サウラーシュトラ文字
サウラーシュトラ文字(サウラーシュトラもじ)は、インド南部で話されるサウラーシュトラ語を表記するための文字のひとつ。ただしタミル文字で表記される方が普通である[1]。ブラーフミー系のアブギダで、左から右に書かれる。
サウラーシュトラ文字 | |
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類型: | アブギダ |
言語: | サウラーシュトラ語 |
Unicode範囲: | U+A880..U+A8DF |
ISO 15924 コード: | Saur |
注意: このページはUnicodeで書かれた国際音声記号 (IPA) を含む場合があります。 |
概要
編集サウラーシュトラ語の話者はグジャラートから南インドに移住した人々の子孫と言われ、主にタミル・ナードゥ州のマドゥライ、セーラム、タンジャーヴールに分布する。19世紀末以来、タミル文字、テルグ文字、デーヴァナーガリー、および固有のサウラーシュトラ文字で書かれた書物が出版されているが、通常はタミル文字で書かれる[2]。
構造
編集ほかのブラーフミー系文字と同様の構造を持つが、1880年代に改革が行われて簡易化され、現代のサウラーシュトラ文字ではkṣ以外の結合文字が使われなくなった[2]。
子音字は34(ḷaを含む。kṣaを含めると35)、母音字は16(短い e o を含む)ある。子音記号にはアヌスヴァーラ、チャンドラビンドゥ、ヴィサルガがある。他のインドの文字と同様、子音字は単独では潜在母音aが後続し、それ以外の母音が後続するときには母音記号を加える。
子音に母音が後続しない場合にはヴィラーマ記号を加える。結合文字がほとんどないため、ヴィラーマは多用される。
サウラーシュトラ語には鼻音や流音に無気音と帯気音の対立があり[3](rh lh mh nh)、これらの音を表すために r l m n の文字にハール(hāru)という記号を後続させる[4]。
Unicode
編集2008年のUnicodeバージョン5.1で、基本多言語面のU+A880..U+A8DFに追加された[5][6]。
Saurashtra[7] | ||||||||||||||||
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | A | B | C | D | E | F | |
U+A88x | ꢀ | ꢁ | ꢂ | ꢃ | ꢄ | ꢅ | ꢆ | ꢇ | ꢈ | ꢉ | ꢊ | ꢋ | ꢌ | ꢍ | ꢎ | ꢏ |
U+A89x | ꢐ | ꢑ | ꢒ | ꢓ | ꢔ | ꢕ | ꢖ | ꢗ | ꢘ | ꢙ | ꢚ | ꢛ | ꢜ | ꢝ | ꢞ | ꢟ |
U+A8Ax | ꢠ | ꢡ | ꢢ | ꢣ | ꢤ | ꢥ | ꢦ | ꢧ | ꢨ | ꢩ | ꢪ | ꢫ | ꢬ | ꢭ | ꢮ | ꢯ |
U+A8Bx | ꢰ | ꢱ | ꢲ | ꢳ | ꢴ | ꢵ | ꢶ | ꢷ | ꢸ | ꢹ | ꢺ | ꢻ | ꢼ | ꢽ | ꢾ | ꢿ |
U+A8Cx | ꣀ | ꣁ | ꣂ | ꣃ | ꣄ | ꣅ | ꣎ | ꣏ | ||||||||
U+A8Dx | ꣐ | ꣑ | ꣒ | ꣓ | ꣔ | ꣕ | ꣖ | ꣗ | ꣘ | ꣙ |
脚注
編集- ^ Masica (1993) p.442
- ^ a b Michael Everson; Jeyakumar Chinnakkonda Krishnamoorty (2005-09-21), N2969R2 Final revised proposal to encode the Saurashtra script in the UCS
- ^ Masica (1993) p.103
- ^ Michael Everson (2006-03-23), Correction of a Saurashtra character name in PDAM3
- ^ Supported Scripts, Unicode, Inc.
- ^ Unicode 5.1.0, Unicode, Inc., (2008-04-04)
- ^ Saurashtra, Unicode, Inc
参考文献
編集- Masica, Colin P. (1993) [1991]. The Indo-Aryan languages (paperback ed.). Cambridge University Press. ISBN 0521299446
外部リンク
編集- 『サウラーシュトラ文字』地球ことば村・世界の文字 。