アーノルド・キアリ奇形
アーノルド・キアリ奇形 (アーノルド・キアリきけい、英語: Arnold-Chiari malformation) とは脳の奇形の一種で、後頭部にある小脳や脳幹の一部が、頭蓋骨から脊椎に落ち込んだ状態になる。キアリ奇形とも。この状態になると脊髄空洞症 (syringomyelia) をおこし運動機能に障害が出る。先天性と後天性があり詳しい原因は分かっていない。大人になってから分かることが多く、水頭症及び無呼吸症候群等の症状がきっかけで診断されることが多い。II型でも空洞症は併発していない症例が多く、その相互関係は研究されている。
アーノルド・キアリ奇形 | |
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脳ヘルニアの一種である小脳扁桃嵌頓のMRI像。同時にアーノルド・キアリ奇形の徴候を示す | |
概要 | |
分類および外部参照情報 | |
ICD-10 | Q07.0 |
ICD-9-CM | 348.4,741.0 |
OMIM | 207950 |
DiseasesDB | 899 |
Patient UK | アーノルド・キアリ奇形 |
MeSH | D001139 |
原因
編集ある説によると、1.髄液の循環異常が原因でキアリ奇形が起こっているという見方や、2.頭蓋骨の容積が通常より小さいことで小脳が脊柱管内に落ち込みキアリ奇形を形成しているという考えがあるが、実際のところキアリ奇形の原因はまだはっきりとはわかっていない。
近年、脊髄下端部にある脊髄終糸の過緊張によってキアリ奇形が起こっているとされ、終糸を切離する終糸切離術が有効との見方が注目されている。[1]
症状・型
編集- 先天性
- 妊娠中に後頭骨から上部頸椎の骨の形成異常によって起きる。
- 後天性
- 出生時の外傷によって頭蓋骨が変形することによって起きる。
キアリI型
編集小脳扁桃の一部のみが脊柱管内に落ち込んだ状態。
キアリII型
編集延髄の一部や小脳の虫部までが脊柱管内へ落ち込んだ状態で、キアリI型よりも重症である。 脊髄髄膜瘤、水頭症の合併がみられることが多い。
以前は、特にキアリII型を指して「アーノルド・キアリ奇形」と呼ぶ場合もあった[2]。
治療法
編集治療法は症状に合わせた薬物療法のほか、症状の進行予防および改善を目的に大後頭孔減圧術(拡大術とも)などの外科手術が行われる。しかし、対症的治療であるため、病気の根本的な解決にはつながらず、再手術となるケースも少なくない。
歴史
編集関連項目
編集脚注
編集- ^ ROYO SALVADOR(ロヨ=サルバドール), M.B(ミゲル=B); SOLÉ-LLENAS, J.; DOMENECH, J.M.; GONZÁLEZ-ADRIO, R. (2005 Feb 24). “Results of the section of the filum terminale in 20 patients with syringomyelia, scoliosis and Chiari malformation(脊髄空洞症、脊柱側弯症およびキアリ奇形患者20名に行った終糸切断手術の成果).”. Acta Neurochir (Wien) .
- ^ 『標準脳神経外科学』医学書院、2005年、283頁。ISBN 978-4-260-12263-4。
- ^ a b c “History, anatomic forms, and pathogenesis of Chiari I malformations”. Child's Nervous System 20 (5): 323–8. (May 2004). doi:10.1007/s00381-003-0878-y. PMID 14762679.
- ^ “Julius Arnold”. Whonamedit? A dictionary of medical eponyms. February 4, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。February 4, 2015閲覧。