カワサキ・Z900RS

カワサキ・Z900の派生車種

カワサキ・Z900RSは、カワサキモータースのオートバイ、Z900をクラシック調の見た目で仕上げた派生モデルである。

カワサキ・Z900RS
2024年モデル
Z900RS CAFE(左)とZ900RS(右)
基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
メーカー 日本の旗カワサキ
車体型式 8BL-ZR900K
エンジン ZR900BE型 948 cm3 4ストローク
内径×行程 / 圧縮比 73.4 mm × 56.0 mm / 10.8:1
最高出力 82 kW (111 PS) / 8,500 rpm
最大トルク 98 N⋅m (10.0 kgf⋅m) / 6,500 rpm
車両重量 215 kg
      詳細情報
製造国 日本の旗 日本タイ王国の旗 タイ
製造期間 2017年 -
タイプ ストリートファイター
設計統括
デザイン
フレーム トレリス (高張力鋼)
全長×全幅×全高 2,100 mm × 865 mm × 1,150 mm
ホイールベース 1,470 mm
最低地上高 130 mm
シート高 800 mm
燃料供給装置 燃料噴射装置
始動方式 エレクトリックスターター
潤滑方式 強制潤滑方式 / ウェットサンプ
駆動方式 チェーン駆動
変速機 常時嚙合式6段リターン
サスペンション テレスコピック
スイングアーム
キャスター / トレール 25.0° / 98 mm
ブレーキ デュアルセミフローティングディスク (外径300mm)
シングルディスク (外径250mm)
タイヤサイズ 120/70ZR17M/C (58W)
180/55ZR17M/C (73W)
最高速度
乗車定員 2人
燃料タンク容量 17 L
燃費
カラーバリエーション 本文参照
本体価格 1,485,000円(税10%込)
備考
先代 カワサキ・Z2
後継
姉妹車 / OEM カワサキ・Z900
同クラスの車
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概要

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Z900RSは2017年に開催された東京モータショーで発表され[1]同年12月に日本国内で発売された[2]。Z900をベースに、往年のカワサキの名車であるZ1のスタイルを模したいわゆるネオクラシックモデル、オマージュであり[3]、車名のRSとは「レトロスポーツ」を表している。

丸目ヘッドライトやダブルシート、ティアドロップタンク、水冷ながら空冷を連想するのダミーフィンを装備するなど、Z1をオマージュした一方、マフラーは集合タイプであり、サイドカバー付近のデザイン処理など、ZEPHYRシリーズの面影をも感じさせるデザインとなっている。フロントサスペンションは倒立フロントフォークで多彩なセッティングが可能なフルアジャスタブルタイプであり[3]、ラジアルマウント式ブレーキキャリパーなどを採用している。また、Z900をベースに開発されており、エンジンやフレームの基本的な部分こそ共有してはいるものの、フレーム全体としては専用品であり、エンジンも専用のチューニングとなっていることから両者は全く別のキャラクター像を持つといえる[2][3]

排気音は騒音規制に対応しながら、低音の効いたものにチューニングされている。高速域に入ればその音が後方に流れてしまい、乗り手に聞こえるのは主に吸気音になる。エンジンは耳障りなメカノイズを抑え、全域において太いトルクが発生するようになっている[3]

レトロ風のデザインながら最新機能がおごられ、トラクションコントロールシステムなどの電子制御システムを採用した[3]。メーターユニットは砲弾式であるが、ユニット中央にはギアポジションや各インジケーターが表示できる液晶パネルが設けられている。日本国内向けの標準シートは、運転者の着座位置が大きく削られたローシート仕様。海外向けは削られていないハイシート仕様が軸となっている。国内向けは日本人の二輪需要層の平均的な体格を考慮したものと考えられるが、ローシートはウレタン製でフラットな面が少ないので、尻が痛くなることが懸念される[4]。このためか、国内向けはハイシートは純正アクセサリーパーツとして用意されている[4]。シート下にはETC2.0車載器キットを標準装備した[3]

ちなみにカスタムパーツメーカーのドレミコレクションからは、このZ900RSをGPZ900Rそっくりに改造できる「Z900 GPZ900R Ninja Style」が発表されており、容量14Lのスチールインナータンクから先行予約を受け付けている。予定しているパーツの中で、FRP製アッパーカウル、スクリーンクリア、LEDウィンカー、LEDテールランプ、ミラーについては、オリジナルの補修部品としても使用可能となっている[5][6]

2022年2月1日には、特別仕様車「Z900RS 50th Aniversary」が発売された。Z1を象徴するファイヤーボールカラーを、キャンディカラーを独自の技法で重ね塗りする塗装工程によって再現した。さらに燃料タンク上部にはZ50周年ロゴが入れられ、サイドカバーや左右エンジンカバーにはZ1を想わせる専用エンブレム、そして上質感なシボ入りの表皮を用いた専用シートを装着。スタンダードモデルにはないグラブバーも標準装備されている[7]

