イムディーナ
イムディーナ (Mdina、正式名L-Imdina、Medinaとも)は、マルタ最古の都市。マルタ島中央部にあり、かつては首都であった[1]。中世の狭い静かな通りを持つ城郭都市であり、『静寂の町』の異名を持つ。城壁に囲まれた面積は約8万㎡と小さく、東京ドームの2倍弱である。人口は292人(2014年)[2]。
歴史
編集イムディーナでの定住の痕跡は、紀元前4000年より前に遡る。紀元前700年頃にフェニキア人によって初めて要塞化された。これは、町の位置が海まで見通せることが可能な島の最高点にあるという、軍事的要所であったことが理由である。マルタがローマ帝国支配を受けると、ローマの知事は自身の邸宅をイムディーナに建てた。60年に使徒パウロは、乗っていた船がマルタで難破した後にイムディーナで暮らしたと言われている。イムディーナという現在の名前を初めて与えたのは、870年頃にマルタへやってきたシチリアのアラブ人によってである。彼らは広い堀と厚い防御用壁を持つ都市を作り上げ、近隣の町ラバトからイムディーナを切り離した。
1091年、ノルマン人がマルタを征服した。1565年のマルタ包囲戦では、聖ヨハネ騎士団が最後まで重要な要塞であったイムディーナを守り抜いた。1693年には地震に見舞われ、多数の建物が崩壊した。地震後に聖堂は、マルタ人建築家ロレンゾ・ガファの設計で再建された。
現在
編集今日、イムディーナはマルタを代表する観光地のひとつである。広場に建つ聖パウロ聖堂がランドマークとなっており、ノルマン建築、バロック様式などの個人の邸宅や教会が混ざり合って残っている。また、城壁の修復工事が継続的に行われている。
ラバト(人口約1万人)の郊外にあり、狭い通りをそぞろ歩く静かな環境が維持されている。市内への自動車乗り入れが制限されているが、限られた地元住民の自家用車、救急車、結婚式の車などは許可されている。
見どころ
編集- 聖パウロ聖堂
- ヴィルヘナ邸
- ファルゾン邸
- 聖アガタ礼拝堂
- 聖ニコラオス礼拝堂
- 自然史博物館
- カルメル会派教会・修道院
- ベネディクト会派修道院
ギャラリー
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城壁(修復後)
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市門 現在も主要な入り口となっている
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街の中心 聖パウロ聖堂
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聖堂の内部
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ファルゾン邸(ノルマン建築)
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典型的な狭い中世の通り
脚注
編集- ^ “デジタル大辞泉の解説”. コトバンク. 2018年5月20日閲覧。
- ^ “Estimated Population by Locality 31st March, 2014”. Government of Malta. 21 June 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。9 Oct 2022閲覧。