ユークリッド幾何学において、クローソン点(くろーそんてん,Clawson point)とは、α, β, γを三角形ABCのそれぞれの角とし、三線座標tan α : tan β : tan γと表される、三角形の中心の一つである[1]。1925年、「American Mathematical Monthly」で ジョン・ウェントワース・クローソンにちなんで名付けられた。 クラーク・キンバリングの「Encyclopedia of Triangle Centers」ではX(19)として登録されている[2]

定義 編集

クローソン点の定義はいくつかの三角形の配景英語版として知られている。うち、2つの方法を紹介する。

一つ目の方法 編集

 
方法1:相似の中心 三角形HAHBHC垂足三角形。三角形TATBTC傍接円の、三角形ABCの辺でない、共通接線が成す三角形。三角形HAHBHCと三角形TATBTCの相似の中心はクローソン点である。

ABCに対し、HAHBHC垂足三角形TATBTC傍接円ABCの辺でない共通接線が成す三角形(外接線三角形,extangents triangle)とする。TATBTC,HAHBHC相似で、その相似の中心はクローソン点である。つまり、TAHA, TBHB, TCHCはクローソン点で交わる[3]

二つ目の方法 編集

 
方法2:配景の中心 青い三角形 は外接円傍接円根軸の成す三角形。三角形ABCと三角形A'B'C'の配景の中心はクローソン点である。

ABCについてそれぞれ3つの傍接円外接円の交点を結ぶ3つの直線の成す三角形(Ayme triangle[4])をA'B'C'とする。三角形ABCと三角形A'B'C'の配景の中心はクローソン点である。つまりAA', BB', CC'はクローソン点で交わる。

歴史 編集

クローソン点は1925年、American Mathematical Monthlyの問題3132でJ. W. クローソンが幾何的な定義を発表したことにちなんで名付けられた[5]。 しかし、フランスの数学者エミール・ルモワーヌは、1886年にすでにこの点を発見していた[6]。その後、1983年にR.LynessとG.R.Veldkampによって独自に再発見され、カナダの数学雑誌『Crux Mathematicorum』に問題682として掲載されたことから、Crucial Pointと呼ばれるようになった[7]

出典 編集

  1. ^ Weisstein, Eric W.. “Clawson Point” (英語). mathworld.wolfram.com. 2024年3月15日閲覧。
  2. ^ ENCYCLOPEDIA OF TRIANGLE CENTERS”. faculty.evansville.edu. 2024年3月15日閲覧。
  3. ^ Kimberling, Clark (1994). “Central Points and Central Lines in the Plane of a Triangle”. Mathematics Magazine 67 (3): 163–187. doi:10.2307/2690608. ISSN 0025-570X. https://www.jstor.org/stable/2690608. 
  4. ^ ENCYCLOPEDIA OF TRIANGLE CENTERS Part3 X3610”. faculty.evansville.edu. 2024年4月21日閲覧。
  5. ^ Clawson, J. W.; Goldberg, Michael (1926). “3132”. The American Mathematical Monthly 33 (5): 285–285. doi:10.2307/2299573. ISSN 0002-9890. https://www.jstor.org/stable/2299573. 
  6. ^ ENCYCLOPEDIA OF TRIANGLE CENTERS”. faculty.evansville.edu. 2024年3月15日閲覧。
  7. ^ CLAWSON POINT”. faculty.evansville.edu. 2024年3月15日閲覧。

外部リンク 編集