2
周期
2 4
Be
3 12
Mg
4 20
Ca
5 38
Sr
6 56
Ba
7 88
Ra

第2族元素(だいにぞくげんそ)は、周期表の第2族に属する典型元素sブロック元素である。ベリリウムマグネシウムカルシウムストロンチウムバリウムラジウムが分類される。また、これらはアルカリ土類金属(アルカリどるいきんぞく、: alkaline earth metal)と呼ばれる。一般的にベリリウム・マグネシウムは共有結合性を持ち(すなわち非金属性・半金属性の寄与がある)、ほかの4元素と異なる性質を示すため、アルカリ土類金属に含まれないことが多い[1]。広義には第2族元素とアルカリ土類金属とは言い換えて使用される。ラジウムは放射性元素であるため、ほかの元素に比べ化学的性質が分かっていない。

アルカリ土類金属編集

ドミトリ・メンデレーエフ周期表を提唱する以前よりカルシウムストロンチウムバリウムの元素群は化学反応性の類似性によりヨハン・デーベライナーの提唱による「三つ組元素: triads)」のひとつとして知られていた。周期表自体は電子構造に基づく分類であるが、その分類は化学的性質の共通性もあるため、アルカリ金属カルコゲンハロゲンなど化学的性質による元素区分が周期表の族名の別名のようにも使用されてきた。

たとえば、ベリリウムマグネシウムの酸化物はアルカリ土類金属の酸化物のような強いアルカリ性を示さない(下記の性質で詳しく述べる)。「アルカリ土類金属」と呼ぶ場合の多くはその元素・イオンの化学的性質に着目して使用されるため、第2族元素の区分とアルカリ土類金属としての区分が合致しないことがある。

また、総論や教養としての基礎化学の分野では第2族元素とアルカリ土類金属との厳密な区分は必要ではないことと、歴史的に周期表の族名の別名として利用されてきたため、第2族元素とアルカリ土類金属との違いは曖昧なまま言い換えられる場合も多い。

土類の由来編集

アルカリ土類金属は自然界に酸化物として多く存在しており、熱に強く水に溶けにくい性質(この性質を発見当時の化学者は土類(: earth)と名付けていた)を持つ。これらの酸化物は長年元素だと考えられており、水に溶けることでアルカリ性を示すためアルカリ土類と呼ばれていた。1789年にラボアジェが書いた化学概説においてこれらは土類元素と表現されている。のちに金属の酸化物であることが分かり、現在のようにアルカリ土類金属と呼ばれるようになった。

性質編集

第2族元素は周期表において、左から2列目に位置する元素群で、価電子最外殻のs軌道にある電子である。s軌道は2つの電子により満たされており、いずれの元素も2価の陽イオンになりやすく、通常+2の酸化数を持つ。逆に1価の陽イオンはいずれも不安定であり、生成しても不均化により速やかに2価の陽イオンとなる。

ベリリウム
4Be
マグネシウム
12Mg
カルシウム
20Ca
ストロンチウム
38Sr
バリウム
56Ba
ラジウム
88Ra
電子配置            
第1イオン化エネルギー
(kJ mol-1
899.5 737.7 589.8 549.5 502.9
第2イオン化エネルギー
(kJ mol-1
1757.1 1450.7 1145.4 1064.2 965.2
電子付加エンタルピー
(kJ mol-1
- - - ≈0 ≈0 -
電子親和力
(kJ mol-1
≈0 ≈0 - - - -
電気陰性度
(Allred-Rochow)
1.47 1.23 1.04 0.99 0.97 0.92
イオン半径
(pm; M2+
41 (4配位)
59 (6配位)
71 (4配位)
86 (6配位)
114 (6配位)
126 (8配位)
132 (6配位)
140 (8配位)
149 (6配位)
175 (12配位)
-
共有結合半径
(pm)
112 130 174 192 198
van der Waals半径
(pm)
- 173 - - - -
融点
(K)
1551.15 923 1115 1050 1000
沸点
(K)
3243.15 1363 1757 1655 2143
還元電位 E0 (V;M2+/M) - 1.85 - 2.363 - 2.866 - 2.89 - 2.906 -

