丹念に調べ挙げたこの記事はすぐにでも秀逸に相応しいかと思います。
その中で微妙に気になったことというと脚注がどの参考文献に対応しているのかがちょっとわかりにくいかなと思いました。前にもノートで書きましたが同じ著者の物は纏めた方が解りやすくないでしょうか。それと「 細川『繁盛記』」という風に「執筆者+略称」で書かれていますが、「執筆者+執筆年」の方が参考文献の示し方としては一般的ではないでしょうか。それと出来ればISBNも付けていただけるとあり難いです。あと、細かい点として

>株の暴落、広告取締法の施行などで、大規模な広告楽隊・広告行列は明治40年代に入って衰退し
>戦前の全盛期は1933年から38年頃とされ

の所ですが、広告取締法により何故衰退したのか、そして昭和になって何故復活したのでしょうか。広告取締法によって大規模な広告楽隊が禁止されたのでしょうか?そのあたりに説明があると良いと思います。

次にB分野で一位を取ったイスラーム建築です。この記事はまず真っ先に写真の多さが目を引きます。本文に即した写真が目を楽しませてくれてあたかも旅行にいっているかのような気にさせてくれます。記述の詳しさ・文章のこなれ方も文句なしでしょう。
ただ構成面で少々疑問を感じます。歴史の項では非常に多種にわたるイスラーム建築の例を引いて説明されているのですが、量が多すぎてどうも解りづらくなっている気がします。概説の項でイスラーム建築の歴史を「『前古典期』あるいは『形成期』、『古典期』、『ポスト古典期』」、地域を「かつてのローマ帝国および東ローマ帝国(ビザンツ帝国)の支配地域と、サーサーン朝ペルシャ帝国の支配地域」と分けていたのでこれに沿って説明がされるのかなと思っていたのですが、違いました。時代ごとの特徴と地域ごとの特徴とを分離した方が良いのではないでしょうか。また地域・時代ごとの例示はその地域・時代の特徴を説明するために都合が良いものの簡単な説明に留め、それら地域・時代に属する建築を他の節に分離して詳しく説明するという形の方が良いのではと思います。
それと上でも書きましたが参考文献は「執筆者+執筆年度」にした方が書名をいちいち書くよりも簡略化できて良いのではないでしょうか。

以上です。私はどうも他人を褒めることが苦手で、こういう場になると粗探しばかりしてしまう悪い癖があります。これも講評というよりは難癖付けみたいになったかもしれませんが、難癖くらいしか付けられない完成度の高い記事ということで一つ。改めてお二方にはおめでとうございました。らりた 2007年5月26日 (土) 14:31 (UTC)[返信]

Avenafatua/ごうだまりこ

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B分野の講評を書いていきます。講評半分、感想文半分。B分野はエントリ数は少なかったものの、良質な記事がそろって良いコンテストになったと思います。

  • イスラーム建築
    優勝おめでとうございます。いい写真がたくさん集まっていて、目の保養になりました:-)
    各様式のまとめが、ダイジェスト版もしくは地図+年表の形で最初のほうに置かれていると良かったかもしれません。ロシア建築の後半の表のようなまとめがあると、ありがたいです。
    右側に張ってある「イスラム教」テンプレートに、「イスラーム建築」の項目を入れても良さそうですね。
  • シール(工学)
    工学系の記事として、完成度が高いと思います。各事項に適切な写真が添えられており、理解の助けになっていました。「グランドパッキン」装着プロセスの四コマ写真がいいですね。とても説得力があります。こういう描写は、ものづくり関係の記事で参考にしていきたいものです(建築施工などの記事でこの手法を使ってみたい)。
 
たまねぎドーム
  • ロシア建築
    この記事はもうちょっと評価されて良かったなぁ……と思います。文章と写真で各様式を紹介したあとに、改めて年表がまとめられているという構成が効いています(この年表は英語版に輸出したいくらい)。そして画像のセレクト、目の保養になりました。
    なじみのない用語には綴りを書き添えて欲しかったのと、あと、ロシア建築独特の "たまねぎドーム" について言及して欲しかったところです。
  • コメット連続墜落事故
    開発の経緯→事故→原因究明→解決、という問題解決のストーリーがよくわかる記事にまとまっていると思います。「目次」を見た時点ですでにその構成のよさが理解できます。失敗学の記事として、模範的です。
  • プロトン化水素分子
    まず、章立てがしっかりしていると思いました。「歴史」で発見の経緯・実例を挙げてうまく導入し、次に物性的な話を一気に書き、実例を挙げていく、という、メリハリとストーリー性のある良い構成になっています。読んでいて頭にはいってきやすいです。また、参考文献が箇所ごとにリンクされているので、検証可能性という意味で優れた記事になっています。
 