Z900 SE

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Z900の上級仕様車で、弱点の解消を目指したモデル。Z900の評価はデビュー当初は、当時としてはビッグバイクとしての味を引き出していたことが好評であったが、次第に評価が下がっていく傾向だった。この原因はアフターパーツメーカーによる多種多様なカスタム車が多く登場し、ノーマルでのマイナス要素が明確になってしまったことにある。フリーランスの評論家、中村友彦がモーターファンで述べたマイナス要素は、リアショックの硬さ、フロントブレーキのコントロール性の悪さ、全閉からスロットルを開けた際の反応の唐突さを挙げていた。SEではこれらを程よく解消しているようで、オーリンズ製リアショックとブレンボのフロントブレーキキャリパーを装備したことで、操作性は大きく改善した。前後ショックを調整した際、乗り味の変化がわかりやすくなっている。スロットルの唐突さも、この改良によってアクセルが明けやすく感じるとのことだった[8]

Z900RS CAFE

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Z900RS CAFEはZ900RSにビキニカウルを装備したカフェレーサー風モデル。装備はZ900RSに準ずるがZ900RS CAFEはZ900RSよりステアリング位置がやや低められている[9]。また、ハンドル位置もスタンダードのRSよりは低い位置にマウントされており、色もブラック塗装されている。

シートは、CAFE専用のものとなっており、スタンダードモデルよりシート高が20mm高められ、段附のカフェレーサースタイルとなっている。スタンダードモデルよりも前傾した姿勢によって高速域ではもちろん、旋回時の荷重のかけやすさも特徴的である[9]

カラーリングは2020年モデルは、ヴィンテージライムグリーン×エボニーとファントムブルーの2色で、車両重量が2kg増加している以外に主要諸元等には変更はない。

詳細情報
燃費
  • 28.5km/ℓ(国交省届値:60km/h・定地燃費値、2名乗車時)
  • 18.8km/ℓ(WWTCモード値 クラス3ー2、1名乗車時)
ヘッドライト φ107mm LED
カラーバリエーション
  • (2020年モデル)ヴィンテージライムグリーン
  • (2020年モデル)ファントムブルー
本体価格
  • メーカー希望小売価格 1,518,000円
  • (本体価格1,380,000円、消費税138,000円)
備考

受賞

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日本二輪車文化協会は2018年12月19日、第1回「日本バイクオブザイヤー2018」に「Z900RS」を選んだと発表した。昔ながらのスタイルと最新技術を兼ね備えた性能などが一般投票や選考委員から高い評価を得た[10]

脚注

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  1. ^ [Z900RS]話題のニューモデルが東京モーターショー2017で遂に発表!”. 川崎壱番 (2017年10月25日). 2024年6月18日閲覧。
  2. ^ a b 後藤武 (2018年3月30日). 関顕也: “カワサキZ900RS(MR/6MT)【レビュー】”. Web CG. 2024年6月18日閲覧。
  3. ^ a b c d e f 淺倉恵介 (2020年12月24日). “【カワサキ Z900RS 試乗記】刺激的なのに扱いやすい、誰もが非日常を味わえるスタンダードネイキッド”. BikeBros. 2024年6月18日閲覧。
  4. ^ a b 中村友彦 (2022年9月24日). “カワサキZ900RS SEに500km乗って、他のカワサキ並列4気筒車とは異なる唯一無二の個性を実感した話|1000kmガチ試乗2/3”. Motor-Fan BIKES. 2024年6月18日閲覧。
  5. ^ 北秀昭 (2022年4月29日). “カワサキZ900RSをニンジャGPZ900Rに変身させる方法、ドレミコレクションがご提案!”. Motor-Fan BIKES. 2024年6月18日閲覧。
  6. ^ Z900RS/CAFÉ Ninja(GPZ900R)Style外装セット”. ドレミコレクション. 2024年6月18日閲覧。
  7. ^ 小松信夫 (2022年2月1日). “カワサキ「Z900RS 50th アニバーサリー」発売! Zシリーズ50年の歴史を象徴する特別な存在”. Webオートバイ. 2024年6月18日閲覧。 “さらに燃料タンク上部にはZ50周年ロゴが入れられ、サイドカバーや左右エンジンカバーにはZ1を想わせる専用エンブレム、そして上質感なシボ入りの表皮を用いた専用シートを装着。スタンダードモデルにはないグラブバーも標準装備されている”
  8. ^ 中村友彦 (2022年9月24日). “Z900RS SEを乗り込んでわかった結論|ノーマル+22万円のSE、これはどう考えてもお買い得と感じた。|カワサキZ900RS SE1000kmガチ試乗1/3”. Motor-Fan BIKES. 2024年6月18日閲覧。
  9. ^ a b カワサキZ900RS vs Z900RS CAFE(Z900RSカフェ)比較試乗インプレッション”. ヤングマシン (2018年8月13日). 2024年6月18日閲覧。
  10. ^ 平成最後の年に…「日本バイクオブザイヤー」初開催のワケ”. ニュースイッチ. 日刊工業新聞社 (2018年12月22日). 2024年6月18日閲覧。

外部リンク

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