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アギス4世古希: Ἄγις, : Agis IV, 紀元前265年 - 紀元前241年)は、スパルタ末期の人物。

目次

略伝編集

エウリュポン家の出身である。紀元前244年に即位。スパルタは本来、ふたつの王家と長老会が政権を運営していたが、当時は一部貴族の手によって政権が運営され、貴族層は奢侈に流れ、国民は貧窮に喘いでいた。アギスは、初期のリュクルゴスの制度を目指し、債務免除を実施。しかし、土地の再分配が遅れたので、市民の反感を招く。紀元前241年、レオニダス2世のクーデターによって処刑される。

詳細編集

 アギスの友人リュサンドロス、マンドロクレイダス、叔父アゲシラオスが、この運動に賛成した。しかし、アゲシラオスが賛成した理由は、債務から逃れる為だった。


 アギス、アゲシラオスは、母アゲシストラタの財政支援を頼み、説得した。アギス「財産にかけては、エジプトやシリアの、知事や執事程度の連中でも、私達より多く持っています。しかし、私が、思慮と質実さを持って彼らの奢侈を凌駕したなら、偉大なる王という呼び名はわが物となりましょう」


 レオニダスはもともと、富裕者の味方だった。そして、アギスを、独裁制を狙って貧民の機嫌取りに努めていると誹謗した。
 アギスはリュサンドロスを監督官に就任させ、法案を長老会に提案した。その内容、「債務者は債務から解放される。スパルタ内部の土地は4500、郊外の土地は15000に分割され、再分配される。スパルタ市民定数4500が欠けた時は、ペリオイコイから強健で教養ある者を補充する。食事は古来の、200人毎の共同食事を再現する」

 長老会では、意見がまとまらなかった。仲間たちは、市民集会を開いて、この法案を勧め、パシパエの神託を思い出せと口説いた。

 最後にアギスが登場し、自分が財産を提供する。また、母も、祖母も、同じ事をすると約束した。民衆は、三百年の時を経て、スパルタに真に王にふさわしい人物が登場したと喝采した。レオニダスは何とかこれを妨げんと、あれこれ質問した。

 レオニダス、「リュクルゴスを評価するのは良いが、彼は債務の帳消しを認めただろうか。外国人に市民権を与えただろうか」

 アギス、「リュクルゴスはお金の貸し借りはおろか、貨幣そのものを国家から追放した。また、外国人よりも、国風に悪影響を及ぼすものを嫌悪したのだ。だからこそ、ミレトス生まれの哲学者タレスは尊重された」

 民衆はすっかり、アギスについた。しかし、民会の前に長老会に採否権があり、富裕者は長老らを口説いて、一票差でこれを否決させてしまった。

 レオニダスは異国で育てられた。また、異国の妻を娶っていた。リュサンドロスは古い法律を持ち出して、レオニダス弾劾に出た。その法律、「ヘラクレスの子孫たるスパルタ市民は、異国の女との間に子を儲けるべからず。また、スパルタより異国に移住したる者は殺害すべし」

 この裁判をレオニダスは恐れ、アテネ神殿に逃げて庇護を願った。神殿から出ないまま有罪判決を受けて、王位を婿のクレオンブロトス2世に譲った。

 アギスとクレオンブトロスは協力して事に当たった。エフォロスの後任にはアゲシラオスが選ばれた。彼はレオニダス暗殺を企てたが、アギスがこれを阻止してテゲアまで無事に護送した。

 すべてはうまく運ぶかのように見えた。しかし、アゲシラオスがすべてをぶち壊した。アゲシラオスは強欲で、財産家であったが、莫大な借金を抱えてもいた。財産を手放すつもりはないが、借金は帳消しにして貰いたかった。そこで、アギスに提案した。債務免除と土地の再分配を同時に行うのは激務である。債務免除を先に行えば、その恩恵に与った地主は容易に土地を手放すでしょう。

 アギスはこれを容れ、借用書を広場に集め、火を着けて燃やした。債権者は嘆いたが、アゲシラオスは得たりとばかりに笑った。

 民衆も、アギスも、土地の再分配を急ごうとしたが、その度にアゲシラオスが横槍を入れた。そんな時に、アカイアから援助要請があったので、アギスは国外遠征に出た。

 アギスは出征した。兵士らの多くは、若く、貧しい者だったが、債務を免除され、帰れば土地にもありつけると思ったので、希望に燃えた。ペロポネソスを通過すると、沿線住民は、この若い将軍に対して兵士らが寄せる尊敬の念に驚嘆した。また、アギスは、一兵卒より立派な武具をつけず、それを誇りとしたので、それも賛嘆の的であった。

 アギスはコリントスでアラトスに合流したが、アイトリア農民は収穫を終えて温和しくなっていたので、アラトスの提案で引き上げた。
 留守中、アゲシラオスは専横を極めた。金の為ならどんな不正をも行い、より多く課税する為に無理に閏月を挿入さえした。そして、護衛兵に守られて登庁していた。

 有力者は、テゲアからレオニダスを迎えて、王に復位させた。大衆もこれを見て、快哉を叫んだ。土地の再分配がなかったので、自分達は騙されたと思い込んだのだ。

 アゲシラオスは逃亡し、その息子ヒッポメドンがこれを引き取った。アギスはアテネ神殿に逃れ、クレオンブトロスはポセイドン神殿に逃れた。レオニダスは、婿の方を追った。

 レオニダスの娘キロニスは気丈な女で、父の不遇の時には父に付いたが、夫の危機に際してはその楯となった。両脇に子供達を抱いて命乞いをする娘を前に、レオニダスはクレオンブトロス一家の亡命を許した。

 アギスは神殿から出ず、たまに水浴に出るだけであった。友人アンファレス、ダモカレス、アルケシラオスを伴うのが常。しかし、アンファレスは、高価な衣服や酒器をアギスの母アゲシストラタから借り受けてもいた。そして、友好が仇となって、この富を横領しようと企てていた。そして、レオニダスと示し合わせて、水浴帰りのアギスを数人で押さえ付け、監獄に運んだ。
 長老たちも交え、獄舎で裁判が行われた。アギスを庇う者が、「あなたは、リュサンドロスとアゲシラオスに強制されたのでしょう」と声をかけた。アギス、「自分は誰からも強制されない。リュクルゴスを敬慕して、これを行ったのだ」
 長老たちは、死刑の票決を行った。しかし、処刑部屋で、役人らはアギスの体に手を触れようとはしなかった。そこで、ダモカレスは自らアギスに手を下した。それというのも、噂を聞き付けて多勢の人がこの刑場に押し寄せて来たからだ。
 母アゲシストラタと、祖母アルキダミアが駆け付けて来て、アンファレスの足元に身を投げた。アンファレスは、息子さんは無事で、なんなら会わせてあげようと案内した。まず祖母を案内して、処刑した。その後、アゲシストラタを案内した。
 アゲシストラタが入ると、息子は足元に倒れ、高齢の母親は首をくくられてぶら下がっていた。彼女は、役人の手を借りながらも、ふたりの遺体を並べて、衣裳を整えた。「わが子よ、お前の慎重さがお前の身を滅ぼしました。わたしもお供しましょう」
 アンファレスは、同じ目に合わすぞと脅すと、「せめて、この事がスパルタに幸をもたらすように」と、アゲシストラタは自ら首に縄を巻いた。

出典編集

外部リンク編集

先代:
エウダミダス2世
スパルタ王(エウリュポン朝)
紀元前245年 – 紀元前241年
次代:
エウダミダス3世