おじぎそう
  • 膜電位
    「膜電位の基本原理」の部分が、よく噛み砕かれた簡潔な表現となっており、本題へとうまく導入していく良い構成となっていると思います。全体の内容は専門的ですが、冒頭部分が良く書けているおかげで生物学にはあまり強くない読者にも読み進めやすい記事になっています。
    冒頭で触れられているオジギソウが御辞儀をするメカニズム、ちょっと詳しく実例として解説されていると読者が喜びそうだと思いました。
  • オラン・ペンデク
    未確認の事項 (UMA、怪奇現象) については、その生物自体の検証可能性よりも、「それにまつわる諸説の存在」の検証可能性の重視、すなわちメタ的な立場からの書き方がふさわしくなってきます。そのメタ視点を貫いた記事として評価できると思います。
  • ビューティ・ペア
    これは時間切れ……ということで今後に期待いたします。
  • グレア
    自分が書いたので一番最後。
    自分の守備範囲上、工学寄りの内容になってしまいまった感があります。生理学的な話や交通関係の話も必須ですね。「評価方法」の部分は書き足していくと、分量としてはおそらく2~3倍、くどい内容になりそうなので、他とのバランスを考えながら書いていきたいです。
    照明・交通・建築設計(+インテリア)では広く知られた概念なのですが、今回書くまでは記事自体存在していませんでした。日本語版には、このように「これだけ重要なネタがなぜ今まで書かれなかったんだ!?」というものが、まだまだたくさんあります。これからも日本語版、頑張って育てていきましょう。

--Avenafatua/ごうだまりこ 2007年5月26日 (土) 23:58 (UTC)[返信]

Ks aka 98(チンドン屋)のコメント

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お礼とコンテスト全体の雑感

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望外の展開に驚いてます。えーと、まずは、Yosemiteさん、審査員の皆様、コメンテーターの皆様、執筆者の皆様、お疲れ様です。そして感謝を。

これまでほとんど執筆のほうに手を出していなかったので、検証可能性や独自研究、出典など、Wikipedia文書やノートの議論などで、自分が言っても履歴に説得力がないのをなんとかしようという、やや邪な気持ちと、日本の大衆文化の項目が全体に手薄で、それは資料などの問題から書くこと自体の困難さも理由となっているであろうこともあるだろうと思い、わずかながら貢献できないかと思っていたことがきっかけで、ほっといても書かないので、自分を追い込もうとして、エントリしました(ほんとは、もうひとつ理由があるんですが)。記事は書かない人、というままで、押し通そうかとも思ったのですが、2ちゃんで突っ込まれたりもして。コンテストの存在は、そういう時に、背中を押してくれます。ふだん文章を書かないわけではなく、とりあえず目標を一次予選通過として、去年の様子などを見るに、25~30kあって内容が破綻していなければなんとかなるか、と甘い見通しを立てて書いていたのですが、40kほどに達して、そこそこなんとかなったと思って、いざ、他のエントリをみてみると、すごいレベルが上がってて、うへえ、と。加えて、Y tambeさんから、まるで下書きから投稿原稿への過程の逡巡を見ていたかのようなコメントに、やべえ、と。

結果、ひとまずは、自分なりにウィキペディアの発展に執筆者として貢献できたと安堵しています。他の執筆者の皆さんは、エントリした1本だけではなく、継続的に優れた記事を投稿されている方ばかりで、選ばれたのは、たまたま、題材が風変わりだったことと、1本のみでの評価となるコンテストという性質に拠るものと理解しています。また、自ら書くことで、「紙製ではない百科事典」のあり方が、少しクリアになってきたところもあって、コンテストという、競い合い、評価される場というのは、専門家が書いた紙の百科事典の質にどこまで近づけるかという部分と、もう一つ、紙ではないからこそできることとは何かということを、実践的に試みるという部分があると思いました。今後継続的な「執筆者」に転ずることもできないと思いますが、少しずつでも「項目の執筆」をしていこうという気を起こさせる、励みになりました。重ねて、ありがとうございました。


記事内容についてコメント

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以下、せっかくなので、偉そうにコメントをつけてみたいと思います。全体として、個別には分野Aについては全エントリに、分野Bについては決選投票ノミネートとなったエントリに、写真分野は気になった作品だけ、ですが、それぞれコメントを付しました。高く評価されたエントリについては、あえて厳しめに書きます。長いので、読む際は展開してください。--Ks aka 98 2007年5月27日 (日) 16:47 (UTC)[返信]

コメンテーターより

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富山県人より

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  • 私は富山県に30年以上すんできているのにもかかわらず、チンドン屋の知識を持っていませんでした。しかし、今回の文章でチンドンが大変よく分かりためになりました。画像も適当な量があって読みやすったと思います。もし私が審査員だったら確実に投票していました。Ks aka 98さん、今後もご健闘を祈ります。

最後にチンドン屋に票を入れて下さった審査員の皆さんありがとうございました。--ネプチューン2007年5月26日(土)12:45(UTC)