カセイ峡谷(カセイきょうこく、: Kasei Valles)は、火星アキダリウム海地域英語版ルナエ沼地域英語版に跨る巨大な峡谷。全長1,780 kmに達する火星で最大級の大洪水地形英語版である。名称は日本語の火星に由来する[1]

カセイ峡谷
Kasei Valles
カセイ峡谷北部
カセイ峡谷北部の衛星写真
種類 峡谷
天体 火星 火星
場所 アキダリウム海地域英語版
ルナエ沼地域英語版
座標 北緯25度08分 東経297度07分 / 北緯25.14度 東経297.12度 / 25.14; 297.12[1]座標: 北緯25度08分 東経297度07分 / 北緯25.14度 東経297.12度 / 25.14; 297.12[1]
全長 1,780 km
480 km(最大)
深度 2-3 km
名の由来 日本語火星

地形 編集

 
カセイ峡谷北部とその周辺地域の地形図。峡谷はこの地図のさらに南側から始まっている。

カセイ峡谷は、北緯16.28度から27.11度、東経285.55度から309.66度にかけて広がる巨大な峡谷であり[1]、全長は1,780 km、幅は場所によっては300 mi (480 km) に達する。地球上の代表的な峡谷の一つであるグランド・キャニオンが最大でも幅18 mi (29 km) であるのと比べると、はるかに大規模である[2]。カセイ峡谷は火星で最長の大洪水地形英語版の一つである。

カセイ峡谷はマリネリス峡谷の近くのエチュス谷英語版に端を発する。そこから北に向かい、最終的には北東のクリュセ平原英語版へと消える。平原の終端から遠くない地点には、バイキング1号の着陸地点がある。カセイ峡谷は北緯20度付近で、カセイ峡谷・キャニオン (Kasei Vallis Canyon) と北カセイ峡谷 (North Kasei Channel) の2本の谷へと分裂する[要出典]。2本の谷は東経297度付近で合流するが、この2本の谷の間はサクラ卓状台地英語版と呼ばれる広大な島状の地域となっている。カセイ峡谷の深さは場所によっては2–3 kmにもなる[3]

 
立体的に撮影したカセイ峡谷。上部中央がシャロノフ・クレーター英語版

他の大洪水地形と同様、カセイ峡谷は液体のの流れにより形成されたような地形となっている。この水は、火山平原であるタルシス地域から、一度きりの破局的な大洪水として、または繰り返し発生した洪水として長い期間をかけて、流れ込んだと考えられる。または、液体ではなく氷河の流れにより形成された可能性が考えられる[4]

三度に渡る巨大な洪水により、今日のカセイ峡谷・キャニオンの「島」であるルナエ卓状台地と、シャロノフ・クレーター英語版の姿が形作られたと考えられている[5][6] この洪水は、浸食の形跡から高さが実に400 m以上もあったと推定されており[6]、これは地球の同種の地形であるドライ滝英語版を形成した大洪水よりも遥かに激しいものである[5]。洪水は100km以上の上流から流れてきた可能性がある[5]

画像 編集

脚注 編集

  1. ^ a b c Kasei Valles” (英語). Gazetteer of Planetary Nomenclature. USGS (2006年10月1日). 2016年5月19日閲覧。
  2. ^ [1]
  3. ^ Baker, V. 1982. The Channels of Mars. University of Texas Press. Austin
  4. ^ http://themis.asu.edu/zoom-20050427a
  5. ^ a b c Coleman, N. (March 2010). "Spectacular cataracts (dry falls) on the floor of Kasei Valles, Mars". 41st Lunar and Planetary Science Conference. Lunar and Planetary Institute英語版. p. 1174. 1533. 2013年11月17日閲覧
  6. ^ a b Coleman, N.; Lindberg, S. (March 2013). "New insights about cataracts (dry falls) on the floor of Kasei Valles, Mars". 44th Lunar and Planetary Science Conference. Lunar and Planetary Institute英語版. p. 1148. 1719. 2013年11月17日閲覧

関連項目 編集

外部リンク 編集