また、2族の元素は閉殻構造による遮蔽を受けない核電荷が同一周期の1族元素より大きいため、アルカリ金属よりも原子間の金属結合が強く、単体の融点・硬度が高い。

また、同じ理由により陽イオンは同周期の1族元素よりもイオン半径が小さい。それゆえ、2族元素塩の結晶格子は相対的に小さく、結合は強く結びついている。塩の水溶性に格子の解離エネルギーが与える影響は大きく、1族元素塩に比べ2族元素塩の溶解性が小さい理由のひとつになっている。2族元素の切断面はすべて銀白色の金属光沢を持つが、周期が大きくなるほど原子半径が大きくなりs軌道電子の束縛は緩やかになるため金属性がより強くなる。

第2族元素の一部は炎色反応を示すものが存在する。

カルシウム ストロンチウム バリウム ラジウム ベリリウム・マグネシウム
橙赤色 深紅色 黄緑色 紅色 呈色せず(無色)

2族元素の中でもベリリウムは化合物中において共有結合性が強く表れ、カルシウム以下の2族元素(アルカリ土類金属)とはいささか化学的性質が異なる。マグネシウムはベリリウムとアルカリ土類金属の中間的な性質を持ち、ひいてはグリニャール試薬など有機金属試薬として有用な性質を有している。マグネシウムは海水中に多く含まれ、特にカルシウムなどアルカリ土類金属は鉱石などの主要成分のひとつとして地殻中に普遍的に見出される。

2族元素の酸化還元電位は相当低いため、還元力は強い。しかし、ベリリウムやマグネシウムの単体金属は強固な酸化皮膜で覆われ不動態を形成するため、強い還元作用が表面には現れにくい。マグネシウムは熱水とは反応し水酸化物を形成する。一方、それ以外のカルシウムストロンチウムバリウムなどのプロトン性溶媒と反応して、1族元素に次ぐ烈しさで反応し水素を発生する。そのため扱いが困難である。

水素化物編集

2族元素は一般式、MH2の水素化物を生成する。そしてアルカリ土類金属(カルシウム、ストロンチウム)は常圧の水素ガスと常温〜熱時反応して直接水素化物を生成するが、マグネシウムと水素ガスとは高圧加熱下でしか反応しない。ベリリウムの水素化物は単体と水素の直接の反応では赤熱しても生成しない。水素化カルシウムヒドリド供与体として、還元剤や無水溶媒の脱水剤として利用される。

酸化物編集

2族元素は空気中で燃え一般式、MOの酸化物を生成する。ベリリウム以外の2族元素酸化物はと反応すると水酸化物M(OH)2となり、カルシウムより原子番号の大きいものは強塩基となる。一方、酸化ベリリウムBeOは水と反応しない。水酸化物の塩基性の強度は周期の下へ行くほど強くなる。

イオン半径の大きいバリウムではイオンの電荷密度がナトリウムの電荷密度と同程度と低いため過酸化物も安定となり、酸化バリウムを空気中500度で加熱すること、または過剰の酸素とバリウムを反応させることで過酸化バリウムを生成する。

ハロゲン化物編集

フッ化ベリリウムBeF2を除いていずれの第2族元素フッ化物もに難溶性の塩を形成する。しかし、右に挙げたもの以外の第2族元素ハロゲン化物はいずれも水に対する溶解性は大である。これらのハロゲン化物は共有結合である塩化ベリリウムを除き、イオン結晶を形成する。潮解性を示すものが多く、特に塩化カルシウムCaCl2は乾燥剤として利用される。

窒素化物編集

アルカリ土類金属は、珍しいことに加熱により大気中の窒素ガスと容易に反応する。例えば、マグネシウムは二窒素と反応して窒化マグネシウムになる。アルカリ土類金属の窒素化物はまた水と反応しアンモニアを形成する。

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ 高等学校化学で用いる用語に関する提案(1)(日本化学会、2015年3月17日更新版)。
    高等学校化学で用いる用語に関する提案(1)への反応(日本化学会、2018年1月25日更新版)。

関連項目編集