コンチェルティーノ
コンチェルティーノ(伊: concertino)は、コンチェルタート様式に関する歴史的な概念と、楽種に関する近代的な概念の二つに分かれる。
バロック音楽におけるコンチェルティーノ編集
コンチェルティーノとは、合奏協奏曲において、アンサンブルから、より小さなまとまりに別れた楽器群を指す。反対語がリピエーノであり、これはコンチェルティーノと対比されている。
コンチェルティーノとは、二つの集団のうち小さな方を指してはいるが、その音楽の素材は一般的に、リピエーノよりも演奏技巧が要求される。さらにコンチェルティーノは、主題の素材をリピエーノと共有せずに、独自の楽想を呈示する。この大小のグループの対比や、双方の主題間の相違は、バロック音楽に非常に特徴的な原理である。
古典派以降のコンチェルティーノ編集
ジャンルとしてのコンチェルティーノは、自由に構成された短い(もしくは小さな)協奏曲のことを指す。同義語に、ドイツ語のコンツェルトシュテュック(Konzertstück)があり、これは日本語で小協奏曲ともいう。通常は、単独楽章からなる、独奏楽器とオーケストラのための楽曲であるが、複数の楽章が間断なく演奏される作品例もある。
有名なコンチェルティーノ編集
- クラリネットと管弦楽のためのコンチェルティーノ(カール・マリア・フォン・ウェーバー)
- ホルンと管弦楽のためのコンチェルティーノ (ウェーバー)
- 序奏とアレグロ・アパッショナート ト長調 op.92(ピアノ小協奏曲:シューマン)
- 序奏と協奏的アレグロ ニ短調 op.134(ピアノ小協奏曲:シューマン)
- フルートと管弦楽のためのコンチェルティーノ (セシル・シャミナード)
- 春のコンチェルティーノ Op.135 (ミヨー)(「最新名曲解説全集10協奏曲Ⅲ」(音楽之友社)参照)
- 2台のピアノのための小協奏曲(ショスタコーヴィチ)
- ピアノと管弦楽のためのコンチェルティーノ(フランセ)(「最新名曲解説全集10協奏曲Ⅲ」(音楽之友社)参照)
- シロフォン・コンチェルティーノ(黛敏郎)
フランツ・リストがシューベルトの《さすらい人幻想曲》をピアノと管弦楽のための作品に編曲した際、ウェーバーの《コンツェルトシュテュック》を意識したと言われており、またリストは逆に、ウェーバーのこの協奏作品を、ピアノ独奏曲に編曲している。