カルトナージュ

フランス伝統の厚紙工芸

カルトナージュ(Cartonnage)は、フランス伝統の厚紙工芸である[1]。厚紙で組み立てた箱などに紙や布を貼り付けて仕上げる。

カルトナージュ
20世紀初頭、自宅でカルトナージュをする女性。ヴァルレアス

概要

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カルトナージュは厚紙を意味するカルトン(Carton)に由来し、表面や内側に柄紙やマーブル紙などの洋紙等を貼って装飾を施す[2]。18世紀頃、南仏で蚕を入れる紙箱に装飾を施した物が発祥と言われている。

布を用いることもあり「布箱」とも称される。

フォトフレームやファイルなどの平面作品のほか、フランスの熟練職人は家具に至るまでカルトナージュで制作している者もいる。

材料

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厚紙(カルトン)

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厚紙としてグレー台紙を使用し、1mm、2mm、3mmなど作品の大きさや用途によって様々な厚みを使い分ける[2]。箱に窓を付けたい場合には塩化ビニル板も用いられる[2]

ケント紙

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側面や底面の裏打ちに使用される[2]

ボンド

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専門的には額装用品店の中性ボンドが多く利用されている。

一般には柄紙の貼り付けには木工用ボンドでんぷん糊を合わせた「合わせ糊」が用いられる[3]

クラフトテープ(水張りテープ)

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片面に乾燥した接着材を塗布されている紙テープで、切手のように糊面に水分を適量含ませると接着できる。水彩画の水張りなどに利用されている。組み立てたカルトンの接着面の補強や、金具やタッセルなど装飾品の接着部の補強に多用する。

用具

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ヘラ

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額装用の先端に向かって細くなっているヘラが主に用いられる。材質はプラスチック、テフロン、ボーンなど様々。

カッターナイフ

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カルトンやケント紙などの切削に使用する。ロータリーカッター、円切りカッター、ペーパートリマーなども使用目的により使い分ける。

関連項目

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脚注

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  1. ^ 北野三希代『はじめてのカルトナージュ』日本ヴォーグ社、2004年、2頁
  2. ^ a b c d 北野三希代『はじめてのカルトナージュ』日本ヴォーグ社、2004年、4頁
  3. ^ 北野三希代『はじめてのカルトナージュ』日本ヴォーグ社、2004年、6頁